表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
11節 蠢く気配
182/214

第180話 あの絵

 絵に吸い込まれてしまい、無人の街で脱出手段を探す私、ゆー君、すずちゃん、一色いっしきさん。



 そんな私達の前に、全身が黒い異形が現れた。



「な……何で堕ち星がここにいるの!?」


 私は驚きから、思わず叫んでしまった。

 でも私に続いて、すずちゃんの「というか、何であの絵がここにあるわけ?」と言った。


 確かに、堕ち星の黒い身体の真ん中に私達を吸い込んだ絵が見える。

 身体は……黒いけど、木で出来てるように見える。


 一方、ゆー君は「やっぱり堕ち星が出たか……!」と呟いた後、星鎧を生成するいつもの手順を取り始めた。


 ……でも確かに、堕ち星が出た以上は戦わないといけない。

 悩んでる暇なんてない。


 私は頭の中の疑問を振り払って、プレートを生成しようとする。



 そのとき。

 何か引っ張られてることに気が付いた。



 振り向くと、一色いっしき 綾乃あやのさんが私の服の裾を掴んでいた。




 目の前に堕ち星がいる。




 でも、一色さんはここにいる。




 つまり、一色さんは堕ち星じゃない。




 ……じゃあ、あの堕ち星は誰が?



 私達がこの空間に来てしまった原因は一色さん。



 でもこの感じだと、一色さんに直接聞いてもわからないかもしれない。



 だったら、先に堕ち星と戦うべき?



 そんな風に悩んでいたそのとき。

 金属と何かがぶつかる音が聞こえた。


 その音がした方向を見ると、既にゆー君が堕ち星と戦っていた。


 ……でも、一色さんを放ってはおけない。

 それにここから出る方法は結局わかってないし。


 困った私の口から「私……どうするべき……?」と言葉が漏れる。


「何1人で悩んでるの」


 そんなすずちゃんの声が聞こえた。

 顔を上げると、すずちゃんは私をじっと見ていた。


 ……1人で悩んでても仕方ないよね。


 そう思った私はとりあえず「堕ち星と戦わないといけないことはわかってる。でも、一色さんが堕ち星じゃないってわかった今、もう少し話を聞きたい」と考えていたことを言ってみる。


 それを聞いたすずちゃんは。


「だったら。私が佑希ゆうきと一緒に堕ち星を抑えとくから。由衣ゆいは一色さんから話を聞いてから来て」


 予想外の提案に、私の口から「え……いいの?」と聞き返す。


「人の話を聞くのは、由衣が1番向いてるでしょ。

 それに、あの堕ち星と戦ってもここから出れるかはわからないし。

 でも、堕ち星を元の人間に戻すのには由衣の力が必要ってことは、忘れないでよ」


 その言葉の後。

 「じゃあ待ってるから」とすずちゃんと言って、星鎧を生成する手順を取り始めた。


「……ありがと。できるだけすぐ行くから!」


 そう言った後、私は一色さんと向き合う。

 そして、「えっと……」と言葉を選びながらも口を開く。


「一色さんは、あの怪物について何か知ってますか?」

「何も……わかりません……。

 なんで、私の絵の中に怪物が……」


 一色さんは、途切れ途切れにそう言ってくれた。


 涙は止まってる。

 でも多分パニックになってるんだと思う。


 パニックになってるってことは……本当に何も知らなかったのかな。


 そんなことを考えながらも、私はもう1つ気になってたことを聞いてみる。


「あの、最初に私達のことを()()()って言いました……よね?」

「そ……それは……」


 一色さんの目が、私から逸れた。


 ……あれ、もしかして怒ってると思われちゃった!?


 私は急いで「あ!怒っても責めてもいません!」と先に修正の言葉を口にする。


「ただ……誰かに聞いたのかなって……」

「それは……さっきお話ししたお客様(ひと)に言われたんです。

 『もし、あなたを邪魔する人が現れたら遠慮なく吸い込んでしまってください』って」

「邪魔する人……」


 堕ち星が出てきたのに、一色さんは私達のことも堕ち星のことも知らないみたい。



 つまり、一色さんにこうする方法を教えた人は私達のことを知ってたってこと?



 でも……へび座もからす座も倒したよね?




 じゃあ……誰が?




 でも考えてもわからない。



 ……これは、まー君に聞いた方が良いよね。



 それより先に今はここから出ることを考えなきゃ。


 私は考えるのをやめて、「ここから出る方法を知りませんか?」と聞いてみる。


「……わかりません。

 自分が吸い込まれるなんて、思ってもいませんでしたので……」


 それは……そうだよね……。


 私は悩みながらも戦場に目を向ける。


 車1つない車道で、堕ち星と鎧を纏ったゆー君とすずちゃんが戦っている。



 ……一色さんから何も聞けないなら、私も戦いに行かないと。



 そのとき。


「……でもなんで、あの怪物の身体に()()()が埋まってるんだろう」


 一色さんが呟くようにそう言った。



 私も、気にはなってた。



 何でここに、そして堕ち星の身体に()()()()()()があるんだろう?



 一色さんの絵は元の世界のあの部屋にあって、私達はその絵に吸い込まれてこの世界に来た。


 ……え、本当に何で堕ち星の身体に埋め込まれてるの?


 私は疑問を持ちながらゆー君達の戦闘を観察する。


 お互いがお互いの攻撃を受けて、避けて状況は特に動いてないみたい。


 でも、なんか変な感じがする。


 すずちゃんが堕ち星に向かって槍で突く。

 それを、堕ち星は腕で受ける。


 そこにゆー君が剣で斬りかかる。

 すると堕ち星はその攻撃を後ろに下がって避けた。


 ……なんか、いつもの堕ち星よりも逃げてばっかりじゃない?

 他の堕ち星はもっと攻撃が激しかったよね?



 そんな違和感に気が付いたとき。



 突然、堕ち星の胴体に埋まってる絵から細長い水の塊が飛び出した。


 その水の塊は止まらずに飛んでいき、私は見失ってしまった。


 隣にいる一色さんも見えたみたいで「……今の水……何?」と呟いている。

 でも、私もわからない。


 だけど、堕ち星の攻撃じゃないことは分かった。



 というか……何かあの水……見覚えが……え?


「……ひーちゃんの攻撃?」


 そう。

 今の水はひーちゃんの武器の銃から発射される、水弾に似ていた。



 そして私達は、あの絵に吸い込まれてこの世界に来た。


 

 ……もしかして。

 堕ち星の身体にある絵に飛び込めば、ここから出れる!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ