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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
10節 親心、子心
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第169話 いい加減うっさい!

 とかげ座に蹴り飛された私は、吹き飛んで地面を転がる。


「幸セ……壊ス……まずハ……娘かラ!!!」


 私は急いで顔を上げる。

 既にとかげ座は地面を蹴って、叫びながら距離を詰めてくる。


 みんなが止めようと攻撃している。


 水、半透明の羊、斬撃、カード、水弾。

 色んな攻撃が戦場である駅前のバスロータリーを飛び交う。



 それでも、とかげ座は止まらない。

 まるで、私しか見えてないみたいに。



 自分で避けないと。



 私は急いで起き上がる。

 しかし、その場を離れる前にとかげ座の右の足が私に迫る。


 私はその蹴りを、両手で止めた。


 ぶっちゃけ見え見えだし、両手はフリーだから普通に止めれた。

 ただ姿勢が膝立ちの状態だから、止めれなかったら顔が蹴られるところだった。


 そして相変わらず、とかげ座は「幸セ……壊ス……!!!」と叫んでる。

 しかも、さらに右足に力を掛けてくる。


 ……だけど、私だって。


「……悪いけど、簡単にやられないから」


 そう言い切って深呼吸をする。

 もちろん、私を蹴ろうとする右足を全力で受け止めたまま。



 全身に巡る星力を改めて認識する。



 そして、その星力が毒と成って両手から溢れるのをイメージする。



 今まで、毒を飛ばすのも纏わせるのも少ししかできなかった。



 でも、今なら。



 そのとき。

 とかげ座が突然目に見えて苦しみだした。


 左足と尻尾の2点で身体を支えていた、とかげ座のバランスが崩れる。


 私はそのタイミングでとかげ座を突き飛ばす。

 完全にバランスを崩したとかげ座は後ろに倒れる。


 そんな私の星鎧に包まれた両手からは、深紅色の液体が滴っていた。


 毒が上手く回ったみたい。


 そして私はそのまま、とかげ座に「そもそも」と言葉を投げる


「何で私や私の両親を狙う訳?」

「さやマ……俺と同ジ……なのニ……あいつだケ…!!!」

「……私の父親と何があったか知らないけど、『相手の幸せが羨ましいから壊す』だなんて、ふざけてるわよ」

「うるさイうるサイうルサイウルサイ!!!!!コワス!!!」


 そう叫びながら、またとかげ座が突っ込んでくる。

 私は武器を生成して構える。



 そのとき。

 私の前に2つの影が飛び出した。


「完全に狂ったな」

「だな。早く動き止めねぇとな」


 その言葉の後、左半分が黄色の鎧が剣でとかげ座の拳を受け止めた。

 そして、橙色の鎧がとかげ座に拳を叩き込んだ。


 無防備なところに一撃を貰ったとかげ座はまた吹き飛んで行く。



 そこで橙色の鎧、志郎しろうが振り返って「大丈夫か?」と聞いてきた。



 ……そう聞くなら、もう少し早く来てくれても良かったんだけど?



 でも、言ってる場合じゃない。



 なので私はそんな言葉を飲み込んで、「平気」と返す。

 すると今度は、ずっととかげ座の方を見てた黄色の鎧、佑希ゆうきが「いけそう?」と聞いてきた。


 ……もしかして、私抜きでどう連携するか決められてた?

 そしてこう聞かれるってことは、多分次は私。


 そう思ったので、私は「任せて」といってから走りだす。


 そして間合いに入ってから、槍を思いっきり突き出す。


 とかげ座は、その一撃をぎりぎりで穂先を掴んで直撃を避けた。

 そしてまた押し合いが始まる。


「コワス……コワス!!!」

「いい加減うっさい!!!」


 私は怒りと共に槍を上に向ける。

 当然、穂先を掴んでいるとかげ座も一緒に持ち上がる。


 そのまま、穂先から毒が噴き出すのをイメージする。


 すると、そのイメージ通りに穂先から深紅色の液体が噴き出す。

 とかげ座はその毒液の勢いに呑まれ、空に打ちあがる。


 そこに「すっげぇ……」と志郎の呟きが聞こえてきた。


「感心してる場合じゃないぞ」

「そ、そうだな!」


 そんな志郎と佑希の会話が聞こえた後に、斬撃と爆発が山なりに落下するとかげ座に命中した。

 そして別の方向から水弾が飛んでくる。


 これはきっと日和ひよりの攻撃。


 そこに今度は佑希の「落ちてくる前に一応離れるぞ」という言葉が。

 続いて志郎の「だな。鈴保すずほ!」という言葉が飛んできた。


 私は「わかった」と返事をして、佑希と志郎に続いてこの場を離れる。


 そして駅前のバスロータリーから歩道まで下がったとき。

 とかげ座がそのまま落ちてきて地面に激突して土埃を上げた。


 多分、毒で痺れたままで受け身も取れてないと思う。



 土煙は、数秒で晴れる。



 するととかげ座は仰向けで倒れていた。

 だけど既にその身体の一部は地面ごと凍り付いている。


 その奥に視線を向けると真聡まさと由衣ゆい、日和の3人がそれぞれの武器を構えていた。

 たぶん日和と真聡の連携攻撃でとかげ座を凍らせたんだと思う。


 そして身体の前で両手で杖を持っている由衣が両手を広げた。

 そのまま右手に持ち替えていた杖をとかげ座に向ける。


 すると由衣の周りから5体ほどの半透明の羊が現れて、とかげ座に向かっていく。

 あっという間に、とかげ座の姿は羊に埋め尽くされて見えなくなった。



 その羊達は数十秒経って、赤い色の光を放って消滅した。



 そしてとかげ座がいた場所に倒れているのは、眼鏡をかけたスーツ姿の男だった。



 それを見た志郎が「終わったな!」と言葉を発した。

 すると佑希は周りを見ながら「そうだな」と返した。


 多分、澱みが残ってないか警戒してるんだと思う。


 一方、反対側の真聡達は男に近づいていく。


 それを見たのか、志郎が「俺達も行くか」と行って男の方へ歩いていく。

 もちろん佑希も歩いて行く。


 そんな2人の後を追って、私も歩き出す。



 そして前へ1歩、踏み出したとき。




 突然、視界がまわった。




 同時に、紺色と深紅色の光と共に星鎧が消えた。




 そして私の身体は重力に負け、前へと倒れていった。

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