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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
10節 親心、子心
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第160話 家族旅行

「だから!あんたのそういうところがうざいって言ってんの!」


 まー君の後ろに隠れているすずちゃんが、いきなり現れた男の人に向かってそう叫んだ。


 でも、男の人はさっきすずちゃんのことを「娘」って言ってた。

 だから多分すずちゃんのお父さんなんだと思う。


 ……え、何でこうなってるの?


 私がそう思ってる間にも親子喧嘩は続く。


「う、うざい……!?

 パ、パパに向かってその言葉はないだろ!」

「だからそれがうざいの!」

「すずほちゃん!何でパパにそんなこと言うの!」

「あぁもう!姉ちゃんやめろって!父さんも母さんも落ち着いてくれって!」


 すずちゃんのお父さんの後ろから、声に遅れて女の人と男の子がやってきた。


 たぶんお母さんと弟さんかな?


 ……すずちゃん、弟いたんだ。


 だけど弟さんの言葉も虚しく、すずちゃんはお父さんとお母さんと言い合いは続いてる。


 そしてすずちゃんに盾代わりにされて、間に挟まれているまー君が凄い顔してる……。


 えっと……私に何ができるかな……。


 そう悩んでいると、ちーちゃんが「あの……」と口を開いた。


「とりあえず、場所を変えませんか?

 ここ、学校の前なので」


☆☆☆


 確かに学校の前で家族喧嘩してるとまた噂になっちゃう。

 実際、周りから視線を感じてたし。


 というわけで、 私達はとりあえず学校の前から駅近くの広場まで移動してきた。

 すずちゃんとすずちゃんのお父さんとお母さん、それぞれの話を聞きながら。


 そして今。

 私、まー君、ちーちゃんは広場の段差に座って、また始まったすずちゃんの家族喧嘩を見てます。


 どうやらすずちゃんはとにかくお父さんとお母さんが嫌みたい。


 ……理由は話してくれなかったけど。


 一方、お父さんとお母さんはすずちゃんが反抗的なのに困ってるんだって。


 あと、時々すずちゃんが怪我して帰ってくることを気にしてるそう。

 それをお父さんはすずちゃんに家族が知らない彼氏ができて、その彼氏の暴力で怪我してると思ったみたい。


 そして今日、すずちゃんのお父さんとお母さんは初めて新しくできたすずちゃんの友達、私達と会った。

 不幸なことに、今日はまー君以外男の子はいなかった。


 だからまー君が原因と思われたんだね……。


 あと、すずちゃんは家族に澱みや堕ち星と戦ってるのを言ってなかったみたい。


 それを聞いたまー君は「自分で言うって言ってよな」と言ってた。

 だからたぶん、まー君も知らなかったみたい。


 そしてすずちゃんの家は明日からの3連休に今日から2泊3日で関西に家族旅行の予定なんだって。

 でもすずちゃんがずっと行かないって言ってるから今日は学校まで迎えに来た。


 そしてさっきのやり取り……ということみたい。


 まぁ……とりあえずは、まー君への誤解が解けて安心。


 ……まだ怪物と戦ってることは話せてないけど。


 でもすずちゃんは……。


「だから、私は行かないから。

 3人で勝手に行けばいいでしょ」


 こんな調子。

 そしてすずちゃんのお父さんとお母さんが、何とかしてすずちゃんを連れて行こうとしてる。


 さっきからずっとこんな感じ。

 

 私は関西家族旅行、羨ましいけどなぁ……。

 本場のたこ焼きとかお好み焼きとか美味しいもの食べてみたいし、京都にも行ってみたいなぁ……。


「父さんも母さんも、もういいだろ。

 姉ちゃんだって3連休の間ぐらい1人でも大丈夫だって。もう俺達そこまで子供じゃないんだから」

「駄目よ!せっかくの家族旅行なんだからすずほちゃんも一緒に!4人で行かないと!」

「そうだぞ藍斗あいと。パパは家族4人が幸せに、楽しく仲良く暮らすために毎日頑張って働いてるんだ。だから、4人で行ってこその家族旅行なんだ」

「だから私のため思うなら置いて行っててば!」


 すずちゃんの弟さん……藍斗君だけが喧嘩を止めようと頑張ってる。

 それでもすずちゃん達の言い合いは止まらない。


 何ていうか……ちょっと藍斗君が可哀想。


「とにかく、絶対私は行かないから!

 別に私が居なくたっていいでしょ」


 すずちゃんはそう言い残して、遂に走ってどこかへ行ってしまった。


 すずちゃんのお父さんは、もちろん追いかけようとする。

 でも「今行かない方が良いって」と藍斗君に腕を掴まれて止められた。


 そしてすずちゃんが見えなくなってから。

 藍斗君はお父さんから手を離して口を開いた。


「今の姉ちゃん追いかけたって何にも変わんないだろ」

「……パパの何が悪いんだ」

「パパとても頑張ってるわ!

 ……すずほちゃんの反抗期はいつ終わるのかしら」


 そんなすずちゃんのお父さんの手をお母さんが握った。


 ……うちのお父さんとお母さんよりも仲いいね、すずちゃんの家は。



 そこにまー君が「なぁ」と口を開いた。


「帰っていいか?」

「私も流石に同意見。鈴保すずほはどっか行っちゃったし」


 ちーちゃんも同じ意見みたい。

 2人とも、凄く何とも言えない顔してる。


 確かに私達はすずちゃんと遊びに行くってところから巻き込まれた。


 けど私は……このまま放っておくのは、嫌だ。


 ここまで聞いてしまったし、何とかしてあげたい。


 悩んでても仕方ないから、とりあえず2人に言ってみることにした。


「私は……何とかしたい。すずちゃんがどう思ってるかわからないけど、見ないふりは……嫌だ。

 だってすずちゃんは私達の友達で、仲間なんだよ?」


 そう言い切ってから、まー君とちーちゃんの顔を見る。


 ちーちゃんは……呆れてる?

 そしてまー君は……まだ何とも言えない顔をしてる。


 ……何考えてるんだろ?


 そのとき、まー君が急にきょろきょろし始めた。


 私はすぐに「どうしたの?」と聞いてみる


「……智陽ちはるを頼む」


 質問した私にそう言い残して、藍斗君達の方へ走っていった。

 星鎧を纏わずに杖を生成して。


 まー君は藍斗君達の元に着いたと同時に後ろ、私達の方へと振り向いた。

 そして上に向けて光……星力弾を放った。


「何してるのあいつ」

「どこにも澱みはいないよね?」


 ちーちゃんとそんな会話をした次の瞬間。


 上から私達とまー君の間に何かが落ちてきて砂埃が舞った。

 私は咄嗟にちーちゃんに覆いかぶさる。



 十数秒後、落下してきた影響で生まれた砂埃が晴れた。



 そこには、うろこのような皮膚と尻尾がある黒い身体の色の異形の怪物が。



 堕ち星がいた。

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