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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
8節 友達とは、親友とは
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第135話 増やしたくない

 突然、目が覚めた。



 泥のように寝ていた気がする。



 ……というか今何時?ここはどこ?



 少なくとも知らない天井、ベッドであることは間違いない。


 とりあえず、私は最後の記憶を思い出す。


 由衣ゆいに謝って……みんなといろんな話をしながらご飯を食べて……。


 あ、鮭のおにぎりが美味しかった。

 最近のコンビニおにぎりってコンビニとは思えないぐらい美味しい。


 じゃなくて、そのあとは………凄く眠くなってそのまま寝てしまった気がする。



 ……つまりここ、真聡まさとの家?

 じゃあこれは真聡のベッド?



 驚きながらも、とりあえず私は起き上がる。

 そして、ベッドを囲ってるカーテンを開けてみる。


 すると、テーブルを挟んで向かい合って座ってる由衣と真聡が目に入った。


 そして由衣がすぐに「あ、ひーちゃん!おはよ!」と声をかけてきた。

 同時に、真聡は手元から目を逸らさず「夜だけどな」と呟いた。


 私はその言葉に「……今何時?」と聞き返す。


「19時前だ。身体の調子はどうだ?」


 真聡の部屋に来たのが……15時過ぎてた。

 そこからご飯を食べたから……1時間少しぐらい経ってから寝ちゃったのかな。


 そう思いながら、私は「もうだいぶ大丈夫」と返す。

 そこで、私は部屋が静かすぎることに気が付いた。


「……みんなは?」

「作戦会議が終わったから今日は帰った。佑希もな」

「じゃあ何で由衣は……」

「だって心配だもん!」


 由衣のその言葉に真聡は「やれやれ」という感じで小さく息を吐いた。


 私はそんな2人の幼馴染のやり取りを見て少し笑ってしまった。

 すると由衣は「何!?ねぇ〜!!」と言ってる。


 あの頃とは違うところはある。

 でも、やっぱりあの頃のメンバーが落ち着く。


 ……佑希は帰っちゃったけど。


 そんな事を考えながら靴を履いて、2人が向かい合って座ってるテーブルまで行く。


 すると、由衣が「ひーちゃん、何か飲む?」と聞いてきた。


「……さっき買ってきたお茶とミルクティーしかないけど」

「お茶がいいかな」


 そう返事すると、由衣は「ちょっと待っててね~!」と言いながら冷蔵庫に向かっていく。


 私は真聡に「洗面所、貸して」と言って、許可を取ってから顔を洗うのと口を漱ぎに行く。


 一応……寝起きだから。


 そしてソファーに戻ろうとすると、紙コップにお茶を入れてくれた由衣と同じタイミングだった。

 そのまま由衣に「ちょっといい?」と引き止められて、キッチンスペースで会話が始まる。


「ねぇ、ひーちゃん。相談なんだけどさ」

「何?」

「もしまー君の部屋に簡単飲み物を作れるやつ置いとくなら何がいいかな?」


 簡単に飲み物を作れるやつ……。


「……ティーパックとかスティックってこと?」

「そう!前から思ってたんだけど、やっぱり何かすぐ飲めるものがないとさ。ここで話したりするとき不便じゃない?」


 由衣が言いたいことはだいたい分かった。

 でも真聡は何も買ってないの?


 そんな疑問を持ちながら、キッチンスペースを見回す。


 ……確かに何もない。


 キッチンもそこまで使ってる感じはない。

 そういえば、学校でのお昼ご飯も栄養食で済ましてた。


 確かにこれは心配になる。

 由衣が定期的に晩御飯を誘うって話にも今頃納得できた。


 そこに「でさ、何がいいと思う?」と由衣がもう一度聞いてきた。


 すると私がその疑問に答えるよりも先に、真聡から「2人共、全部聞こえてるからな」という声が飛んできた


「いらないことをするな。というかお前たちは俺の部屋を何だと思ってるんだ」

「でもまー君もあったほうがいいでしょ?」

「必要ない。それより早く戻って来い。レプリギアの調整や今後の予定を話さないといけないんだ。遊んでいたらお前らが帰る時間が遅くなるんだぞ」


 真聡のその言葉に、由衣は少し不貞腐れながら「はぁ~い」と返事をしてソファーへ戻っていく。

 私もそれに続く。


 ……何か忘れてる気がする。


 その何かはすぐに思い出した。


「……家に連絡してない」


 すると、由衣がすぐに「ひーちゃんが寝てから、私がしといたよ?」と返してくれた。


「……心配してなかった?」

「してはいた。だが「落ち着いて寝ている」と伝えたら「そのまま寝かせてあげてほしい」と言われた。

 ……日和、最近寝てなかったのか」


 真聡がそう言いながら顔を上げて、私を真っすぐ見ている。


 私は、家族にも「由衣達との関係で悩んでる」なんて言ってなかった。

 でも何か悩んでるというのはバレてたみたい。


 やっぱり親に隠し事なんてできないみたい。


 ちなみに寝てないわけではない。

 ……家の中でも悩んでる時間は多かったかもしれないけど。


 でもそんなに悩んでたことが2人にバレたくないので、私は話題をそらす。


「寝てたよ。もう連絡してくれてたならそれでいいの。ありがと」


 そのまま私はさっきから気になってる、テーブルの上に広げてある黒いケースに視線を向ける。

 そして「それで、レプリギアってそれのこと?」と聞いてみる。


「いや、これは智陽に貸す改造スタンガンだ。レプリギアはまだ出してない。

 由衣、取って来るから先に話し始めておいてくれ」


 そう言いながら、真聡はソファーから立ち上がって去っていった。

 そして入れ替わるように私達が反対側に座る。


 なんか怖い単語が聞こえたけど、今は気にしないことにする。


「任せて!まずはねぇ〜……」


 その言葉を最初に、由衣は私が眠っている間に話していたことを話し始めた。



☆☆☆


「これで大体全部かな?」

「多分な。こっちもできたぞ。日和、やってみてくれ」


 真聡のその言葉で私はソファーから立ち上がって、部屋の中の少し開けた場所に移動する。


 そして両手をお腹の上にかざして、テーブルの上にあるレプリギアがお腹に巻かれるのを想像する。


 すると、深い紺色の光りに包まれると共に紺色のレプリギアがお腹に巻かれた。


 できた。


 嬉しくなってると、由衣の「これでバッチリだね!」という声が飛んできた。

 続いて真聡の「何でお前が嬉しそうなんだ」という言葉も。


 私は2人のそんな会話を聞きながら、ソファーに戻って座り直す。


 そしてレプリギアを取り外して、真聡に渡す。

 すると由衣が「でも……ひーちゃん大丈夫?」と心配そうな声で聞いてきた。


「何が?」

「だって初めての戦いが私達よりも強くて、ずっと倒せない相手だから……」

「……怖いよ。でもやるしかないでしょ。

 それに怖いのはみんな同じでしょ」


 私のその言葉に、由衣は「それは……そうだけど……」と呟く。


「真聡が一緒だし大丈夫。あと、2人が明日1日使って私を鍛えてくれるんでしょ?

 ……それに私だって戦えるようになったなら逃げたくない」


 私の役目は真聡と一緒にこの前の入口から地下貯水路に入って、正面から戦うこと。

 最初は2人だけで戦わないといけない。


 言い方が悪いけど、私はしばらく囮。



 澱みも堕ち星も怖い。

 戦うのも怖い。



 でも、2人はずっと戦ってた。



 私が邪魔したくないからって、距離を置こうと考えていた間も。



 でも、今は私も戦える力に選ばれた。



 だったらもう、逃げる理由なんてない。私だって戦う。



 それに。


「私みたいに怪物に追いかけられて、怖い思いをする人を増やしたくないから」

「そっか……。

 でも、無理しないでね?」

「大丈夫、無理だと思ったらいつでも真聡に押し付けるから」


 そう言いながら、私は視線を真聡に向ける。


 すると、目を逸らされた。


 真聡はそのまま「今日のうちにやることは終わった。もう遅いし、そろそろ帰れ」と言葉を投げてきた。


 私と由衣は同時に自分のスマホを見る。

 由衣は「え!?」とオーバーリアクションをしながら。


 20時過ぎ。

 ……流石に帰らないと家族が心配してそう。


 このままだと2日間家に帰ってないことになる。


「うん。流石に今日はもう帰る」

「じゃあ、私も帰ろうかな〜。

 ……あ、まー君。忘れてないよね?」


 真聡は由衣のその言葉に「何がだ」と返す。


「ひーちゃん起きる前に話したじゃん!

 ひーちゃん送っていくついでに私の家で晩ご飯一緒に食べるって!」


 その一言で、真聡が固まった。

 すると由衣が真聡の正面に移動して「さっき誘ったら『……わかった』って言ったじゃん!」と言ってる。


 真聡の性格は少し変わった。

 ……変わったけど、やっぱりこの2人は仲が良い。


 そう思ってると、真聡は「わかった。わかったから」と声を発した。


「先に出てろ。着替える」

「は〜い!ひーちゃん、出とこ!」


 流石にジャージは嫌みたい。


 私と由衣は荷物をまとめて部屋の外に出る。

 そしてドアの外で真聡が出てくるのを待つ。



 すると、由衣が「……ひーちゃん」と話かけてきた。


「何?」

「初めて戦うのにこんなことお願いするのは酷いと思うんだけど……」

「そういうのいいから。何?」

「……まー君をお願い。1人でまた無茶するかもしれないから……」


 そういった由衣の目は凄く心配しそうな目だった。


 ……やっぱり、真聡の方が。


 そんな事を一瞬だけ思った。


 でもさっきの戦いで、私も壁まで吹き飛ばされる真聡を見てる。



 ……私だって心配。

 確かに無茶をしそう。



 それに、真聡も私の大事な友達で幼馴染だし。



 ……あと由衣ならきっと既に、真聡に「私をお願い」って言ってそう。



 なので私は「もちろん」と口を開く。


「任せて……とは言えないけど、無茶しそうなら引きずってでも逃げるようにする」

「ありがと」


 そうお礼を言った由衣の顔は、ニッコリと笑っていた。

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