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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
8節 友達とは、親友とは
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第128話 空をも走れ!

 時間は平原ひらはら 志郎しろう白上しらかみ 由衣ゆいと分かれたところまで遡る。


☆☆☆


 しろ君が壁際に追い詰められているまー君を助けに行くために走って行った。


 もちろん、私だってまー君を助けに行きたいとは思った。行きたかった。


 でもきっとしろ君が私を止めて「自分が行く」って言ったのは、しろ君の考えがあると思う。


 だから私は、しろ君にまー君をお願いすることにした。


 2人で行くことも考えた。

 でもすずちゃんやゆー君に1人で概念体を任せるのも嫌だった。



 だから早く概念体を倒して、みんなでまー君を助けにいかないと。


 ゆー君には「十二宮の概念と戦っている志郎と鈴保すずほを優先してくれ」って言われてるし。


 私は少し焦りながらも、しろ君が壁まで吹き飛ばした蟹座の方へ走る。


 どんどん小さくなって見えなくなったから……。

 

 そう考えながら、私は足元に気を付けながら進む。


 すると、さっきまで大きな蟹が居たところに1枚のプレートが落ちていた。

 私はすぐにそのプレートを拾い上げる。


 ……でも見てもこの並びが蟹座なのか自信がない。


 とりあえず私は星鎧の一部を一瞬だけ消滅させて、蟹座のプレートを制服のスカートのポケットに仕舞う。


 次に私はすずちゃんの方を見る。


 もちろん空中を飛び回る、尻尾を繋がれた2匹の大きな魚。魚座の概念体と戦ってる。


 すずちゃんは……毒を飛ばしてるのかな、あれ。


 いや。今はとりあえず行かないと。


 そう思って私は走り出す。


 魚座の概念体が口から水を吐き出した。

 すずちゃんはその水を避けて、何かを撃ち返している。


 すずちゃんはまー君のお陰でちょっとした毒なら使えるようになっていた。

 だからその毒を飛ばしてるんだと思う。


 確か当たると……身体が痺れるんだっけ。

 いつの間にか飛ばせるようになってたんだ。


 でも、すずちゃんの毒は避けられている。


 というか、2匹の大きい魚が尻尾をくくりつけられてるのに、動きぴったりなんだけど!

 あれじゃあ攻撃当てられないじゃん!


 そんな事を思いながらも、「助けに来たよ!」とすずちゃんに声をかけて合流する。


「助かる。……でも由衣、何とか出来そう?」


 その指摘に、私の口から思わず呻き声が漏れる。


 確かに来たのはいいけど、何とかできる方法が思いつかない……。


 悩んでいるとすずちゃんが口を開いた。


「魚座の概念体。私は毒飛ばしても射程が足らないから当たらない。

 そして跳んで近づいても、自由に飛び回るから逃げられるんだよね」


 そこに魚座の概念体が突撃してきた。


 私達はそれを左右に別れて避ける。


 飛び込んで、地面を転がって、起き上がって、魚座の方を見る。


 ……本当にどうしたらいいんだろう。


 そう思っていると、「由衣の羊って、空中走れないの!?」というすずちゃんの声が聞こえてきた。


 でも私は、その言葉にすぐに答えられなかった。


 だってやったことないからわからない。


 そして考えている間に水が飛んできた。

 それを走って、転がって避ける。


 ……とりあえず返事しないと。


 すずちゃんと離れちゃったし、私は「わかんない!やったことないから!」と叫ぶ。


「そう!じゃあ他の方法考えないとね!」


 そう返事をした後、すずちゃんは飛んでくる水を避けながら魚座に向かっていく。


 だけど、すずちゃんが近づくと魚座は上に昇っていった。

 すずちゃんは「あ~もう!」と怒りの声を発している。


 飛んでるから直接攻撃ができない。

 降りてきたところにやっと近寄っても、また飛んで逃げられるんでしょ?


 ……蟹座より大変じゃない?


 それならやっぱり、私の羊に空中を走って追いかけてもらって……体当たりして降りてきてもらうしか……ないよね。


 やったことないから出来るかわからない。

 でも私もこれしか思いつかない。


 それにやって出来なかったんじゃなくて、やってないからわからない。


 だったらやるだけやってみるしかない!


 私はまた飛んできている水を避けながら、すずちゃんに「さっきの話!やるだけやってみる!」と叫ぶ。


「わかった!じゃあお願い!」


 そう言うとすずちゃんは魚座の攻撃を避けながら、また柱に向かって跳んだ。

 そして空中から毒を飛ばしてる。


 ……また避けられてるけど。


 一方、私はちょっと距離をとって深呼吸をして集中する。

 そして目を閉じて、私が作った半透明の羊が空中を走る姿を想像する。


 大丈夫、できる、いける!


 私は目を開けて言葉を紡ぐ。


「羊が1匹、羊が2匹。眠れよ眠れ。空も走れ!羊の群れ!」


 そう唱えるといつものように羊が現れた。今回は5匹。


 そして5匹の羊達は魚座に向かって走り出す。

 走ってくる羊を見た魚座はすずちゃんから離れて、さらに上へと逃げる。


 すると羊達も空中を走って追いかけていく。空中を走るのが当たり前のように普通に。


 上手く行った!


 そして2匹の大きな魚と、5匹の透明な羊による地下貯水路空中追いかけっこが始まった。


 巨大魚は羊を消そうと水の弾を飛ばすけど、羊達は上手に避ける。


 その光景が数十秒続いた後。2匹の羊がそれぞれ左右別の方向に走り出した。


 きっと先回りをするんだ。


 しかも沢山ある柱を使って、上手に隠れてバレてないみたい。


 そしてその羊達は魚座の前に左右から飛び出した。

 その体当たりは不意を突かれた魚座に綺麗に決まり、少し動きが遅くなった。


 その隙を逃さず、後ろから来ていた3匹の羊も次々に体当りして消滅していく。


 5匹分の体当りを受けた魚座がふらふらと地面に落ちてくる。

 それを見たすずちゃんは、既に魚座に向かって走り出した。


 そして思いっきり槍で重なってる2匹の大きな魚を突いた。


 渾身の一突きってやつ。


 その一撃で魚座は壁まで吹き飛んで行った。


 これで……倒せたのかな。


 ……何かいつもの羊を呼び出す時よりも疲れた気がする。


 でも今はそんな事言ってられないよね。


 とりあえず私はすずちゃんに「上手く行ったね!」と言いながら駆け寄る。


「うん。でも今までで1番疲れた……」

「私も〜……でもとりあえず、プレートを取りに行こ」


 そして私達は吹き飛んだ魚座に駆け寄る。


 やっぱり、蟹座と同じでプレートが落ちてる。


 拾い上げると、後ろからすずちゃんが「無事に回収できてよかった」と言った。

 私は「うん!」と返事をしながら振り返る。


 そしてもう一度星鎧を一瞬だけ消滅させて、制服のスカートのポケットにしまう。


 ……よし。


「まー君とゆー君助けにいかないと」

「だね。……どうする」


 すずちゃんがそう言ったとき。地下貯水路に轟音が響き始めた。


 この音は……上から!?



 見上げると、そこには。



 ……何あれ。

 とりあえず見た目は黒い塊。


 それが沢山、地下貯水路に降ってきている。

 地下にある空間だから、空なんてないのに。


 でもそれは、本当に降り注ぐ流星群とか隕石みたいだった。



 ……だいぶ見た目が怖いけど。



 そしてそれはもちろん、私達に向けても。



 状況が理解できないけど、私は咄嗟に全身を星力で守る。



 一方、すずちゃんは私の方をちらっと見た。



 そして降ってくる隕石に向けて槍を構えたあと、槍を投げた。



 ……何で!?



 そう思った直後、私は衝撃で吹き飛ばされた。

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