列に並んでいた時 ~肌着たくし上げが好きな人のみ読んでほしいと願う物語~
シミーズ、紙、パンツ。
あなたはスーパーで買い物をしていた。
レジに向かい、列の最後尾にいた主婦の後ろに並ぶ。
自分の番が来るのを待っていたら、奇妙なことが起こる。
突然照明が暗くなったのだ。
周囲の空気も重くなった気がした。
あなたが何よりも驚いたのは、前にいた主婦のすぐ後ろに、白い肌着姿の女の子が並んでいることだった。
いつ割り込まれたのか、あなたには全く分からない。
背を向けている肌着の子を、あなたは見下ろす。
彼女は買い物カゴも持たずに、ただ立って並んでいた。
彼女の着古したような木綿の肌着シミーズは、同色のパンツの上半分を隠している。彼女の黒髪は、シミーズの太い肩紐に届くほどの長さだった。
店内が暗くなった分、彼女の露出した肩や素足など、肌の色は濃く見える。逆に、白い下着部分がより際立って見えた。
この女の子の存在は、明らかにおかしい。
さらにおかしなことが起こった。
『あなたに問題があります』
頭の中に、声が直接伝わって来た。
『こちらの空間で、不自然な点は一体どこでしょうか?』
声の主は少女のようだけれども、背中を向ける少女が喋っているふうではなかった。
その謎の声に対する答えは、あなたにもすぐに思い至った。
ただ、口にするのは、恥ずかしい。
それを向こうも分かっているのか、
『早くお口に出して、お答え下さいね』
急かされた。
あなたは恥を忍んで、言葉を発した。
目の前に下着姿の子がいる、と。
『はい。正解です。おめでとうございます』
簡単な問題だった。引っ掛け問題ですらなかったらしい。
『あなたは正解することが出来ましたので、こちらの空間から、元の場所へと帰してあげましょう。……もちろん、正解のご褒美もありますよ』
前の女の子がくるりと回転し、こちらに正面を向けた。その動作は機械的だった。
両手を前で重ねている、シミーズ姿の女の子。
彼女の顔は無表情で、生気が感じられない。
あなたが見ていると、女の子は一礼した。それからシミーズの裾をつまみ、平らな胸部の下辺りまで、たくし上げた。
丁寧で、美しさもあった。
おなかに、細長い紙を直接くっつけているのが目に入る。白い紙には手書きで、『ご正解おめでとうございます。』と書いてある。
それと、シミーズで半分隠れていた白いパンツの正面も、完全に晒されている。
パンツは一見するとオムツに思えるような、肌を広く覆う形状だった。おへそはパンツ内側にあり、パンツの上部には白くて小さなリボンがついていた。同じリボンは、シミーズの胸元にもあった。
照明が眩しい。
あなたがそう感じると同時に、女の子の姿は消えていた。
ここは元のスーパーだった。
あなたが周りを見回しても、女の子は見つからなかった。
不思議に思いながらレジを済ませ、スーパーを後にした。
帰り道で、あなたは本日の体験を思い出す。
もし、あの問題で不正解したり、謎の声の問題を無視したら、どうなっていたのかが、気になった。
何かが異なるあの場所に、閉じ込められたままだったのかと思うと、ちょっと怖い……。
でも今は、ここにいる。
正解のご褒美が見られたことが大きい。
少し幸せな気分で、あなたは家に帰った。
(終わり)
最後までお読み頂き、ありがとうございます。