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5、冒険者ギルド

 この男魔法使い、ショーキが何者かは知らないがさっさと話を通してくれたのでなんの問題も発生せず街の中へはいることができた。

 街の名前はファートス。人口約40万人の大都市だそうな。

 石組の道路に中世ヨーロッパ風の格好をした人々が行き交っている。木のタイヤの馬車がガラガラと音を立てている。タイムスリップしたんじゃないかと思うほど『昔』を感じる。


「それで、さっき外でちょろっと聞いたが、冒険者ギルドに行けば身分証を発行して貰えるって本当か?」

「冒険者ギルドは冒険者を名乗る一般人を冒険者ギルドの力が及ぶ限りサポートする機関です。冒険者ギルドが設置してある街にはその身分証を見せるだけで簡単に入国できます。旅をしているのに冒険者ギルドを知らないとは……相当遠いところから来たと言うことですよね。」

「お、おう、観光ガイド並にスラスラと説明が出てくるな。そういう仕事したことあるのか?」

「いえ、別にそんなことは」


 道端に屋台が立ち並んでいたりするので見渡すだけで面白い。歩きながらキョロキョロ周りを見渡す俺はどこから見てもおのぼりさんに見えることだろう。実際はあまりの『昔』具合に驚いているので逆。オサガリさん?だがな。


「ヒカルさん。ここです。ここが冒険者ギルドです」


 考え事をしていたらいつの間にか冒険者ギルドについた。割と大きな建物だ。外観は神殿っぽい出で立ちだが、下品な笑い声と酒臭さが外にまで漏れてきている。

 中に入るといっそう濃い酒の匂いと焼けた肉のいい香り。色々混ざって焼肉屋の中の匂いみたいな感じだ。


「自分は換金所でサイクロプスを査定してもらってきますので楽しみにしていてください。冒険者ギルドへの登録は4番カウンターで行っていたはずですので、俺を待っている間はそちらへどうぞ」

「店員さんかな?」


 ショーキの案内に従って4番カウンターに顔を出す。建物の匂いは焼肉屋のくせにシステムが役所っぽくて、なんだか緊張する。


「ここで冒険者になれると聞いて来たのだが」

「ようこそ冒険者ギルドへ! そうです。この4番カウンターは冒険者の登録カウンターです。よくいらっしゃいました」


 にっこにこの受付嬢さん。これは可愛い。荒くれ者を束ねるにふさわしい顔面力だ。きっと彼女の一声で冒険者がまとまるのだろう。


「試験とかあるのか?」

「試験ですか? あなた、4番カウンターを見つけましたよね。だから問題ありません。」


 俺はその発言を聞いて、なぜ問題なかったのか2つの説が思い浮かんだ。

①4番カウンターが冒険者の登録受付だということは職員から公開されておらず情報収集の課題のようになっていた説

②4番カウンターには認識阻害の魔法がかかっていて実力者しか見つけられない

 異世界なら……②か。


「もしかしてこの4番カウンターはある程度の実力を持った人にしか見えない的な魔法がかかってたりするんですか?」

「あら、よく分かりましたね。4番カウンターを見つけられない人はそもそも冒険者になれないということです。それに気付けるとはあなた中々やりますね」

「ありがとうございます」


 かわいい女に褒められて心がホクホクだ。とりあえずカマかけて正解だったな。


「それじゃあまずはこの水晶に手を置いてください。この水晶は手を乗せた人のステータスを見ることが出来る特殊な魔法がかけられています。」


 そして俺はついに遭遇した。誰もが憧れるあの水晶! ステータスを見る謎の水晶だ。ご存知の通り俺たちの世界にはこんなものは存在してない。せいぜい魔力量を計測する装置がある程度だ。

 ステータスとやらがどんな感じで表示されるのかは分からないがとても楽しみだ。

 俺の攻撃力、防御力が数値化されているのだろうか? それともスキルがいっぱい出てくる感じなんだろうか。


俺はそっと手を水晶に手を乗せた。


名前・ヒカル

HP5496/5483

魔力量A 攻撃A 防御A 素早さAAA


 おおぉ、出た!!


「これは!! なんて高いステータス!ステータスがオールAなんて!! 素早さに至ってはAAA!? 英雄と呼ばれる人達でもこんな数値にはなりませんよ!!」


 驚く受付嬢に自己肯定感が上がる。気持ちがいい。やはり異世界。この経験ができただけで異世界に来て正解だったと思う。なんなら一生この世界で過ごしてもいいと思ったほどだ。


「こんなステータスを見たのは2回目です!」

「2回目」

「はい、2回目です」


 2回目だった。こういう時は「こんなの初めて!」となるものだと思ってた。ちょっとショック。


「多分機械の故障でしょう。時々水晶と相性が悪くて変な表示になったりするんです」

「いやいや、多分その水晶合ってますよ」

「ははは、面白いこと言いますね。そんなに自信があるんですか?」

「あります」

「そういう冒険者さんは嫌いじゃないですよ」


 多分俺のステータスを正確に写しているであろうその水晶を見て、受付嬢が機会が壊れてしまったと思う。この流れもまたテンプレだ。せっかくなら水晶をバキッと割るやつやってみたかったが、そんな都合のいい水晶はあるのだろうか? そのうち割ってみたいものだ。なお、俺にそんな魔力量があるかどうかはノーコメントだ。

 受付嬢さんは奥から違う水晶を持ってきて、またカウンターの上に置いた。


「コレはその人が持っているスキルを映し出す水晶です。有用なスキルがあるようでしたらギルドカードに書かせて頂きます」


 スキルなんてものは俺の世界にはない。どうなるか分からない。俺がこの世界でどういう扱いなのかが分からないのでこの水晶に手を乗せたら一体どうなるのか全然想像がつかない。

 だが、俺はとても強い。この世界でもなんか有用なスキルが沢山出てくるはずだ。


俺はそっと水晶に手を乗せた。


名前・ヒカル

所持スキル数、測定不能

【発光】【シャイニング】【足が光る】【ライト】【光源発生】【フラッシュ】【点灯】【光】【輝く】【光放つ】【ピカピカ】【光操作】【光る】【ライトアップ】【キラキラ】【シャイニング・フラッシュ】【フラッシュ・ライト】【大点灯】【光り輝く】【光輝く】【光源設置】【光源産み】【手が光る】【とりあえず光る】【なんか光る】【とても光る】【手も光る】【顔も光る】【キラキラ光る】【めっちゃ光る】【すごくシャイニング】【めっちゃライト】【光調節】【常夜灯】【蛍光灯】【懐中電灯】【電灯】【LED】【明るくする】【灯り】【明かり】【明り】【首が光る】【顔が光る】【電球】【人間電球】【キラキラ】【キラリ】【超光源】【輝き電球】【スポットライト】【光るパジャマ】【月明かり】【紫外線】【レーザー光】【星の光】【太陽光】【陽光】【ブルーツ波】【光ってる】【ザ・シャイニング】【とってもライト】【光汁】【光り溢れる光汁にライトとレーザーが輝くザ・シャイニング】【アップライト】【ストレートフラッシュ】【ロイヤルストレートフラッシュ】【ストレート・フラッシュ】【ロイヤル・ストレート・フラッシュ】【膝が光る】【股間発光】【執拗に発光する股間】【謎の光】【恥部隠しの光】【全年齢版の修正光】【脛が光る】【膝も光る】【脛も光る】【レーザー】【レーザー脱毛】【フラッシュタイム】【光速】【煌々】【光線】【光学】【光芒】【光芒(こうぼう)】【光彩】【光沢】【光明】【光明(こうみょう)】【日光】【月光】【後光】【雷光】【蛍光】【威光】【採光】【眼光】【逆光】【陽光】【閃光】【閃光弾】【太陽拳】【金属光沢】【超光速】【超煌々】【超光線】【超光学】【超光芒】【超光芒(ちょうこうぼう)】【超光彩】【超光沢】【超光明】【超光明(ちょうこうみょう)】【超日光】【超月光】【超後光】【超雷光】【超蛍光】【超威光】【超採光】【超眼光】【超逆光】【超陽光】【超閃光】【超閃光弾】【超太陽拳】【ヘソが光る】【まだ光る】【まだまだ光る】【輝いてる!輝いてるよ!】【筋肉光】【黒光り】【黒光り筋肉】【光り筋】【蛍光塗料】【色】【カラーパレット】【ミラーボール】【テカる】【ピカる】【親指が光る】【人差し指が光る】【中指が光る】【薬指が光る】【小指が光る】【親指も光る】【人差し指も光る】【中指も光る】【薬指も光る】【小指も光る】【それはそれは光る】【レーザー漏出】【光漏出】【光お漏らし】【そう、あの時代、小学校ぐらいかな? あの若くて輝いてた頃……あの頃とおなじ輝きをいつでも出せる】【どこでもレーザー】【いつでもレーザー】【たくさんレーザー】【どこでもライト】【いつでもライト】【たくさんライト】【ライト分身】【ライト影分身】【ライト増殖】【時々光る】【ピカピカ生活】【ピカリズム】【ピッカピカ】【新品のようなピカピカ】【ミラーボール輝いて】【反射光】【貫通光】【人体の不思議・光る手】【人体の不思議・光る足】【そろそろ胴体も光る】【腹が光る】【虹】【テレビジョン】【イルミネーション】【忘れた頃に股間が光る】【その頃股間は光り輝く】【開放感とともに光り輝く】………【レー…ー】…………………

【光……回線】【股間…光】【超…光  輝】【輝き…光】……


ん?


「これは!! なんですか? コレ? えぇ……!?どういう鍛え方したらこんな風になるんですか? あー、やめてやめてストップ! 止まって! こんなたくさんのスキル読み込んだら水晶がバグっちゃいますぅ」


 俺のスキル、こんなふうになっているんだな……とわれながら感心する。

 あぁ、知らない人のために説明しておこう。俺は千里眼やビームなどそういうものも含め、光に関してことならなんでもできる男だ。光を扱わせたら世界一。それが俺だ。

 本当になんでも出来る。その結果がこのスキルってことなんだろう。

 俺は生まれた瞬間から発光していたらしいので才能ってやつだな。


「ふぅ、止まりました。何とか水晶が壊れずに済みましたよ」

「壊れる前に止めちゃったのか?」

「何残念そうな顔してるんですか! 高いんですよコレ」


 受付嬢さんはぷんぷんと効果音が付きそうな怒り方をしている。こういうところが受付嬢として人気の出る秘訣なのだろうか。


「同じようなスキル構成の人が一回水晶を壊したことありますからね。2回目なら対処も簡単です」

「2回目……」


 またしても二回目だ。何者かが俺の気持ちいい異世界生活のスタートを阻んでいる。ショックよりも先に怒りの感情が湧いた。俺はちょっとイラついた顔で受付嬢に聞いてみる。


「その、一回目の人って何者なんだ?」

「一回目の人ですか? ふふふ、驚かないでください。劇にもなってるあの英雄ですよ」

「俺はここらへんの事は分からないぞ」

「あぁ、そうでしたね。他の国から来たなら知りませんよね。この国の言葉かなりお上手ですね。」


 はい、ここ。ここです。このシーン、読者の皆さんも褒めてください。

 読者の皆さんは俺がこんなにスラスラと意思疎通していたので忘れていたかもしれない。だが、俺はキャヌエルぬいぐるみの通訳でなんとか会話をしているのだ。

 受付嬢さんは褒め上手だよな。俺の欲しい褒め言葉をよく分かってるな。と、俺はこの時そう思っていた。


「話は少し逸れましたが、その英雄の名前は……」

「名前は?」

「キャヌエル様です」


 知り合いじゃないか。

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