第2話
うーん、最後の記憶からすると病院だろうけど
そんな感じの部屋ではないな。
シングルのベッドにシンプルな家具たち。
誰かの部屋?なのは確かだ、ふと机にある写真を
見ると唐突に景色がぐにゃりと歪んだ。
知らない記憶が自分の頭の中をかき回す。
気持ち悪い、頭を抱える様にうなだれると
自分のであろう髪の毛が視界に入った。
濃い藍色…そんなわけない、私は染めてない。
鏡、ベッドから立ち上がり机の引き出しを
勢いよく開けた。
何故、私はここに鏡があると?ゾッとしたが
見るとそこには、見覚えのある顔があった。
嘘でしょ、そこには[永久の契り]の
主人公の幼なじみのモブ少女こと
宇井野 零だった。
落ち着こう、まさか今流行りの異世界転生?
幸い、零の記憶はある。物語の始まりは
どのジャンルでも一緒だ、主人公が中等部に
転入してきたところから始まる。
宇井野 零は小説ではまったく
書かれていない。転入してきた
主人公の幼馴染みではあるが、
まあBLだし。
でも、これって最高ではないか?
近くで好きな作品の好きな推しの
幸せを間近で見れるチャンスなのでは。
はー、やばい。
転生した事を考えても仕方ないので
全力でこの世界を楽しもうと思います。
懸念すべきなのは果たしてここが
小説の世界なのかという事。
ちょっと、試してみるか。