第1話
目が覚めると、知らない天井だった。
上体を起こして周りを確認するとやはり知らない部屋
昨日飲み過ぎたかな…
仕事帰り、上司のミスを押し付けられ終わった頃には
終電はとっくに無くなり。
怒りよりも疲労感の方が勝り、駅から引き返すと
周りの居酒屋から楽しそうな声が聞こえてきた。
はあ、せっかくの金曜日くらい早く帰りたかった、
生憎私には、愚痴を言う友達も恋人も居ないし
早く帰ったところでなんだが。
唯一の癒しといえば昼休みにダッシュで買いに行った
[永久の契り]という小説のみ。
ジャンル的にはBLだが、作者は価値観に囚われず
色んな人が読んでも楽しめる様に小説では王道BL
漫画では魔法バトル、ゲームでは乙女ゲーム更に
アニメ、ミュージカル、映画など同じ世界観と
キャラクターで様々な物語が繰り広げられている。
まあ、私は小説しか買っていないのだが、
やっと最終巻の発売日だったので、仕事中の
昼休みに買いに行ってしまった。
なんといっても、王道なのがとても好きだ。
舞台は全寮制の学校で主人公は元喧嘩最強の
とあるチームのリーダーだったけど事件をきっかけに
辞めて全寮制の学校に転入する形で入り、容姿端麗な
姿を隠し様々な登場人物と交流をする。
とても、良き。
早く帰って読みたい!足早にタクシーを停めて
狭いアパートに帰った。
早速読もうと思ったが、時間も遅いし明日ゆっくり
噛みしめながら読もうとテーブルの上に置く。
冷蔵庫からビールを取り出し、今日の運の悪さを
呪いながら一気に喉に流し込んだ。
時間がどのくらいたったのだろう、微睡む意識の中で
サイレンの音と息苦しい感覚に襲われたが煙と熱さが
立ち込める中で私は意識を手放した。