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師匠! 「ちゅうしましょう!」

第3章 魔導国家 グリムロ


魔導国家グリムロと言えば誰しもが住んでみたい夢の国だ。

その名前の通り魔導都市であり、さらに高い建築術も兼ね備えた国でもある。

現代世界で言うタワーマンションみたいな建物が沢山ある。

というのも魔術には使用する限界値があるらしく、この国に住んでいる人たちは魔術をほとんど使わない。魔術力……通称MPを使わないように高度な生活感を生み出したのだ。

 俺にとっては当たり前のような世界でも、この世界の住民にとってはこの現代世界風の建物は物珍しく感じるだろう。


俺たちは荷馬車を宿に止めて町を散策し始める。宿と言っても他の国とは異なり、現代世界でいうホテルのようなきれいな建物になっている。部屋の内装もとてもゴージャスであった。

「魔導都市って、もっと人とかが浮いているイメージでしたけど。全然違う方向ですごいですね」

リリは初めて見る都会の街並みに興味津々だ。

「ああ、魔術で空を飛ぶよりも。車を使った方が燃費よさそうだからな」

「燃費?」

そう、この国では車があるのだ。正確には車に似たような乗り物だ。

この魔導国家グリムロでは魔術をできるだけ使わないように研究を重ねた結果、このような便利アイテムが世に出回ることになったのだ。リリも初めて見るようで「透明な馬がどこかにいるの?」と不思議な顔をしていたのだった。


「魔術は体力を消費するんだ。この魔術を使いすぎると人はしばらく動くことができなくなる。この魔導都市グリムロは研究職が多く住んでいるので日常の事で魔術を使うのは効率が悪いんだ。だからこんなにも近未来化した国になっているんだ」


「へえ、そうなんですね! 近未来すぎて目が回っちゃいます。建物大きすぎ! 屋台とかないんですか? 私、新しい国に来たらまずはその土地のご飯を食べたいんです!」


「この国では屋台は景観を壊すから出店してはいけないんだ。代わりに営業許可を取ることで一時的にお店をオープンしてもいいんだ」

「そうなんですね、商業国家デコの国ではよそ者は一切出店禁止でしたが、ここでは開けるんですね! クレープ屋!」

「そうだ。このグリムロでクレープ屋を開くことができる。しかも建物の中で営業できるから雨風の影響を受けないんだ」

「これで安定した集客が見込まれますね!」

「その代わり……あ、あそこでご飯を食べよう」

俺は食事専門の料理ビルを見つけるとリリと近くまで歩いていく。料理ビルは10階建てで、1フロアごとに違うお店が出展されている。


『料理ビル 店名』

1F らいらいけん(年間)

2F リッピーポ(今月のみ)

3F ゴリー(今月のみ)

4F 募集中(1ケ月7万カン)

5F デネブ(年間)

6F カネアール(年間)

7F ドリス(年間)

8F 募集中(1ケ月11万カン)

9F 募集中(1ケ月18万カン)

10F リーデウラス(年間)



グリムロではこのような料理ビルが沢山ある。基本的に上階に行けば行くほど高級なお店とされている為、富裕層が多い。逆に低層階はファミリー向けのお店が多くなっている。ビルのオーナーは1カ月ごとにフロアを貸し出しをしている。基本的にはマンスリー契約だが、1年契約だと5%オフ、5年契約だと10%オフ、10年契約だと20%オフで借りれるのだ。永住する人向けのプランもあるのだ!

「師匠! 店名を見てもさっぱりわかりません! 何のお店でしょうか?」

「俺も上階は何のお店かはさっぱりわからん。なんでも不思議な名前の方が高級感あると思われているみたいだね。ただ、このお店はどういうお店かわかる」

俺は迷わずに指をさす。

「ここにしよう」

「らいらいけん?」

〇〇軒と言えば中華とかラーメンを思い出すだろう。現代世界で生きてきた俺はなんとなくイメージがわく。このお店なら大丈夫だろう……。


「中華にしようか」

そういうとリリはほおが真っ赤に染めあがる。

「りり?」

「師匠、いきなり!!! ちゅうしようかなんて! 大胆すぎます! こんなところでちゅうしちゃうんですか! 変態さんですね! でも師匠がどうしても……」あわあわ

「違うよ、この料理の名前だよ……あっ」

そういえばこの世界に中華という言葉自体存在しない。だから中華、ちゅうか、ちゅうしよっかとなってもおかしくは……ない? のかな。


「リリ、とりあえず中に入ろうか」

「は、はい! ちゅうしましょう!」ドキドキ!


俺は店の扉を中に入った。俺の予想通りの内装だった。


「はい、いらっしゃい!」わいわい がやがら

昼時だということもあり店は非常に混雑していた。


「……。ここでちゅうしよっか? するんです?」

「だから、料理の名前だって!」

「私のドキドキを返してください!」


俺たちは普通に飯を食べた。

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