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俺「魔王を倒しに来たけど、魔王倒したらニートになっちゃうじゃん?」

3年前 ワウフの村

この村は刀鍛冶の村だ。俺が魔王を倒すために必要な剣を作ってもらった場所でもある。

「おお、サエキ殿。魔王を倒してきたんじゃな」

そう声をかけてきたのは長老のガララだった。彼は獣人族を連ねるこの村の長、見た目は50歳~60歳、無精ひげひげを生やし、頭の上には猫のような耳を付けている。

「ガララさん、お久しぶりです。魔王を倒せたのはあなたのおかげです」

「いやはや、本当に倒してしまうとは……長きにわたる魔王の恐怖から逃れられる日をこれほどまでに待ち望んでいたことはない。さあ、まずは私の家に招待しよう。旅の話を聞かせてもらおうじゃないか」


◆◆◆

長老ガララの家

勇者サエキ、ヒーラーのモモカ、戦士のデウス、ウィッチのアイシャはガララの家で夕食を食べさせてもらいながら、長い旅の話を長老へ伝えた。


「ほほう、それでそのあとどうだったんじゃ!」

「魔王を倒すために俺は亜空切断を習得したんだ、だがそれにはグリムロの国のアイシャの力が必須だった」

「ふふっ、私は何もしていないわ。ただ、ひたすらに彼の努力よ」

彼女は青い髪を右手で掻き上げると嬉しそうにつぶやいた。


「魔王の腕を切り落とすためにはガララさんのくれた剣だけでは成し遂げられなかった。これはデコの国、デウスの毎日の特訓のおかげだ」

「俺は最強の戦士だからな! だが瞬発力と反射神経をここまで高めるのは大変だったぞ」

力自慢のデウスはそうつぶやいた後、目の前にある肉をがむしゃらに喰い始めた。

「それに彼は俺たちがあきらめそうなときにはいつも励ましてくれた。精神的な面でも彼の存在は大きかったんだ。そして……」


俺はモモカの方を見た。一番の付き合いが長い仲間だ。

「アラタさん、私、皆様のお力に建てたでしょうか?」

「ああ、もちろんだ。お前はヒーラーとして絶体絶命だった俺たちに回復魔法を瞬時にしてくれた。お前のおかげで俺は魔王に最後の一撃を食らわせることができたんた」

「魔王は倒すことができましたが、あのような捨て身攻撃はもうやめてくださいね。あなたの作戦はいつも的確でしたが、私がもし少しでも魔力が足りなければあなたは死んでいました。「回復術をかけ続ければ死ぬことはない、俺が魔王に突っ込む」、なんてもうやめてくださいね」


それから旅の話を面白おかしくガララへ伝えたのだった。

「いやはや、とても面白い話じゃった……。さて、これからお前らはどうするのじゃ?」

「え、どうするって?」

俺はガララに聞き返す。

「いや、だって魔王を倒したわけじゃし……この世界は平和になったと言えるじゃろう。そろそろ歩き始めても良いのじゃないか。お前たちの道を」

「俺たちの……道?」

「そうじゃ、魔王をなぜ倒すのか。それは平和のため。そして平和になった今何をするのか。これまで通りこのパーティを続けるのも良いが……あるんじゃろ? 夢が」

「夢?」

「思い出せ、お前たちが本当にしたかったことを。そしてこの夢をかなえるためにお前たちは魔王を倒したんじゃろ。いま、お前たちの本当の夢をかなえるときなんじゃ。例えこの先の道が違っていてもお前たちは仲間じゃろう……」


「あったわ」

最初に声を上げたのはモモカだった。

「そうだったわ、私は先生になりたかったんだ。もうこの世界を悪しき世界にしないように……子供たちが悪しき道に手を染めないように」


「わ、わたしも……幼い頃から夢に見てた。もっと便利な魔術を研究して世に広めたい!」

アイシャも胸に潜む夢を語った。


「俺はこのまま冒険者として過ごしたいな……と言っても俺はもう魔王を倒したときに体を壊したからそういうわけにはいかないか。だが、俺にはもう一つ夢がある。俺は、俺の……彼女と結婚して……幸せな家庭を築いてやる。そんで商人なんかやってよ、面白おかしく過ごすんだ。だから、その時はみんな俺の店に来てくれよな!」

デウスには3つ下の彼女がいた。このパーティに居続けることで彼女を一人置いてきてしまった。もう十分だ、デウスは彼女と一緒に暮らしても良いだろう。


「みんな、夢があっていいな」

俺はみんなの夢は本当にすごいと思った。凄く応援してあげたい。


「んで、お前はどうするんだ、サエキ」

デウスは俺に問う。


「お、俺は……」

(そう、俺は魔王を倒すためにこの世界に転移させられた。だから魔王を倒した後の目標や夢などは考えたことがなかった)

「俺は旅を続ける。見つけるよ、お前たちのような素晴らしい夢を」

俺は……明確に答えることができなかったのだ。

(魔王を倒しに来たけど、魔王倒したらニートになっちゃうじゃん? もしかして、俺ピンチ?)

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