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師匠! クレープの作り方教えたら、盗賊村は立派な観光地になりましたね!

◆◆◆


こうして盗賊村はクレープを特産とした観光地へ発展した。もう村ではなく立派な町だ。

町の名前はアスヒーダ。クレープ屋の名前はメルティ2号店。支店長は盗賊村の若大将だった「ロッキ」が担当した。デコの国の滞在をなんだかんだ80日まで増やし、多くの村人に作り方を研修した。

砂糖やら行商が預けたものをすべて返すと、デコの国の価格も通常の料金に戻ったのだ。これにはデウスも一安心していた。俺とリリはアスヒーダの宣伝をかけてお客さんを集客し始めた。30日を過ぎて観光客を呼ぶための宿屋ができた。50日が過ぎてからはもっとたくさんの人がやってきた。宿屋を増設し始めた。俺とリリがこの町を出ていく日の前日には2号店を増設し、クレープの新商品なども自分たちで考案していたのであった。


気になる月間収支はなんと1ケ月で300万カン! さらに併設する宿屋や酒場の売り上げも10%UP!

結果、行商ビジネス等をしなくともこの町は大成功することとなった


「この村、いや町は大きくなったな。」

「師匠、たくさんの歌が聞こえてきますよ! 見てくださいあそこの広場を!」

『うまぁああうまあぁあああ』

長老のアデアラ含めみんなで仲良くクレープを食べていた。

「そういえば、長老のアデアラさん、歌手デビューしたみたいですよ。新曲はクレープうまぁですって」

「あはは、そんなに気に入ってもらったんだ」


◆◆◆

最終日

「さあ、そろそろ次の国へ行くか」俺はデコの国に預けていた馬を返してもらい、荷馬車につないだ。

「出発だ!」


「おい! ちょ、ちょっとまて」

デコの国の出入り口に一人のお男が息をきらせて待っていた。元盗賊村の若頭のロッキである。

「ロッキ、どうした?」

「ああ、どうしても聞いておかないとと思って」

「なんだー!?」俺は聞き返す。

「空間転移を使えるのはこの世界で一人だけ、伝説の勇者サエキしかいない。なんでこんなところでクレープ屋なんて」

「魔王を倒したからです。ですよね? 師匠!」

荷馬車からひょこっと顔を出してサエキに問うたのは看板娘リリだった。

「ああ、そうだな」

「へ? どういうことだ?」

「魔王を倒しても盗賊村は盗賊村で変わらなかった。だが俺たちはここを立派な観光街にすることができた。人を笑顔にする魔法のスイーツ、それがクレープさ。俺はまだまだ旅を続ける必要がある」

「そうか、しばらくしたらまた見にこい。今度稼いだ金額で町をもっと大きくしてやるから」

「ああ、楽しみにしているよ。それじゃ」

俺は盗賊村の若頭ロッキをクレープ屋メルティ第2号店の支店長として任命するのであった。


◆◆◆

馬車に揺られながら……

「師匠、次はどの国に行くのですか?」

「ああ、次は魔導都市グリムロへ向かう。やってみたいことがあるんだ」

「なんですか?」

「ああ、それはな。俺がずっとやりたかったことだ」

「それは?」

「それは!」

俺はすぅっと息を吸い込み応える。

「クレープづくりだ!」

ずこー!

「師匠! 何言っているんですか! いつもクレープ作ってるじゃないですか!」

「いやいや、ちがうちがう。この国では特別魔術室という世界に1つしかない部屋があって、ここでは魔術以外一切のステータスが初期ステータスに戻るんだ。だから俺は作れるんだ! クレープを! 自分の手で」

そう、魔導都市グリムロは最先端の魔術を研究する場所で、俺が魔王の腕を切った『亜空切断』を覚えた場所でもある。そのトレーニング場が特別魔術室なのだ。そこでは俺は一切のステータスが凡人レベルに落ちることで、包丁を握れ、へらを持ち、クレープを作ることができるようになるのだ。

「し、師匠の……クレープ」ゴクリ

「ああ、俺は作るんだ! 自分の手で! クレープを!」

「なんか師匠! やる気に満ち溢れていますね!」

「もちろんだ、俺はやるぞ! クレープを作るぞ!」

「できたら……その、最初に食べさせてくださいね」

「もちろんだ、リリに最初に作ってやる」

「わかりました! じゃあ魔導都市グリムロへ! レッツゴー!」


旅はまだまだ続く


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