7.異世界転移したらトカゲだったけど、リズムゲー?をした話
わたくしはジロ。女神ナブシ様が異世界に送るということで目が覚めたら、トカゲだったのです。けどここって、どこなのかしら? 暗くてよくわかりませんが、今わたくしは液体で満たされた透明カプセルの中にいるようなのです。なぜか息は出来ているようです。
ここは子宮の中で実は異世界転生なトカゲ赤ちゃんがこれから生まれる…という感じじゃないのです。この体、トカゲボディは育っててもう大人って感じ。カプセルは触ると硬くてガラスのようです。
あと、体中に配線のようなものがあり、カプセルの外へとつながっています。
何でもいいけど明るくならないかなぁ、と「思ったら」照明が灯りました。
おお、正面に何かが映りました。
「え、リズムゲーム?」
それは音符が流れてくる複雑なリズムゲームのように見える、TVゲームのたぐいのようでした。
ゲームパッドのようなコントローラーはなく、わたくしが考えれば配線を通じて思考制御できるようになっていました。
それから大分年月が経ったように思います。
外に出られなかったのでわたくしはリズムゲームばかりしておりました。というか、これ本当にゲームなのかしら。
そうではなくてわたくしが、巨大な生き物か何かに組み込まれた”部品”として神経系を助けている、もしくは迷走神経とかの、神経系そのものになっているような気もしておりました。
そんな日々はある日突然終わりました。轟音と共に照明が消え、情報が全く入ってこなくなりました。カプセルが割れて、わたくしは外に投げ出されました。
「やりましたね」
「ああ、ついに帝国の最終兵器巨大ゴーレムを倒したんだ」
「あ!? 何だ今のでかいトカゲは!?」
「ゴーレムのコアから出てきて、ぴゅーって逃げたぞ」
「速い! もうあんな遠くに。…いなくなりました」
わたくしは眠ってる間に人間に捕まり、ゴーレムの生体パーツとして神経系の制御をさせられていたようでした。せっかく異世界転移したのに不自由な日々でありました。これからは音楽関係の仕事でもしようかな。
そして、今はトカゲ獣人の国で吟遊詩人をしております。
気楽で自由な感じがそれはそれは気に入っているのです。
異世界転移したらトカゲだったけど、リズムゲー?をした話:おわり