表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/40

6.女子学生馬車の旅の予期せぬ一コマ

「早く行かないと乗り遅れちゃうかも!」


荷物が重い。それでもあたしは停留所の乗合馬車へと急いだ。

もうすぐ夏休みが終わる。あたしは地元から学園へと戻る旅に出るのだ。


あれは御者のおじさんだろうか?


「ハアハア……。良かった。間に合った」

「いらっしゃい。お嬢ちゃん、切符見せて。はい、ありがとう。王国立学園の学生さんだね」

「は、はい、道中よろしくお願いします。 って!? 何あれ? 馬車の中に大きなトカゲが!」

「トカゲだけど冒険者なんだとさ」


馬車には先客がいた。そのトカゲの首には認識票が付いていた。

ギルド認識票 F級冒険者ジロキチ と読める。


「よ、よろしくお願いします」


トカゲは返事の代わりに、無言で頭を下げた。喋れないのかな? 無口なだけかな?


「F級じゃあ冒険者なり立てだな」

御者のおじさんは、振返らず馬車を駆りながらのんびりとお喋りする。



***


僕はジロキチ。異世界で目が覚めたら、トカゲになってた。女神ナブシ様に異世界へ転移させられたんだ。


その後すったもんだあったけど、ギルドで冒険者として登録することができた。今は馬車の旅。護衛として雇われたわけじゃない。乗客だ。他は御者さんと学生っぽい女の子が一人だけ。


旅は最初は順調だった。しかし突然、隕石が降ってきた! 中から宇宙人が現れた。


「みゅーみゅー」

「何あれ!? 魔物かしら?」

「嬢ちゃん、危ない! 近づかない方がいい」


火星人っぽい奴だった。足だか触手だかが沢山生えていた。触手を何やら振っている。ジェスチャーだろうか。


僕は逆立ちしてしっぽを振り返してみた。会話が成り立つかな?


火星人はさらに触手を振って、体全体も動かした。

僕も逆立ちしたまましっぽと体を動かした。


火星人はさらにさらに激しく触手を振って、体全体も動かした。

僕も逆立ちしたまま激しくしっぽと体を動かした。


火星人はグルグル回ったりしながらあれこれ動かした。

僕も今度はしっぽで立って、激しくしっぽと体を動かした。


気が付いたら、御者と学生の子も皆踊ってて、夜が明けていた。



「みゅーみゅー」

火星人は満足したかのようにうなずくと、隕石に乗り空へ帰って行った。あの隕石は宇宙船だったのか。僕と御者と学生の子は馬車に戻り旅をつづけた。


馬車の旅の予期せぬ一コマだった。




女子学生馬車の旅の予期せぬ一コマ:おわり

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ