4.廃墟な異世界でさまようトカゲ
オレはジロ。目が覚めたら廃墟な異世界でトカゲになっていた。
がれきばっかりがある。生きてるものがいないようだ。生活音がしない。音がないと、何というか気味が悪い。
あちこち凍り付いていた。雪がつもってて、風で雪がまっていた。少し悪臭がある。何かが腐ったような匂いだ。
オレは歩き回った。空は青い。風は吹いてる。生活音が全然ないと何やら不安になってくるんだな。
かなり歩き回った。歩きすぎて前足も後ろ足も痛い。痛くて、何だか何も考えたくなくなって黙々と歩いた。腹が減ったな。
本当に誰もいないのかね。女神ナブシ様に異世界へ転移させられたんだと思うが、オレに何をさせたいのだろう?
ん? 何かモニュメントがある。お墓なのか? 沢山の文字が刻んである。文字は読めなかった。人名かな。お供え物と水があった。今ここにはいないけど、どこかには人がいるのかな。なら、きっとどうにかなる、大丈夫だ。そう感じた。
とにかく空腹で辛くなってきた。
悪いと思ったけど、お供え物と水を失敬して飢えをしのいだ。このお供え物に助けてもらわないとオレもすぐ死んでしまうと思った。頭を下げて、助けてくれ、と思いながら食べて飲んだ。
何だか少し、ほっとした。楽になった感じがした。
どこかで何かが繋がった感じがした。何となく満足したような…。眠りたいような。そして、その時オレはおぼろげになり、何もわからなくなった。
廃墟な異世界でさまようトカゲ:おわり