3.目が覚めたら異世界でトカゲな魔王として召喚されてた
私は長沢ジロ。目が覚めたら異世界でトカゲな魔王になった。…らしい。というか召喚されたの?
「さようでございます。この魔王城で、つい先ほど魔王様は召喚されました」
執事のような恰好をした魔族の男が私のつぶやきに答えた。そういえば女神ナブシ様が何か言ってたような気がする。ほとんど忘れてしまったけど。
「早速ですが魔王様にはお仕事をして頂きます」
「ええ? めんどくさいなぁ。何すりゃいいんだ?」
「実は、勇者に攻め入られてしまいました。すぐそこまできております。大ピンチです。勇者の撃退をお願いします!」
執事がそう言ったとたんに、ドアが吹き飛んだ。巨大な勇者が現れた!
「ええ!? 勇者でかっ!? なにあれ??」
「今回の勇者は巨人だったのです。それでは魔王様、あとはよろしくお願いします」と言って執事はあっという間に逃げてしまった。
巨大な勇者は1mもありそうな足で私を踏みつぶそうとした。私は4つ足にしっぽも使って必死に逃げ回った。
「うわーっ。こっちにくるなー!」
「オレは魔王を倒すーー! 柱、邪魔するなー!」
巨大な勇者は魔王城の柱や壁にぶつかり、轟音と共に壊しながら追いかけてきた! 何だかイライラしているように見える。わりと神経質な性格のようだ。
「そうだ!」
私は勇者の足の親指と人差し指の間のあたりを狙って、ドリルしっぽキックを放った! ズビシッ! 命中! クリティカルヒット!! (ここは足のツボだから、神経質でストレス溜まってるとすごく痛いんだ。手のツボも痛くなるよね)
「ぎゃああああああああああーーーー」
巨大な勇者は足を抱えて絶叫し、頭を柱にぶつけた。当たり所が悪く、魔王城は崩壊した。勇者は下敷きになって死んでしまった!
私は運良くがれきの隙間に潜れて無事だった。
そんなわけで魔王城は壊れちまったけど、勇者は倒せたので、その後のことはだいたい何とかなったんだ。
目が覚めたら異世界でトカゲな魔王として召喚されてた: おわり