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20.トコロテンの異世界と、ばあちゃん
私はジロ。女神ナブシ様に異世界へ転移させられ、目が覚めたらトカゲになってた。
そこはトコロテンの異世界らしかった。 ばあちゃんが売り子をしていた。みんながトコロテンを食べていた。
私も小銭を渡しトコロテンをばあちゃんに頼んだ。ばあちゃんはトコロテンと箸一本をくれた。
「箸1本じゃ食べづらいよ。2本貸して?」
「だめじゃ。わしのトコロテンは箸一本で食うんじゃ」
ばあちゃんは頑固だった。
「酢醤油がものすごく酸っぱいよ。甘い汁はないの?」
「ない! わしのトコロテンは酢醤油で食うんじゃ」
ばあちゃんは独自のこだわりがあるようだった。
箸一本だったりやたら酸っぱかったりしたが、食べ終わると満足感はあった。
「ご馳走様でした」
「うむ。また食いにこい。次も箸一本と酢醤油じゃがな」
ばあちゃんはニカッと笑った。
よくわからない異世界だった。しかし皆満足そうだった。
トコロテンの異世界と、ばあちゃん :おわり