18.肉定食の脂身が毎日どんどん増えてしまった
オレはジロ。女神ナブシ様に異世界へ転移させられ、目が覚めたらトカゲになってた。今は冒険者をしている。
今日は安い食堂で飯を食ったところだ。肉料理なんだが衣の中の肉が、脂身多かったのかな。パンとネギ少し以外はほぼバラ肉の天ぷらみたいな料理だった。全部食べた。ちょっと気分が悪くなってしまった。
昔からそうなんだけどオレは出された料理を残せないのだ。残すことにとても抵抗がある。オレはふと自分が子供の時のことを思い出してみた。
結構不安を感じていることが多かったかもしれない。それで、何かを食べている時だけは、その瞬間だけは、目をそらして、不安を少し忘れていられたような気がする。
だから出来るだけ長い間不安から逃れていようとすると、食べて消化できる分以上に食べてしまっていたんだ。
そして夜中に苦しくて痛くて眠れなくなり、お腹をこわしてトイレへ。目の前が暗い、得体のしれない不安。みじめな悲しい気分だった。
ちょっと嫌なことを思い出してしまったな。不安を紛らわすために食べずにはいられないって、なんだか神経症みたいな感じなのだろうかと思った。
今日も安い食堂で飯を食った。うーん。昨日にもまして脂身ばっかりの肉定食だった。さすがにキツイな。
「肉が殆どない! 脂身ばかりだ。これじゃあ、肉定食じゃなくて脂身定食じゃないか!」
店内の冒険者達が怒っている。まあ、これはちょっと極端すぎる脂身の多さだよな。
「うるさい! わしの料理にケチを付ける気か!!」
厨房からシェフが現れた。縦より横に幅広い体格で身長は3m、6本の腕に包丁を6本持って背中には3対の羽が生えていた。人族や獣人族じゃない。これってモンスター? あるいは何かの神様だろうか?
「わしは、この店の新たなる料理人、そして脂身の神だ。わしの料理は必ず大量の脂身を含むのだ!! 」
「意味が分からん! 普通の肉を食わせろ!」
「文句があるなら、わしを倒してみろ!! 倒せたら脂身の少ない肉を出してやる!!」
オレ達は脂身の神と戦った! しかし……全員が負けてしまった。
そんなわけで、オレ達は今日も、脂身が凄く多い肉の定食を喰う毎日を送るのだった。
肉定食の脂身が毎日どんどん増えてしまった :おわり




