表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/40

16.異世界トカゲと円盤人の足場は狭い

あたいはジロ。女神ナブシ様に異世界へ転移させられ、目が覚めたらトカゲになってた。あと空から、墜落していた。そしてガツンッと何かにぶつかって気を失ったんだ……。



僕はナガマツ。ここは円盤人の国。ここの国の人は誰もが空飛ぶ円盤UFOに乗って暮らしている。円盤のサイズは両足が乗るぐらい。生まれた後で、誰でも円盤が足の先に生えてくるんだ。他の国の人は変だと思うかもしれないけど、そういうもんなんだ。


その日僕は仕事に遅れそうになってて、片足で円盤をけって急がせていた。


「いけない、遅刻遅刻!」


ガツン! 突然衝撃があり、…………目を覚ますと、僕の背骨に小さなトカゲが刺さっていた(目で見えないはずだけど何故だかそれが感じられた)。


急いでてパニクッた僕は、トカゲのことは後で考えることにして、職場へ向かった。




職場で僕は上司の人に怒られた。


「そんなことも分からないのかい」


「すいません」


「だいたい、あまりにも仕事が遅いんだよ」


「…すいません」


「少しは自分で工夫したらどうなんだ」


「…はあ…すいません」


僕は恐縮した。僕の足場の空飛ぶ円盤は縮こまった。小さくなりすぎて両足を載せているのが辛くなるぐらい。屋内だから10cmぐらいしか浮いていないけど、足を踏み外したくはない。どうにか解放された僕は仕事に戻った。


「酷い上司ね、ナガマツ。怒ってばっかりじゃない!」


「しっ。喋らないで! ジロ。 …僕が悪いんだよ。どんくさいから」


背骨に刺さったトカゲは目を覚まし、話しかけてきた。ジロという女の子だという。


「そもそもその円盤はどうして小さくなるのよ、ナガマツ? 何だか、命令に逆らうと首を絞める隷属の首輪を思い出すわ。自分が悪い、落ち度があると思う分、その円盤の方がたちが悪いかもしれない」


「そんなこと分からないよ。僕らは生まれた時から円盤の足場の上で生きてきたんだから」


「空飛ぶ円盤が生きていられるための足場ってわけ? 何だか狭苦しくて息が詰まる~」


「そんなこと言われたって…」


「おい、何を無駄話しておる!」


「あ、すいません。何でもありません」


「バカ! 間抜け! とんちき! ダメ上司!」


「何だと!? 今何て言った、ナガマツ!?」


「ヒイィィ! ぼ、僕じゃありません!」


「お前以外に誰もいないだろうが!?」




僕は、クビになってしまった。解雇されたんだ。


「…ごめんなさい、あたい…つい…」


「もう、いいよ」


「でも…」


「何であんなことしたの?」


「ナガマツが、人格を否定されるような叱られ方を沢山されてるように感じて…それで…腹が立って、つい…」


「そうか…」


「ごめんね」


「もういいって」


怒られて、縮こまって、怒られて、縮こまって、…その繰り返し。足場が狭くて息苦しい…か。僕も嫌気がさしていたんだと思う。ジロに言い返してもらって、何となく、ちょっとスッキリもしたんだ。



僕の背骨と一体化してしまったトカゲのジロは、僕が知らない知識を色々持っていた。二人いっしょなら、何か仕事が見つかるよ、きっと。


僕はこれから何故だかうまく行きそうな気がしたんだ。





異世界トカゲと円盤人の足場は狭い :おわり



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ