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始まり、その契約

それが、私とアヤメの出会いだった。

私はあの時、何歳だったのか分からない

多分、アヤメに聞けば正確な答えが返ってくると思うけど

でもそれは、終わった事だからどうでもいい事で


ユウキはバスを待つ


私はいつからシンデレラになれないと知ったのだろう?

多分外に出て、何年かはアヤメの言葉を信じてたと思う

そんなふうに生きていけるかも知れないなんて、期待してた

だって私は本当に、小さな部屋の中以外何も知らなくて

魔法使いが、私を連れ出したのなら

王子様が私を見出して、求婚されたりするんじゃないかと

そんな、物語みたいな事があってもいいと思っていた。


でもそんな思いは容易くに踏みにじられて

ただ世界は残酷で

外に出て変わったのは


私の傷が増えたこと

私のお腹に命を宿さなくなったこと

人生を売り払ったお金がいっぱい無くなったこと

当たり前の幸せが無いと知ったこと

それくらいで


結局、変わらなかったのは

いつも早く死にたいと願い続けたこと

それだけだった


そんな、無意味な人生を

アヤメと何年過ごしたのだろう?

暗い部屋で何も知らずに過ごしたのと

同じぐらいの時間を過ごした気がする


そんな、神様との約束も

もうあと三日でおしまいだ


私の人生は結局、何も無くて

チアキと、アヤメから色々な物を奪うだけで

それなのに、こんなに不幸で、虚しいのは

そんな私への罰だと思った。




―― 寒空の下、歩きながらアヤメは言った


「ユウキが外で生きるには、お金が必要です」

「お金ってなに?」

アヤメは少し考える

改めて聞かれると、説明に困る

「無いと生きられなくて」

「でも、いっぱいあっても邪魔な物ですよ」


「でも持って無いよ?」

アヤメは唇を噛み締めて、何かを堪えるように声を震わせながら

「なので、私は()()()()()()()()()()()()

そう、ユウキに告げるのだ、


人生は引き算で出来ている。

大切な想いも

限りある時間も


皆、かけがえの無いはずのそれらを

すり減らして、切り売りして生きている。


例えば、優越感のため

あるいは、粉飾のため

そうでないなら、自己満足のため


自分が価値があると思えるように


自らの生まれた理由を探すように


あるかも分からない幸せを見つけるために


時間を、お金に変えて


想いを、理由に変えて


人生を削り取って生きている。


だから、私の言うそれが決して

彼女だけに訪れる不幸でない事は理解している。


それでも、思ってしまうのだ


どうして定められた運命が無いのだろう?


そうれば、悩むことさえ無意味だと諦められたのに


どうして私は全知全能でもなければ

無力でもないのだろう


そうすれば、少女を救えたのに

寄り添って泣いてあげられたのに


どうしてこんなに何も無い少女から、奪わねばならないのだろう


そんな、神様になんてなってしまったんだろう?


そんな事を考えてしまうのだ。


何も言わないまま立ち止まっていたアヤメに


「生きることって不幸だね?」


そんな言葉をユウキは、当たり前のように告げる。



いつか、彼が同じことを言っていた

その続きを思い出す。

「大切な人同士ですら、お互いに奪い合って」

「そうやってしか生きられない」

紫煙を吐き出しながら彼は

「だから、神様になろうか?」

そんな事を、悲しそうに笑いながら言っていた


何も答えないアヤメに

ユウキは言葉を続ける


「だってそんな悲しい顔をしながら」

「それでも生きないといけないんでしょ?」


アヤメは、その言葉に息が苦しくなる

それでも必死に笑顔を作る


これじゃあ、神様になった意味が無い

この少女にそんな事を思わせてはいけない

生き続けることが不幸なんて悟られてはいけない

たとえ私がそんなふうに思っていても


そうじゃ無いと信じて、今も答えを探しているなんて


「もう何も奪われないように、奪う側になろう」

そんな彼の言葉に踊らされて、神様なんかに祭り上げられた

弱い人間だと知られてはいけないのだから。


訳のわからないタイトルで投稿から

タイトル被りで投稿のダブルパンチ

新年始まったんで、去年の記憶を無かったことにしていたようです。

本当は新年迎える前に終わりたかった。


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