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魔法使いとの出会い


こんな時間に開くはずのないドアが開く

ずっと叩かれ続けたのは、寝る前だから

今日はまだお父さんはここには来ないはずなのに


「初めまして、東雲結城ちゃん」

そのドアを開けたのは知らない人だった

「あなたはだれ?」

「私ですか?私はそうですね」


「ただの、しがない神様ですよ」


その言葉を聞いて、彼女は顔をほころばせる

「ねぇ神様、お願いがあるの」

嬉しそうな少女をみて神様は困ったような顔をする

神様だけれど、彼女のできる事は多くないのだ

「何でもは叶えられないですけど、一応聞きますね」

少女は、とびきりの笑顔で

()()()()

そんな少女をみて

神様はひどく悲しそうな顔をした


少女は言葉を続ける

「痛くても泣かないから、だから殺して?」

年相応のあどけない言葉で伝えられたのは

あまりにも歪んだ願い事。


神様は少し考えて、少女に言葉を返した

「分かりました、私は貴女を殺してあげます」

「でも、外の世界を知ってからでも良いんじゃ無いですか?」

少女は神様の言うことがよく分からなかった

「知ったらどうなるの?」

「生きたいって思うかもしれないじゃないですか?」

多分そんなことは無いと思うけど、少女は素直に頷いた。

だって、言うことを聞かないと叩かれるから

叩かれるのは嫌だった


誤魔化すように笑いながら

「かみさまは優しいね」

そんなふうに言った


少女に、神様はたまらず聞き返す

「どこが優しいんですかね?」


彼女を殺そうとしてるのに、優しいはずが無い

本当に優しいならちゃんと彼女を救えるはずだ。

「だって私のお願いを聞いてくれるんだもん」

神様の顔はさらに曇る。


「かみさま、聞いてもいい?」

「私に答えられることなら」


()()()()()()()()()()()()()


今度こそ本当に神様は絶句した。


「わたしはソレとかゴミとか呼ばれてるから」

「それは誰なのかなって」


少女は、自分の名前すら知らなかったのだ


神様は優しく少女の頭を撫でる

「貴女の名前ですよ、ユウキ」

少女は無邪気に笑った

「いっぱい呼び方あるんだねー」


「じゃあ、神様の名前はなんて言うの?」

そんな事を聞かれて神様は戸惑ってしまう

名前を聞かれるなんて、いつぶりの事なのか

もう、思い出せないほど前なのは確かで


「私はアヤメです」

「アヤメって名前でした」

もう、過去のことだけどそれでもアヤメは名乗る

「分かった、神様はアヤメって名前なのね」

少女はニコニコ笑って

「じゃあ、私が死ぬまでよろしく」



アヤメはユウキが繋がれている首輪を外し

ボロボロの服の上から自分のスーツをユウキに着せる

「ねーシンデレラの本持って行っていい?」

「良いですよ」

少女はベットの下から古びた絵本を取り出す

何度も繰り返し読んだのか、あちこちがボロボロだった

「外ってどんな所?」

「そうですね、今だと寒くて、みんな眩しくて、生きづらくて」


「それでもココよりは少しだけマシな所ですよ」


そんな言葉にユウキはちょっとだけ期待する

「そこなら私はシンデレラになれるかな?」


アヤメはまた困ったように笑って

「それはどうでしょう」

「でも、物語みたいに格好いい人じゃ無くて」

「お城も無くて、舞踏会も無くて」

「その人は王子様じゃないかもしれないですけど」

「でも、貴方に幸せをくれる人はきっと居るはずですよ」

「そうなると私は、神様じゃなくて魔法使いですかね?」


そうだ、それが合ってる

少女に幸せになれるなんて(うそぶ)く癖に

そんな魔法を少女に掛け続けることのない

自分勝手で無責任な魔法使い。



ユウキはアヤメを不思議そうに見る

彼女には分からなかった

だってシンデレラのお話は

終らないと幸せになれなくて

終わるまではずっと不幸なままで

アヤメは神様なのに、どうしてそんな事を知らないんだろう?

どうしてアヤメは、終わりになれば私は幸せになれるのに

そんな悲しい顔をしながら

私を外へ連れて行くのだろう?



ユウキはわからないまま、それでもアヤメと手を繋ぎ

見たことのない、外に出た


それしか、幸せになる方法を知らなかったから。

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