サンタの正体
「チアキー?おはよう」
俺は眠気眼を擦り、目を開ける
目を開けた先には、シースルーのネグリジェ姿のユウキがいた
俺が買ったソレは肌が透けて見えて、もはや裸よりも扇情的と言える。
というか、シースルーって胸大きいより、小さい方がエロい気がするよね?
俺だけかな、どうなんだろう
なんとか違うこと考えようとしても、思考がまとまらない
…うん、下半身がすこぶる元気でマズい事になってる
「あーおはようございます」
モソモソと布団をかけなおし誤魔化そうとする。
ユウキはそれをまた寝ようとしてると勘違いしたのか
「起きろー寝るなー」
布団を剥がそうとしてくる。
必死に俺は抵抗する
ちょっと待って、もう少し待ってよ
俺のマグナム頑張ってホルスターに収めてるから
チラチラと、透けたレースの隙間から見えそうになる。
それに気を取られ、布団を剥がれた。
「もう、いい時間なんだから起きて?」
ユウキはそう言い残し、リビングに行ってしまった。
気づかれなかった事に安堵したが、それはそれで悲しい
……マグナムは見栄張りました、精々ニューナンブM60くらいです。
デリンジャーって言ったやつ、お前後で裏な?
シャワーを浴びて、着替えを済ませる。
ユウキはクリスマス特集のテレビを眺めていた
「お待たせしました」
ユウキに声を掛ける。
「今日はどうする?」
クリスマスイブだというのにプランすら無い
道理でモテない訳だ。
見栄張ったところでボロが出るのは目に見えてるので正直に話す。
ユウキは少し考えて
「サンタさん待つ?」
そんな事を言い始める。
いや、夜まで暇するって事ですかね?
それともお前なんかとカップルだと思われたくないから、外出ないって事?
「いや、サンタさん夜来るし、寝てないと来ないよ?」
何なら寝てても来ないけどな。
レゴブロックを欲しいって言ったのに、靴下の中にバイオハザードが入っていたその時から、俺はサンタを信じていない。
一文字も合ってねぇ、せめてマインクラフトくれよ。
それを聞いてユウキは残念がる
「なんだ、せっかくだからおもてなししようと思ってたのに」
「でも夜だけだと配りきれなくない?いっぱいいるよ?」
奴らは複数人で構成されたのサンタって組織なんだろ
正体も人数すら分からない秘密結社とかそんな感じ?
「取り敢えず、嫌でないならユウキにプレゼントを選びたい」
「なんで?サンタさんくれるから良いよ」
純真すきるでしょこの子
サンタなんて空想の産物がやって来る訳が無いのだ
しょうがなく苦しい言い訳をする。
「俺が実はサンタだって言ったら?」
……嘘にしても、言い訳にしても適当にもほどがある
だがそんな俺の嘘に、ユウキは目を丸くして、驚いたように
「チアキはサンタなの?」
…信じちゃったよ、もう冗談とか言えないじゃん。
「だから私に色々くれるの?」
そんなふうに、当たり前のように言った。
俺はそんな言葉を聞いて馬鹿らしいなんて、そんなこと無いと言おうとした。
ただ、自分勝手に
クリスマスだからプレゼントを贈らないと、なんて思っただけで
でも、誰しもが大切な人になにか贈りたいと願い
クリスマスにサンタになるのかもしれない
だからサンタは神出鬼没で
だからこそ、一晩でサンタはプレゼントを配りきれるのかもしれない。
「まぁ、そんなところ」
「だから、プレゼント選びに行こう?」
「俺は、サンタ見習いだから、何が欲しいか分からないから」
見習いどころか、俺は悪い子供のところにやって来て、酷い仕打ちをする黒いサンタがお似合いだけど
それでもユウキは嬉しそうに
「分かった、一緒に選んであげる」
「早く一人前になれるといいね」
なんて、そんなふうに笑った。
また、嘘をついてしまったなんて考えないようにした。
ユウキが笑って、喜んでくれるなら
全部の終わり、その時まではどうか無罪って事で
許してくれないですかね?
全部終わったら、ちゃんと罪は償うから。




