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音読って難しい

ブザーが鳴り響いた。

手に持っている竹刀を見て、

瞬時に夢なんだと理解した

もう竹刀を握らなくなって久しい


そしてこの夢が、いつの出来事のことか、相手の構えを見るだけで分かってしまった。

全国の決勝戦だ。

ー 止めてくれと 叫ぼうとしたが声を発することは許されない


タイマーを見れば、残り時間は0秒。


お互いに元の位置に戻り、審判の判定を待つ


そう、二人とも有効打は無かったのだ

だから、この試合は判定で相手の勝ち


……だった筈なのに

審判の判定を待たずして、相手は面を脱ぐ

「負けました」

にこやかな笑顔で俺に告げる

耳を塞ごうとしたが、体は動いてくれなかった。

会場がざわめきに包まれる

「最後の小手、参ったな」

確かに手応えはあった、だが審判は有効打と認めなかった。

それが全てだ。

小手を脱ぎ、握手を求められる。



そこでやっと目が覚めた。


パジャマ代わりのスウェットはびっしょりと汗で濡れている。


昨日の、アヤメとの会話のせいだろうか?


久々にあんな夢を見た。

もう、2年も経っているというのに鮮明に描かれたそれは、

悪夢という他無いだろう。


スウェットを脱ぎ捨てシャワーを浴びる


体にこびりついた汗と一緒に記憶すら流れてしまえばいいと

シャワーを浴び続けた。


「おはようチアキ、早いのね?」


シャワーから上がった俺に、寝ぼけ眼のユウキは声をかけた。

昨日のことなど、まるで夢のようにいつもと変わらない少女


時計は昼前を指している

「おはよう、お昼は何か食べる?」

冷静を装い、言葉を返す。

「平気、だってご飯早いんでしょ?」

俺がレストランを予約したのは、午後5時

確かにいつもの夕食に比べれば早いだろう。

もはや遅い昼ごはんとも言える。


「お腹すいてた方が美味しいとおもうし」


「楽しみだね?チアキ」

初めての外食だからか、上機嫌のユウキに

「家出るの4時くらいだけど、それまでどうする?」

残念ながら、プランは無い。

俺としては昨日の夜ふかしのせいで、眠いから

二度寝を希望したいところではあるのだが。


「じゃあ、シンデレラ読んで?」

ユウキは本を持ってソファーに座った。



「シンデレラよ、私の(きさき)になって欲しい」


「駄目、もっと感情を込めて」


「シンデレラよ、私の(きさき)になって欲しい」


「だから、全然シンデレラへの愛が伝わってこないって」


……何度目のリテイクだろうか

もうかれこれ、30分は同じ台詞を繰り返してる。


軽はずみに読んでやるなんて言わなければ良かった。

大体、王子さま以外の台詞はそんなにうるさくない癖に、何でそこだけそんなこだわるんかね?


こだわるんだったらまず、人選からやり直した方がいい、こんなモブ顔の冴えない男子が王子様だったら、いくら名演技でも興行収入、悲惨だからね?

世の中やっぱり顔ですよ顔


もう声優さんに依頼して、朗読CD作ったもらった方が早い気がする

口パクの演技だけは、合唱祭で鍛えたからな?

ちなみに上手くサボるコツは声のでかいやつの近くを陣取る事。


クオリティー的にもバッチリの仕上がりだろう。


時計を見て、諦めたようにユウキは

「次までに練習しといてね?」

そう、言い放つ

俺が本を閉じ、席を立とうとすると

「チアキ?返事は?」

「分かりましたよ、()()()

その回答にユウキは満足げに

「今日のお迎えはカボチャの馬車かしら?」

芝居がかって言う

「そうだね、2kmで730円払う、緑色で黄色い提灯つけたカボチャの馬車ね」


そのカボチャの馬車の名前はタクシーという。






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