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5万円ってウチの食費だからね?

帰りのバスのなかでユウキはお腹を撫でながら

「名前、何にする?」

と聞いてきた。

この状況で主語が無いと、まるで出来ちゃった感じにしか聞こえないんですけど…

「うーん、チキンちゃんとか?」

ザ・安直、

…ダイソーに有りそう

前に座る、おばさんのがちらりとこちらを見る。


…大丈夫ですよ?人の名前じゃ無いですからね?

さすがに自分の子供にチキンなんて名前付けない。

「えーそれは可愛くないよ」

ユウキがブーブーと文句を言う

「別に黒毛和牛だって可愛くないだろ?」

「でも、合ってるって感じだったし…」

二人目!?

前から悲鳴のような叫びが聞こえた気がした


「じゃあなに?ファミチキとか?」

あれ、唐揚げしゃ無いけどな

どちらと言うと、からあげくんの方が近いな


「それ、可愛いかも」


正直、ユウキのセンスはよく分からない。

「じゃあファミチキてことで」



バスを降りて歩きながら続きを話す。

結局、前のおばさんの誤解は解けないままだった気がするが、しょうがない


「今日の晩御飯どうする?」


「チアキに任せる」


そうだと思いました。


正直、アパートに帰ってから、外に出る気はしない。


「じゃあビザ頼むかな」


宅配ピザなんて誕生日くらいしか食べたことないから、わりと高級品だろ。


……いかにも、それっぽく聞こえるように

ふと、なんとなく思い付いたかのごとく

ユウキに聞いてみる。


「明日の夜さ、ご飯食べに行こう?」


ユウキはこちらを見て聞く

「夜ご飯もまだなのに、もう明日の話?」


「うん、せっかくお金一杯あるし、少しくらい高級な物食べさせてあげたいなーって」


シミュレーション通りに、噛まないで言えた。


年頃の女の子だったら、

おしゃれなレストランで食事くらいしたいんじゃ無いかなとずっと思っていた。

というか、彼女と会ってから、ジャンクフードしか食べてない。

「別にいいけれど、チアキのお金、少なくなっちゃうよ?」

確かに、コース料理はビックリの金額だな

俺のお小遣い財政で言うと、エンゲル係数が驚異の500%だった。


もはやLCLに溶け込んでるレベル。


「俺が食べたいだけだよ?」

ユウキに気を使わせないよう、そんな事を言う。


ユウキは少し考えて

「わかった」と呟いた


断られなくて良かった


もうすでに予約してるとは、恥ずかしくて言えないからな









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