3話
今日はのんびりとしたい日なのでギルドには行かず、
家でゆっくりと寛いでいた。
『スフィアー、エリナちゃんが来たよー!』
なんで!?母さんに呼ばれて玄関に行くと、エリナがいました。
『おはよう、スフィア!』
エリナが家に来るなんて初めてだったから、驚いてしまった。
それに、今日はいつもとは服装が異なっていて、
三角帽子も被っておらず、黒いワンピースを着ていた。
『どうしたんだ?今日は悪いけどギルドには行かないよ』
『ううん、私も行かないよ。他の用事があって来たもの』
用事とは何だろうか?
エリナがスカートの裾を掴み、少し照れながら私に言ったのだ。
『あの・・・私とデートをしませんか?』
『デート!?』
予想の斜め上の答えが返ってきました。
まぁ、それから二人でお出掛けをしたんだけど。
『どういう風の吹き回しだ?』
『フフフッ、実はライバルとしてスフィアの私生活を調べて、
弱点を探すのが目的のデートなのよ!!』
『それ・・・本人の前で言ったらダメじゃないか?』
『あっ・・・』
エリナは少し天然な所があって面白い子だ。
まず初めに行った所は雑貨屋だ。
それから服屋に行き、次は喫茶店に入って紅茶を飲んだ。
『んー・・・いい香りだわ』
『落ち着くねー』
『スフィアの紅茶も美味しそうね、一口貰っていい?』
『ああ、良いよ』
私は自分が飲んでいた紅茶のカップをエリナに渡した。
『いただきまーす』
エリナは私が口を付けたカップのふちに、口を付けて飲んでいた。
これって間接キスになるのでは・・・?まぁ、いいか。
『うん!ダージリンも美味しいね!』
『だろ?エリナが頼んだのはニルギリか?』
『そうだよ、スフィアも一口いる?』
『ああ、頂こう』
うん、ニルギルはすっきりした味わいで美味しいな。
あ、私も間接キスをしてしまった・・・まぁ、いいか。
紅茶を飲み終わり、喫茶店から出ると日が暮れていた。
楽しい時間はあっという間に過ぎるもんだ。
しかし、これでお別れをするのも寂しいという事で、
私達は最後に温泉に入る事にした。
脱衣所で服を脱いでいると、
エリナの視線を感じたので聞いてみた。
『そんなに私の身体を見てどうしたんだ?』
『スフィアって引き締まっている身体だから、
凄くスタイルが良いなーって見ていたわ』
純粋に褒められたので嬉しかったから、
私もエリナを褒めてあげた。
『そうかな?エリナの方が胸が大きくて羨ましいよ』
『・・・そんなに見られるとさすがに恥ずかしいわ』
照れてしまい胸を両手で隠して、視線も逸らされた。
少し気まずい雰囲気になったが私達は脱衣所を出て、
温泉に入りました。
今日は誰もいないのでどうやら貸し切りのようだ。
『ふー・・・温まるなー』
『うん、落ち着くねー・・・』
温泉に入っている時に、ふと思った事があった。
エリナとこうしてのんびりと一緒に過ごすのは、
今日が初めてだと気がついた。
いつもはギルドの依頼を受けて、
勝負をする為に一緒に行動をしているけど、
モンスター退治なのでのんびりする暇がない。
偶にはこういう事を良いなーと思って私はエリナに言った。
『エリナ』
『ん、なぁに?』
『今日のデート楽しかったよ。
また機会があれば一緒にお出掛けをしよう』
エリナは嬉しそうにして、笑顔で応えた。
『うん!また誘うね!』
そういえば、忘れていた事があった。
エリナは私の弱点を探す事が出来たのかな?
試しに聞いてみようかな。
『ところでエリナ。今日デートをして、
私の弱点を探す事が出来たかい?』
エリナは何かを思い出して、固まっていた。
『・・・忘れていたわ!!』
やはり天然だろうか?
温泉から上がり、脱衣所で服を着て外に出た。
その後はエリナとお別れをして、寄り道せずに帰宅をした。
今日は家で寛ぐ予定だったけど、
エリナに誘われて今は感謝している。
とても充実した一日になった。