19話
アインとネイ編が始まります!!
私は妹と一緒にリビングで相談をしていました。
どんな相談かと言いますと一年間ギルド会場に通い続けていますが、
ちょっとマンネリ化して来たので作戦を立ててました。
『んー何かもっと楽しいことないかなー?』
お菓子を食べながら呑気に考えていると、ある事を閃きました。
『そうだわ、私たちでお店を開いてみましょう!」
『何のお店ー?』
私は自信満々に言いました。
『薬屋よ!!』
『面白そうかも!』
ネイが興味を湧いてくれたので翌日から薬関係の勉強を始め、
あっと言う間に資格を所得し、貯金をしていた金貨でお店を購入しました。これで準備はバッチリです。
◯
私達のお店が今日からオープンします。
今は妹のネイと準備をしている所です。
『ネイー、用意が出来たー?』
『うん、お姉ちゃん!棚に薬を全部置いたよー!』
そう、私達は薬屋を開きます。
お店の名前は「姉妹の薬屋さん」です。
二人で真剣に考えましたが、
いいネーミングが思い付かなかったのです。
シンプルで良いのかなと思いました。
『じゃあ、お店を開けるわよ』
私はお店のドアを開けて看板を、
「CLOSED」から「OPEN」に裏返しにしました。
その後はお店の中に戻り、ネイがいるカウンターの側に行って話をしました。
『お客さん、どれぐらい来るかなー?』
『んー、オープンしたばかりだからそんなには来ないと思うわよ?』
そう、世の中はそんなに甘くないですよね。
私達は期待と不安でいっぱいになっていましたが、
気長にお客が来るのを待っていました。
すると、お店を開いて数分後にお客が二人来ました。
一人は青髪の女性で青い鎧を纏っている女騎士、
もう一人は三角帽子を被ってローブを羽織り、赤髪が綺麗な魔女です。
来てくれたのはお友達のスフィアとエリナでした。
私達もそうですが二人もギルド会場に通っています。
特にスフィアとエリナは仲が良く、
ギルド内では一時期恋仲と勘違いされた程です。
『アイン、ネイ、こんにちは』
『来てあげたよー!』
『こんにちは、スフィア、エリナ』
ネイはスフィア達に気がつくと、
二人の元に駆け寄ってエリナに抱きついていました。
『二人とも来てくれたんだ!ありがとうー!』
『当たり前よ、友達のお店何だから。ねースフィア』
『ああ、そうだな』
ネイが羨ましくて私も抱きつきたかったのですが、
店主として衝動を抑えました。
『こら、ネイ。今はお客さんとして来てくれているんだから、
スキンシップは程々にね』
『はーい』
ネイに注意をすると二人に離れて接客をしました。
うん、私の妹はさすがですね、素直でとても可愛いです。
『こっちに並んでいるのがポーションとエーテル。
そして、毒消しと風邪薬と惚れ薬だよー』
二人は聞き間違いかと思い、ネイに尋ねていました。
『ん?変な薬が混じってなかった?』
『惚れ薬・・・?』
二人は私がオリジナルに作った薬に戸惑っていて、
私がカウンターに出て自ら説明をしました。
『これは私がラブタケという毒キノコから
摂取したオリジナルの薬だわ、効果は抜群よ!』
私が説明をすると、
隣で見ていたネイがスフィア達に余計な事を言ってしまい、
恥ずかしくなってしまいました。
『この惚れ薬、お姉ちゃんが試しに飲んだ時は本当に大変だったよー』
『ちょっとネイ!その話は本当に恥ずかしいから辞めなさい!』
私が焦って恥ずかしがっていると、スフィア達は気になり初めて、
話さないといけない状況になってしまいました。
『うー分かりました、話しましょう・・・』
そう、あれはお店をオープンさせる一週間前のお話です。
○
『んー・・・何かが足りたいような・・・』
『どうしたの?お姉ちゃん』
私はある事に悩んでいました。
ポーションやエーテルを作っていますが、
何かが物足りなかったのです。
考えていると、ネイがある提案をしました。
『オリジナルの薬を作れば良いんじゃない?』
『それよ!ネイ!!』
ネイのおかげで良いアイデアを思い付きました。
そうです、他の薬屋にはない物を作り、
お店に出せれば唯一無二のお店になれます。
オリジナルの薬を試作するのは大変そうですが、
薬剤師の資格を取った私になら出来ると思います!
私はネイに留守番をさして、自分は森にキノコ類を探しました。
キノコも種類に寄っては薬に使えるからです。
『何か使えそうキノコがないかしらー?』
探しているとモンスターの気配がして後ろに振り向くと、
ゴブリンが一体いました。
私を睨みつけて木の棍棒を構えて襲って来た。
私は腰に巻いている鞘から剣を取り出し、
ゴブリンを返り討ちにしました。
『えいっ!!』
一振りでゴブリンの首を刎ねてやりました。
ギルドで依頼をして何回も倒した敵なので、
これくらいは余裕で倒せます。
それから数分探し続けていると、珍しいキノコを発見しました。
木陰にピンク色のキノコがありました、そうラブタケです。
これを摂取すると淫らな気持ちになるみたいなんです。
まぁ、毒キノコですね。
しかし、これを毒消しの薬草と混ぜて配合すれば毒が消え、
程よい惚れ薬を作れる可能性があります。
閃いた私はラブタケをいっぱいバッグに詰めて持ち帰りました。
私達の薬屋に戻り、薬を作る専用の部屋で早速作り始めました。
ネイは隣で少し心配そうに見ていました。
『えーと、毒消しの薬草を水に入れ、ラブタケを半分入れると・・・』
私は瓶の中に両方入れてしばらく待機しました。
数十分経って瓶を見てみると、
透明な水が綺麗なピンク色の染まっていました。
『出来たかな?試しに飲んでみるわ』
ネイに止められましたが瓶に入っている水を一口飲みました。
あら?毒消しの薬草の所為で効果がなくなったかしら?
と思い、首を傾げた束の間の事でした。
急に胸が熱くなって身体が火照始め、
ネイを見ると気持ちが抑えられなくなりました。
『ネイ・・・私と良い事をしましょう?』
『お、お姉ちゃん!?』
頬を赤く染め、上着を脱ぎ始めたお姉ちゃんが色っぽく、
妹の私でも焦ってしまっていた。
このままだと大変な事になると感じた私は、
毒消しの薬が入っている瓶の蓋を開けて、
お姉ちゃんが襲ってくる前に、
瓶に入っている水を口の中に流し込みました。
『お姉ちゃん!ごめんなさい!』
『んっ・・・!?ごくん・・・』
数秒後にラブダケの毒の効果がなくなり、
お姉ちゃんは正気に戻ると、
とても恥ずかしそうにして上着を慌てて着ました。
『こんなに効果があるなんて・・・危なかったわ・・・』
私は少し呆れ、溜息をついてから注意をしました。
『ふぅー・・・危ないはこっちのセリフだよ』
『あははーごめんなさいね』
○
『と、いう事があったのよね。あれは恥ずかしかったわ・・・』
スフィア達に説明をすると、
エリナが興味津々で棚に置いてある惚れ薬を手に取りました。
『これ、買います!!!』
それを見ていたスフィアはエリナの肩に手を置き、止められていました。
『エリナよ、誰に使おうと思っているんだ?』
エリナは怒っているスフィアの顔を見て、正直に白状しました。
『もちろん・・・スフィアに』
『絶対やめろよ!!』
本当にエリナはスフィアの事が好きみたいです。
止められたスフィアには、
ポーションとエーテルで我慢しろと言われていました。
帰り際に二人共一つずつ買ってくれました。
『『ありがとうございました!!』』
私達は軽くお辞儀をしてお礼を言うと、
二人は優しく手を振ってくれました。
『また来るよ、アイン!ネイ!』
『頑張ってよー二人とも!』
それから二人が来てくれた以降にお客が徐々に来てくれて、
お店に並んである薬は毒消しと惚れ薬以外は完売して、
本日の営業は終わりました。
惚れ薬はある女性が買ってくれました。
最近、彼氏と上手くいってなくて悩んでいた女性がいて、
惚れ薬をお勧めした所二つも買ってくれました。
上手くいくといいですね。
『んー・・・ 初日は疲れたね・・・』
『そうだね、お姉ちゃん。でも、楽しいね!』
『ええ、楽しかったわね』
私達はお店を出て、自宅へ帰りました。
さて・・・また来週頑張りましょうか!
そうです、私達は趣味でやっていますので一週間に一度だけの営業なんです。
こうして私達の新しいスローライフが始まりました。




