2話
私は今日もギルド会場に来ています。
もちろん、お小遣い稼ぎのためだ。
『今日は何の依頼書を受けようかなー・・・』
ゴブリン大量発生の依頼は一人だと嫌だし、
スライムの討伐は昨日やったし薬草探しは地味だし、
クラーケンは・・・倒せるかもしれないけど辞めておこう。
迷っていると、大声で私の名前を呼ぶ女の子が出てきた。
『スフィア!今日こそ私が勝つわよ!!』
『また勝負をするのかい?』
いきなり勝負を仕掛けてくる彼女の名前はエリナ、
私は彼女に同い年という理由で、勝手にライバル視されているのだ。
今日もローブを着ており、紫の三角帽子を被っている。
髪はとても綺麗な赤色だ。
エリナの着付けはいつも魔女っぽいのだ。
まぁ、本物の魔法使いなんだが。
彼女の母親が魔女なので、
エリナも少しだけ魔法が使えるみたいなのだ。
『今日は何の勝負をするんだい?』
『今日は私達の勝負に相応しいのがあるわよ!これよ!!』
エリナが掲示板から依頼書を取って私に見せたのは、
ゴブリン大量発生の依頼書だった。
『ゴブリンをより多く討伐した方が勝ちよ!』
『ああ、望むところだ!』
まぁ、なんだかんだでエリナといると面白いし、
楽しいから勝負に挑まれても断らないのだ。
私達は依頼を受け、ゴブリンが目撃された所に向かった。
歩いて目的地に到着するまでは二人で仲良く話をした。
主な会話の内容は、二人共好きな紅茶の話や日常会話だ。
目的地に辿り着くと意識を集中するために、
武器を取り出し戦闘態勢に入った。
『あれが、ゴブリンの群れね・・・』
『いちにいさんしー・・・20体いるな』
私達は小屋の後ろに隠れてゴブリンの様子を見ている、
ゴブリンの群れは農産物を荒らしているようだ。
私達は作戦を立ててから戦う事にした。
勝負をすると言っていたのになぜか協力し合っている。
まぁ・・・こういうのも偶にあるんだけどな。
『じゃあ、頼むよ、エリナ!』
『まっかせなさい!氷の魔法よ、私に力を貸して!』
一斉に飛び出して、エリナが氷の魔法をゴブリンに放ち、
足元を氷漬けにした。
最高5体しか氷漬けに出来ないみたいだけど充分すぎる、
私は槍を振り回して攻撃を仕掛けた。
『はぁぁぁ!!!』
5体のゴブリンを倒すと、
遠くにいたゴブリンの仲間が気が付き、一斉に襲って来た。
『スフィア!私に任せて!』
『ああ、頼む!』
後ろからエリナの声が聞こえたので、私は右に大きく飛び跳ねた。
『燃えよ!ゴブリンよ!』
エリナの持っている杖から炎が出てきて、
ゴブリン達を次々と燃やした。
しかし、まだ10体ほど残っていた。
ゴブリン達はそれぞれに目標を狙い、分かれて襲って来た。
良し、作戦通りだ。
一遍に来られると大変だから、散らばってくれると倒しやすい。
私は先頭にいたゴブリンを狙いを定め、
跳んで上からゴブリンの頭を狙って切り落とした。
着地したのと同時に槍を振り回して、周りにいたゴブリンを倒した。
エリナを狙いに行ったゴブリン達は、
再びエリナが唱えた炎の魔法で返り討ちにあっていた。
『これで最後だわ!燃えよ!ゴブリンよ!』
二人でゴブリンを絶滅させると、とても達成感があった。
『やったー!!討伐出来たよ、スフィア!!』
『ああ!お疲れ、エリナ!』
『おつかれさまー!でも、同点だなんて悔しいなー』
私は驚いて固まってしまった。
『えっ!数えていたのか!?』
『まぁね!』
計算によると、私が初めに5体を倒して、
一回目の炎魔法で5体のゴブリンをエリナが倒す。
そして私が跳んでゴブリンの首を切ったのが一体、
槍を振り回して4体を倒し、
エリナの二回目の炎魔法で5体を倒したと説明された。
確かに・・・その様な気がする・・・。
私はエリナを感心していると、ある事に気が付いた。
『そういえばエリナ、風の魔法を使う機会がなかったな』
エリナは忘れていたかのように思い出していた。
『あーそうだね、ゴブリン達が散らばったから使わなかったね。
それとも使うべきだったかしら?』
『いや、5体くらいなら余裕だから必要なかったよ』
『スフィアなら一瞬で倒せるよね!』
エリナの風の魔法とは人を対象にする魔法で、
使うと風を纏って空中に飛ぶ事が出来る魔法だ。
相手に突撃する時や、危ない時に回避が出来る。
ちょっとだけ空中に飛びたかったが、何処かで使う機会があるだろう。
ゴブリン退治を終えた私達はギルド会場に戻り、報酬を受け取った。
『銅貨100枚になります』
パンを100個買える報酬を手に入れました。
仲良く半分に分けて、私達の本日の活動は終了した。
『またねー!スフィア!』
『ああ、じゃあな、エリナ』
さてと、親に何かを買ってから帰ろうかな。