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67話 文化祭準備

 学校に着き、自分の椅子に座っているとHRチャイムが鳴り、ダル先生が入ってきた。



「今日は1時間目の授業をやめて、文化祭の出し物を考える。皆、やりたいものがあると思うが、随時、クラス委員に挙手して、文化祭の出し物を言ってくれ。それではクラス委員、前にでて司会進行を頼む」



 ダル先生はクラスの窓辺にパイプ椅子を持ってきて、ドカッと座っている。自分からは何も言うつもりはなさそうだ。



 クラスの男子からはチャイニーズ茶屋、コスプレ喫茶、水着喫茶など色ろな提案が出されたが、女子の強い抵抗にあって全て却下された。クラスの文化部からは、各クラブの展示を主張されたが、「そんなもん自分達の部活でしろ」と却下された。運動部男子からは「褌喫茶」という奇抜な案をだされたが、女子達がドン引きして却下となった。劇や合唱などの無難な案も出されたが、練習が面倒臭いというクラス全員の一致で却下された。



 芽衣が挙手する。



「他の学年はクラスの皆も巻き込みましょうよ。ファッションショー、コスプレありっていうのはどう?」



 なるほど、これならクラスの中でファッションショーの歩く部分と男子と女子の更衣室をつくるだけでいい。照明具は体育館倉庫から演劇部の装置を拝借してくるだけでいいだろう。スピーカーとミキサーなら軽音部から小さいものを借りてくればいい。これは簡単そうだ。



 ダル先生が暑そうに出席簿で顔を扇ぎながら「自分達の教室から誰も出なかったら問題になるだろう。教室内で、誰が出席するか決めろ」



 ダル先生の一言で、教室内で誰がモデルになるか相談が行われた。次々と名前が挙がっていく。



 女子では芽衣・咲良がまず選ばれた。男子では悠の名前が挙がっている。



「俺も出たい。女子にアピールしたい」という蓮の言葉を受けて、蓮も男子枠に入った。



 各クラスへ勧誘をしに行く連中の名前も決まった。でも僕の名前が呼ばれない。おかしいなと黒板をよく見ると。



 中性、空野蒼大と書かれている。これで僕は男装をしたらいいのか? 女装をしたらいいのか? 悩む。僕は仕方なく挙手する。「僕の役割はなんですか?」



 クラス委員長の代わりに芽衣が答えた。「書いたそのままよ。蒼には男装も女装もしてもらいます。その上、中性ということで、中性のファッションもしてもらうわよ。だから蒼だけは特別に3回、着替えね」



「僕だけ3回も着替えることになるの? それだったら女装は外してほしいだけど」



「ダメよクラスの総意で決まったんだから。蒼の女装がなくなることはないわ。覚悟しておいて」



 芽衣がニヤニヤして僕の顔を見る。



 莉子が音響係を担当することになった。前から1度やってみたかったんだそうだ。似合ってるけど、エキサイトしないでね。



 クラス委員が「今、名前が呼ばれなかった、立候補しなかった者は裏方に回るということで文句ないわね。裏方も看板を作ったり、演劇部から部品を借りてきたり、軽音部から部品を借りてきたり大変よ。しっかり頑張ってね」と声をかける。



 ダル先生が教壇に立った。



「残された期間は1週間だ。学校に残れる時間は10時までとする。その間に、なるべく学校の備品を作って作るように。ファッションショーに着る服装は女子達に見てもらえ。以上だ。くれぐれも、俺に迷惑かけるなよ」



 そう言って授業中にも拘わらず、ダル先生が教室を出て行った。



 女子達は自分達の服はほとんどレンタルで賄うらしい。男子の私服はと聞くと、男子が読む雑誌を大量に渡された。自分達で探せということだろう。



 問題は僕の服装だ。中性的な衣装と言われてもピンとこない。女子も同じようなもんだ。発案者の芽衣も悩んでいる。悩むぐらいならやめてほしい。



 クラスの勧誘部隊の者達は各クラスへ宣伝に入っていった。可愛い女子を連れて来てくれよ。僕的には男はいらん。



 午前中の授業が終わって、瑞希がお弁当を持ってきてくれた。2人で校庭の中庭でお弁当を広げる。



「蒼の教室って文化祭でファッションショーをすることになったみたいね。2年3組の男の子が私達のクラスへ宣伝してきたわよ。私にも出てほしいって拝んでいったわ。蒼はどうしてほしい? 出てほしい?」



 それは持ちろん出てほしい。瑞希なら優勝も狙える。僕はコクリと頷いた。



「わかった。私も出るね。後、お姉ちゃん達も出るって意気込んでたから伝えておくね」



 瑞希がおかずを食べながら笑っていたが、急に頬引きつらせた。



「言いにくいことなんだけど・・・・・・健也が、今度こそ正当な勝負ができると言って、参戦するみたいよ。彼、1年生から3年生の女子生徒の間で人気が高いから、厳しい勝負になると思うわよ」



 それはマズイ。これで負けたとなったら、藤野健也が復活してくる可能性がある。これは阻止しないといけないな。

 


 僕達は昼食を食べた後に保健室へ行って琴葉ちゃんに相談する。琴葉ちゃんも僕達のクラスでファッションショーをすることを知っていた。琴葉ちゃんにもオファが来たようだ。白衣であればOKと答えたそうだけど、実際はどうだろう。かなり琴葉ちゃんはノリノリだ。



「確かに健也くんが復活してくるかもしれないわね。今度は学校で正式に認めらた行事だもの。その行事で健也くんが勝てば、必ず健也くんが復活するうわ。私も蒼ちゃんのメイクに力を注ぐわ。絶対に勝ってね」



 琴葉ちゃんから激励を受けてしまった。これは勝つしかない。僕達は放課後に葵さんのいる美容院に行くことにした。











 葵さんは喜々として喜んで僕の髪を切って、パーマスタイルのフワフワショートヘアにしてくれた。髪の毛の色が栗色に変化している。そしてハートマークのカラコンをプレゼントしてくれた。このカラコンで誰を見ればいいんですか。



 草薙弥生さんの店に行く。するとロングカーディガンと白のVのニットとスキニーデニムにブーツを選んでくれた。僕はそれを買って紙袋へ入れてもらう。



「瑞希ちゃんから聞いたわよ。ファッションショーするんだって。弥生も必ず葵さんと見に行くからね。楽しみにしてるわ」



 思わず応援されちゃった。



 瑞希はレンタルショップに行って、店員さんと話をしているけれど、僕が近くに行くと、「邪魔よ」と言われてしまった。瑞希はどんな恰好をするつもりなんだろう。僕は1人でモールの中を1人で歩く。



 するとジュエリーショップが目についた。最近、バイトをしているから、僕の財布もずいぶんと温まっている。ジュエリーショップを見てまわていると、きれいな店員のお姉さんが案内してくれた。



「彼女に指輪ですか?」


「あげたいと思ってるんですけど、高いですね。あとシンプルな何もついていないものがいいです」


「プラチナの指輪がいいと思いますが、相場は5万ですね」



 5万はバイト代全て合わせても足らない。僕は売り場から出ようとした。するときれいなお姉さんが服の裾をひぱっている。そして僕をカウンターに呼ぶ。



「本当は店頭のものを売らないといけないんだけど、僕、真剣に選んでいるから、特別に店頭に並んでいない指輪を見せるわね、これなんてさっきの5万の指輪と変わらないのに価格は3万よ。たぶんこっちのほうが高価よ。彼女の指のサイズは知ってるの?」


「たぶん9号だと思います。きれいで細いからわからないけど」


「指輪はサイズを調節できるから9号が無難ね」



 指輪はケースに入れれて保証書もつけられて、小さな袋に入れられて。僕は支払いを済ませると、自分の服が入った紙袋の中に隠す。



 瑞希もレンタル服店で洋服を決めたようだ。



「私の服だけじゃなくて、蒼の服も頼んでおいたから、男性の用の服で悩まないようにしておいたわよ」


「そういえば弥生さんの洋服店で買った服って中性だったような気がする」


「僕、女子用の服装がないんだけど、どうしたらいいと思う?」


「私の制服の予備があったから、それを着ればいいわ。蒼は絶対に学校の制服が似合うから」



 そんなことを断言されたくない。でも女子用の服を持っていないんだから仕方がない。



 さて、僕は瑞希にいつ指輪を渡せばいいんだろう。勇気がいるな・・・・・・

潮ノ海月でございます。

読者の皆様。読んでいただきありがとうございます。

(毎日、良い作品が書ければと、一生懸命に書いております)

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いつも読んでいただきありがとうございます。

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