61話 告白
瑞希達が温泉から帰ってきた。あれから誰も大浴場には入ってこなかったということだ。良かった。
お姉ちゃんズは皆で僕に謝ってきた。どうしてなんだろうと思っていると、お姉ちゃんズと瑞希は、僕の暴走モードをガン見してしまったらしい。最悪だ。
瑞希、なんで右手をニギニギしているのかな。確かに瑞希は僕のを握っちゃったけど、感触を思い出さなくていいからね。
お姉ちゃんズも瑞希も浴衣に着替えている。全員、髪を結いあげて、項が見えて色っぽい。特に楓姉ちゃんのエロさは凄い。何もしていないのに浴衣の前が閉まらない。少しした動作で胸が見えそうになる。
どうしても僕の目は楓姉ちゃんに向かってしまう。その度に瑞希に耳を引っ張られ、楓姉ちゃんににっこりと笑われる。
「私、そういう視線には慣れてるの。だから大丈夫だよ」
何が大丈夫かわからないが、とにかく楓姉ちゃんの許しをもらえた。ラッキー。
部屋には大きな窓ガラスが取り付けられていて、旅館の後ろに流れる川をパノラマのように見ることができる。部屋の窓際には小さい廊下になっていて、そこにテーブルと椅子が置かれている。僕は椅子に座って川をボーっと見る。本当に温泉地に来たという実感が沸いてくる。
恵梨香姉ちゃんと美咲姉ちゃんは旅館の中を探検にいった。いったい何を探し出してくるつもりなんだろう。
瑞希と楓姉ちゃんは布団を出して、布団の上で2人でじゃれ合っている。その姿がすごくエロい。僕も参加したいな。
凛姉ちゃんは僕の対面の椅子に座ってお茶を飲みながら川を見ている。椅子に座っている姿も凛々しい。恵梨香姉ちゃんがドタバタと部屋に入ってきた。
「卓球台があったよ。皆で卓球しようよ」
おー温泉卓球かー。話には聞いていたけど、自分もやることになるとは思わなかった。
皆で卓球台へ向かうと、美咲姉ちゃんがフロントからラケットとピン球借りてきていた。
「よーしやるわよ。卓球が上手い人、手を挙げて」
瑞希と恵梨香姉ちゃんと美咲姉ちゃんが手を挙げている。凛姉ちゃんはなぜか手を挙げていない。上手そうなのにな。
楓姉ちゃんも手を挙げていないが、これは理解できる。おっとりした性格の楓姉ちゃんに卓球は似合わない。僕は小学校の時に少しだけ卓球をしたことがあるぐらいだ。とても上手いとはいえない。
皆で決めた結果、恵梨香姉ちゃん対瑞希、美咲姉ちゃん対凛姉ちゃん、楓姉ちゃん対僕という組み合わせになった。
はじめは恵梨香姉ちゃん対瑞希だ。スタートから上手さがわかる。恵梨香姉ちゃんも瑞希もラケットを色々な角度に変えてピン球に回転をかけて打ち合っていく。最後にはスマッシュも飛び出す。これはすごい。
白熱したラリーが続くが、最後には瑞希が得点を重ねていき、結果だけをみると瑞希の圧勝だった。恵梨香姉ちゃんが悔しそうな顔をしている。
2人は試合に夢中になっていて気づいていなかったようだが、激しくラケットを振る度に浴衣が開けて、胸元が見えかける。浴衣の上からも胸がユラユラと揺れる。これは見ているほうが得かもしれない。
次は凛姉ちゃんと美咲姉ちゃんだ。この試合は意外にも凛姉ちゃんの圧勝で終わった。やっぱり凛姉ちゃんが動きが違う。次々と卓球台のギリギリの所へピン球を落として、美咲姉ちゃんの失敗をさそう。作戦的にも完璧だった。実力なら瑞希と良い勝負だと思う。
僕と楓姉ちゃんの勝負になった。2人共ラケットに当てて、相手コートにピン球を返すのがやっとの低レベルな勝負だ。しかし、楓姉ちゃんのエロボディに僕は翻弄される。楓姉ちゃんがラケットを振る度に、タユンタユンと豊満な胸がおどる。それに浴衣が完全にはだけて、胸が半分以上見える。僕は卓球どころではない。どうしても目が楓姉ちゃんの体へ吸い込まれる。勝負は僕のストレート負けに終わった。
勝負が終わった後に部屋で瑞希に正座をさせられて、説教を受けることになった。だって仕方ないじゃないか。これは本能なんだ。僕の意思じゃない。
卓球で汗を流した僕達はまた、温泉につかることになり、今度は男風呂でゆっくりとすることができた。しかし、女風呂から聞こえてくるお姉ちゃんズと瑞希の会話の内容がエロすぎる。皆で胸をもみ合っているらしい。
僕は皆の声と言葉を一瞬でも逃すまいと耳を大きくして静かに湯舟の中で、声を聞いている。楓姉ちゃんの喘ぎ声、エロ過ぎます。結局、僕はのぼせるまで湯に浸かってしまい、部屋に戻ってから布団に倒れることになった。
「まったく、お風呂で何をしていたの?」
瑞希が不思議そうな顔をして、僕に膝枕をしてくれている。言えない。女風呂の声を聞こうと必死になっていたなんて言えない。それと色々と想像して頭に血がのぼったなんて言えない。これは秘密にしておこう。
僕達が布団で転げまわってダラケていると女中さんが夕食を持ってきてくれた。刺身の盛り合わせや煮魚、鍋、煮物、揚げ物など、大量の夕食が運ばれてくる。これは贅沢だ。
「雑誌でここが1番、夕飯が美味しそうだから、この旅館に決めたのよ」
美咲姉ちゃんが胸を張っている。美咲姉ちゃん、胸を張っても、楓姉ちゃんに負けるなんて・・・・・・言わないでおこう。可哀そうだ。楓姉ちゃんが特別なんだな。
皆で楽しく夕飯を食べていく。途中で恵梨香姉ちゃんが女中さんに瓶ビールを頼もうとして皆に取り押さえられた。
「イーじゃん。今日くらい。先生も親もいないんだし。今日くらい、皆で羽目を外そうよ」
凛姉ちゃんに力のこもったチョップを頭にもらって、両手で頭を隠して唸っている。相当に痛そうだ。
夕飯も大半なくなった頃、僕はお土産屋で買ったかんざしを出して、お姉ちゃん達に渡した。もちろん瑞希の分もある。美咲姉ちゃんが不思議そうな顔をしてかんざしを見ている。
「日頃、お世話になってるお礼。かんざしだから邪魔にならないと思って買っておいたんだ。気に入ってくれたら嬉しいです」
お姉ちゃん達も瑞希も大喜びした。そして1人づつ、僕に抱き着いて頬にキスをしてくれた。こんなお礼が貰えるなら、もっとかんざし買っておけばよかったな。
夕飯が終わって、また僕達は温泉に入りにいった。せっかく温泉地に来たんだから。温泉に入らないと勿体ない。僕は大浴場から露天風呂へ行くと露天風呂は混浴になっていた。
お姉ちゃん達はバスタオルを巻いて、僕に手を振っている。僕はタオルで股間を押えたまま、手を振った。そして一緒に露天風呂に入る。お姉ちゃん達は温泉で体が温まっているのか体がピンク色になって凄く色っぽい。髪の毛も結い上げているので項も色香が漂う。
露天風呂の周りは小さいけど、日本庭園のようになっていて、ライトアップされていて緑がきれいだ。木々も上手く配置されていて、ほんのり紅葉してきている葉がきれいだ。空を見ると満点の星空が輝いている。僕達は風景に酔いながら、露天風呂を満喫する。もちろん、瑞希は僕に寄り添っている。
温泉疲れをしたのか、お姉ちゃん達は布団を敷いている部屋にゴロゴロと転がって寝息をたてはじめた。僕と瑞希は襖を閉めて、お姉ちゃん達が寝ている邪魔をしないように配慮する。そして僕達は見つめ合うように畳みに正座した。
部屋の電気を消してもベランダから月明かり差し込んで、顔を見ることができる。僕は自分のバックから天然べっ甲の櫛と髪飾りを取り出して、瑞希に渡した。
「これは何なの?」
「日頃、瑞希にはお世話になってるし、やっぱり瑞希のことは特別だから、皆とは別に用意した。もらってほしい」
「ありがとう」
瑞希がべっ甲の櫛と髪飾りを胸に抱いて喜んでいる。
「本当はお姉ちゃん達の前で言おうと決めてたんだけど、お姉ちゃん達、寝ちゃったね」
「何を言うの?」
「瑞希、結婚を前提に僕と付き合ってください。一緒に居てほしい。毎日、瑞希の笑顔がみたい」
僕は初めて、瑞希に付き合ってほしいと告白した。瑞希の目から涙が溢れて頬を伝う。
「はい。喜んでお付き合いします。やっと言ってくれたんだね。嬉しい。ありがとう」
瑞希と僕は立ち上がって、月明りが差すベランダへ歩いていく。月明りに照らされた瑞希の顔から涙が溢れている、瑞希は優しく僕に微笑んでいる。その瞳は潤んで、とてもきれいだ。僕達はギュッと抱きしめ合って、初めて唇を重ねた。瑞希の唇はとても柔らかく優しい。
すると、隣の部屋から、お姉ちゃん達がなだれ込んできた。皆寝たふりをして、僕が告白しやすいようにしてくれていたみたいだ。部屋の明かりが点けられて、お姉ちゃん達は泣きながら、僕達2人を祝福してくれた。
第2章が終わりとなりました。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
蒼大もやっと瑞希に告白し、付き合うことができました。
この作品を愛読してくださった方々へ、本当に感謝をいたします。
評価・ブックマーク・励ましの感想が私の励みとなりとなりました。
(特に評価・ブックマークの両方してくれた読者の方々の行動には感謝するのみです)
皆様のおかげで第2章の終わりまで進むことができました。
ありがとうございます。
できたら最終章へ向かいたいと思います。