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45話 お風呂

 アミューズメントパークを出ると、すっかり日が沈んで星空が広がっていた。お姉ちゃん達とアミューズメントパークで解散して、瑞希と2人、手を繋いで路地を歩いて家に向かう。家に着いた僕達は、夕食を食べる前にお風呂に入ることにした。



 じゃんけんで負けたので、僕がお風呂に先に入ることになる。着替えを持って脱衣所へ行き、着替えを棚に置いて、着ている服を脱いでいると、ヒョコリと瑞希が脱衣所に顔を出す。そして僕の体をジーっと見てくる。



 どうしたの瑞希、僕の体、別におかしいところはないよ。そんなに興味津々に見るのは止めてほしい。



 僕は上半身だけ脱いだ状態で、瑞希の顔を見る。



「別に覗きにきたわけじゃないの。今日の蒼があまりにも女の子だったから、もしかすると胸もあるのかなって不安になって・・・・・・」



 メイクをしたからと言って胸が出てきたら怖いよ。何を妄想してるんだか。瑞希も面白いことを考えることもあるんだね。



「僕に胸なんてあるわけないよ。僕は男子だよ。ただ普通の男子よりも女顔しているだけの男子。本当の女の子になるはずないでしょう。瑞希は変な妄想してないで、夕食の用意をお願いします」



 瑞希は「は~い」と言って、脱衣所から去っていった。



 脱衣所で全ての衣類を脱いで、タオルを持って風呂場に入る。そして体を洗って、髪をシャンプーで洗って、シャワーを浴びる。そして、湯舟に入って、リラックスしていると、風呂場のドアが開いて、瑞希が風呂場に入ってきた。




「ギャーーーーー!」




 僕は咄嗟にタオルを湯舟に浸けて股間を隠す。瑞希を見ると上下白のビキニの水着を着ている。肌がきめ細かく、色白の瑞希に白のビキニが良く似合う。それも胸を覆っているビキニが小さな三角形しか面積がないので、胸のほとんどははみ出して、ビキニの下からも下乳が見えている。破壊力抜群だ。僕は湯舟の中で脚を縮こまらせる。



 すると、瑞希はシャワーを浴びてから、狭い湯舟に入ってくると、僕の体にもたれかかってきた。



「瑞希、これは何のサービスなのかな。僕としては瑞希のビキニ姿が見れて、大変、嬉しいんだけど、普通、男子がお風呂に入ってる時に、女の子がお風呂に入って来ちゃダメだよ」



「だって、今日、美咲、楓、恵梨香、凛の4人が蒼にお姉ちゃん宣言してたんだもん。このままだと蒼が4人に取られちゃうよ。そんなことはイヤ。蒼は私の宝物だもん。蒼のお姉ちゃんをするのは私だもん。そんなことを考えていたら、心配になって来ちゃって、私もアピールしなきゃって思って、お風呂に入ってきちゃった」



 瑞希は舌先を出して「ごめんなさい」と言うように笑う。そして僕の体にもたれかかってくる。



 瑞希がこんなに積極的に甘えてくるなんて、珍しいことだ。そんな瑞希を僕は可愛いと思った。怒る気にもなれない。僕は瑞希の髪の毛を優しくなでる。



「瑞希は僕にとって特別なんだよ。僕は瑞希のものだよ。だからこれからは無理にお姉ちゃんをする必要はないんだよ。だって僕達は・・・・・・」



 付き合ってるという言葉を言おうとすると舌がもつれた。体温が上昇してきて体が火照る。心臓がドキドキする。突然、猛烈に恥ずかしくなってきた。早く湯舟から出よう。



 僕が湯舟から出ようとすると瑞希が体をもたれさせる力を強めて、僕を湯舟から出してくれない。



「僕達はの後の言葉を聞きたいな」



 僕を上目遣いで見て、目を潤ませている。ウルウルだ。



「今度、きちんと僕から告白するから。その時は告白を受け取ってほしい。こんな風呂場で裸な状態で告白なんてできないよ。それにまだ心の準備ができてないし。必ず告白するから待ってほしい」


「蒼から告白してくれるのね。嬉しい。必ず私「うん」って答えるから安心してね。私には蒼しかいないんだから。私は蒼しか見てないんだから。蒼からの告白を待ってる」



 瑞希は胸の前で両手を握り締めて祈っているように、目を伏せる。その姿がものすごく可愛い。もう我慢できない。暴走モードに入りそうだ。瑞希姉ちゃんに呼び方を切り替えよう。



「瑞希姉ちゃん。僕、お風呂に入り過ぎてるから。このままいるとのぼせちゃうよ。だから湯舟から出るね」



 僕は暴走モードになっている股間をタオルで隠して、急いで湯舟から出ようとする。すると瑞希が「待って」と言って、僕のタオルの端を捕まえて引っ張った。



 タオルがハラリと落ちる。



 瑞希の顔の間近に、僕の暴走モードが現れる。瑞希は余りの驚きに声も出ない。手で両目を隠すこともせず、ガン見状態だ。



 僕はタオルを急いで取って、股間を隠して風呂場から出ようとすると、足首を掴まれた。僕はヨロヨロと風呂場の壁に片手をつく。



 瑞希が湯舟がからあがってきた。



「まだ、お風呂から出ちゃダメなの。それだと、私がビキニを着てきた意味がないから。蒼は椅子に座って。私が蒼を洗ってあげる」



「僕はもう体も頭も洗ったよ。瑞希姉ちゃんに洗ってもらわなくても、全部、僕一人でちゃんとできたから」


「ダメです。お姉ちゃんの言うことを聞きましょうね。蒼、シャンプーだけしかしてないでしょう。コンディショナーもトリートメントも使ってない。顔もボディーソープで洗ったままね。きちんと洗顔してないじゃない。蒼は磨けばきれいになるんだから、手を抜いちゃダメ。早く椅子に座って」



 完全にお姉ちゃんモードに入ってる。僕も弟モードに入ってるから当たり前か。これだと逆らえない。僕は素直に椅子に座る。



 するとボディータオルにボディーソープをたっぷりつけて泡立てると瑞希姉ちゃんが丁寧に僕の体を洗っていく。あれ?僕と荒い方が違う。僕はボディータオルで力任せにゴシゴシ洗うだけなのに、瑞希姉ちゃんの洗い方は、丁寧に優しく何回も同じ場所を円を描くように洗っていく。これは気持ちがいい。腕を洗ってもらえて、背中を洗ってもらう。



「前と脚は僕が洗うから、さすがに瑞希姉ちゃんでも前と足を洗ってもらうのは恥ずかしいよ」


「そうね。前を洗うのは蒼に任せるわ。でも蒼は足をきちんと洗ってなさそうだから、足は私が洗うね」



 瑞希姉ちゃんが僕の腕を持って、僕の体をクルリと回す。椅子にもボディーソープがついているから椅子の上で簡単に僕の体は回ってしまう。



 瑞希と正対する形になってしまった。この姿勢は非常にマズイ。



「蒼、右足を真っすぐに伸ばしてね」



 そう言って瑞希姉ちゃんが僕の右足を持って足を延ばす。人の足の裏を見せるのって、もの凄く恥ずかしい。瑞希姉ちゃんはボディータオルを泡立たせて足の裏から洗っていく。



 その姿を見ると、瑞希姉ちゃんのたわわに実った胸がプルンプルンと揺れる。お風呂からあがったばかりなので、ほんのりピンク色だ。そして僕の目を惹きつけてやまないのは、きれいな鎖骨だ。まさに芸術品。僕は目を逸らそうとするが、本能がそれを許してくれない。頭の中がパニックになる。



 瑞希姉ちゃんがボディタオルで脚を洗ってくれるのは嬉しいが段々と太腿まで洗う手が伸びてくる。これ以上は危ない。僕は瑞希姉ちゃんの手を止めて顔を引きつらせる。



「瑞希姉ちゃん、太腿はいいかな。ありがとう」



 瑞希姉ちゃんは今度、左足を洗い出す。洗うことに必死で、胸がプルンプルンと揺れていることに気づいていない。僕は股間をタオルで隠して、必死に耐える。もう限界です。



 やっと瑞希姉ちゃんが体を洗うのをやめてくれた。僕はボディタオルを受け取ると瑞希姉ちゃんに隠れながら、前の部分を洗っていく。さすがに股間を洗うことはしなかった。そんな度胸なんてない。



「さて、蒼、髪の毛を洗うわよ。キチンとトリートメントして、コンディショナーもしないとね」



 瑞希姉ちゃんがにっこりと笑う。トリートメント?コンディショナー?それってメイク道具ですか?一度も使ったことがないんですけど・・・・・・



 瑞希姉ちゃんが僕の前で膝立ちになると、僕を俯かせてトリートメントを手に取って髪に優しく滲ませていく。僕が目だけで前を見ると、瑞希姉ちゃん胸が間近にみえる。それときれいな鎖骨も。僕の中の悪魔が「揉んじゃえ」とささやく。僕の中の天使が「女の子の胸など揉んではいけません。嫌われますよ」という。今回は天使が勝って、僕は胸をチラ見するだけですんだ。



 瑞希姉ちゃんは僕の髪を優しく洗いながら声をかけてくる。



「蒼、そんなに胸ばっかり見ないで。恥ずかしくなっちゃうよ。少しは俯いていて、洗いにくいし」



 バレていたのか。僕は大人しく俯く。するとビキニのパンツが見える。とても薄く、僕には眩しい。刺激が強い。



 いきなり、瑞希姉ちゃんが、凄い勢いでシャワー頭にかけて、洗い流していく。僕は目に入らないように目をつむる。



「これだと、蒼、どこも見えないでしょう」



 頭の上から瑞希姉ちゃんの笑い声が聞こえる。知っててシャワーの勢いを強めたんだね。瑞希姉ちゃんは優しく丁寧に僕の髪の毛からトリートメントを流していく。



 トリートメントが終わるとコンディショナーが待っていた。僕は瑞希姉ちゃんに洗ってもらい続ける。コンディショナーが終わった頃には相当な時間が過ぎているような気がした。



 瑞希姉ちゃんが洗顔をしようとするので、僕はその手を止める。



「洗顔は自分でやるから大丈夫だよ」


「ダメ。洗顔にも方法があるのよ。蒼は顔を出して目をつむっていればいいの」



 瑞希姉ちゃんが僕の顔を洗顔する。やはり手つきが違う。洗顔ソープを泡立てて、泡で洗っていくように優しく丁寧に何回も指先で顔をなぞっていく。その指先が優しく僕の顔をなでていく。こんなに洗顔って気持ちがよかったんだ。僕なんていつもボディーソープで顔を力任せに洗っていただけだもんな。全く瑞希姉ちゃんと違うよ。これは参考になったな。



 僕は顔にシャワーを当ててもらって洗顔ソープををおとす。



 すっかり、体が冷え切ってしまったな。でも、これ以上、お風呂にいるのは危険だ。早く逃げよう。僕は風呂場のドアを開けて風呂場から出ようとする。すると、瑞希姉ちゃんがまたタオルを持って、僕を止める。瑞希姉ちゃんの手の中にタオルがある。



 僕の暴走モードをまた瑞希姉ちゃんに見られてしまった。「ウワァ」と叫んでタオルをもぎ取る。すると瑞希姉ちゃんが僕の腰に抱き着いた。



「体が冷えたまま、外にでたら風邪ひくよ。私と一緒に湯舟に入ろ」



 僕は瑞希姉ちゃんに連れられて湯舟に入った。湯舟に入ると瑞希姉ちゃんが僕にしな垂れかかってくる。そして目を伏せている。どれだけ一緒に湯舟に入っていただろう。風呂場の中では、瑞希姉ちゃんの鼻歌が流れている。そうとう上機嫌だ。



 そして、瑞希姉ちゃんは湯舟からあがって、風呂場のドアを開けて出ていく。その時、クルリと僕を振り返った。そしていたずらっ子のような笑みをもらす。



「蒼。ご立派なんだね。キャー」



 そう言い残して、風呂場から瑞希姉ちゃんは去っていった。僕は湯舟の中に頭まで沈んだ。恥ずかしい。



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