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わりと早く執筆出来ました。

 俺と遥花が『MBF』のキャラメイクをして約半月が経った。

 そう、今日は『MBF』のサービス開始の日だ。

 この半月俺はネットでいくつか知った事がある。

 一つは公式攻略本などは一切発売しないらしい。説明によればプレイヤーの皆さんが自力でプレイしてもらいたいという事だ。ゲームの世界では情報取引や情報売買は可能だという。

 二つ目は『MBF』には緊急クエストというものがあり、時間の法則性なしの緊急クエストが発令されるという。緊急クエスト用に用意されたクエストがありそれは百種類に上るのだとか。

 三つ目はゲームは一日十二時間までしかプレイ出来ないように運営がしているらしく、生活リズムを壊してしまう事を危惧したからだ。十二時間は長いがゲーマーなどの人の事を配慮してのことだろう。


 「楽しみだな~早く十二時にならないかな~」


 『MBF』サービス開始時間は正午ジャスト。

 今は昼前の十一時半、開始まであと少しである。

 遥花はソファーの上で説明書をかれこれ一時間は眺めている。相当楽しみなようだ。


 「なあ、ゲームが楽しみなのは分かるけど、ご飯を抜いたり夜更かしとかすると没収だからな」

 「げっ······、分かってるってお兄ちゃん、私そんな事するように見える?」

 「見える、だってこの前も夜更かししてゲーム没収しただろ」

 「うっ······」


 遥花はその場で固まり、額に汗をだらだらと流した。

 俺の気づかない内にこそこそとゲームをしている困った妹なのだ。


 ★☆★☆★


  『MBF』正式オープンは八月二日正午。

 俺と遥花は膨大な夏休み宿題をどうにか七月中に終わらす事が出来た。

 普段勉強をしない遥花が一生懸命に勉強をしている所を見たのは生まれて初めてだった。

 ······解答は勿論見ないように金庫にしっかり仕舞っておいた。


 「じゃあ確認だよ、ログインしたら円形状の大広場に出るから、東側の道に出て【冒険者の酒場】で五分にそこで集合だから。私は現実と同じ容姿にしてるから直ぐに分かる筈だよ」


 そういうと遥花は自分の部屋小走りでに行ってしまった。

 フルダイブのVRは楽な姿勢でプレイしないといけないので、俺も自室に戻りベッドの上に仰向けになった。


 「よし、あと三十秒」


 そして俺は『XZERTA』を頭に被りログインした。


 ★☆★☆★


 「な、なんじゃこりゃあああああ!」


 可愛いらしい叫び声が円形状の大広場を駆け巡った。

 周りには男性プレイヤーと女性プレイヤーが入り交じっている。

 確かにこのゲームは凄い、感覚があるし匂いもする。昔のヨーロッパにタイムリープしてしまったかのようだ。

 だが、一つおかしい事がある。

 俺が下を向くと胸の辺りに少し大きい二つの丘があった。

 しかも周りのプレイヤーは、冒険者の初期装備を身に纏っているのに対し、俺は水着というにはかなり際どいデザインのコスチュームを身につけている。

 おかしいと思い自分の全体像を手元のメニューから選択、そこにあったのは、整った顔立ちにしっとりとした腰まで届く黒髪、スラリとした体には出る所は控えめながら出ている。紛れもなく美少女だった。

 周りのプレイヤーが俺に注目し始めている。

 男の俺でもこのコスチュームはめっちゃくちゃ恥ずかしい······特に胸とか下半身とか。

 俺は人生で普通は一度も経験出来ないような羞恥に晒されていた。

 とにかく恥ずかしいので俺は人の少ない街の路地裏に身を潜め、そこで丁度遥花から通信チャットが入った。


 「お兄ちゃーんおそーい、今どこ?」

 「ちょっと緊急事態だ、西側の道を進んだところの四つ目の路地裏に、女性用の装備一式買って来てくれ」

 「えっちょっなに!?女性用!?どういうこと!?」

 「話は後だ、いいから来てくれ」


 そこでチャットが終了する。

 俺はふと考える、なんで俺が女になってしかもこんなに際どい服を着ているのかを。

 こんな格好恥ずかしい過ぎて街を歩けやしない。

 俺はもう一度メニューを開いて自分の姿を見る。

 エロい······

 このゲームは十二歳以上が対象なのだ。決して俺のコスチュームは十二歳がプレイしている前提とは思えない。

 このゲーム本当に対象年齢十二歳以上なのか疑ってしまうレベルだ。

 俺はキャラメイク時はちゃんと男であったのは確かだ、というか男は女性になれないって説明書にバッチリ書いてあったし······

 そんな事を考えていると遥花が小走りでやって来た。


 「だ、誰ですか?」


 遥花は顔を赤くなりながらも聞いてきた。


 「俺だ、清水翠だ」

 「ええっ!?お兄ちゃん!?どうしたのその格好!?」

 「よくわからない、なんかログインしたらこんな格好で広場に立ってた」

 「うわ~お兄ちゃん大丈夫だったの?ナンパとかされなかった?」

 「いや、俺はこの姿を知った瞬間ここまでダッシュで逃げて来たから」


 とりあえずこの格好は妹でも恥ずかしいので、俺は遥花が買って来た初期装備を一式をプレゼントとして貰い身につけた。

 これで安心······


 「ねえねえ、まずは【冒険者の酒場】に行こ」

 「そうだな、元々そこに行く予定だったからな」


 俺のアバターが美少女な為か、周囲の人の視線をビシビシ浴びながら来たのは、高校の体育館程の大きさはある木造の建物、【冒険者の酒場】だ。

 【冒険者の酒場】はプレイヤーがクエスト受ける事の出来る場所でこの街には3つあり、そのうちの一つがここだ。


 「お兄ちゃん、あそこ空いてるからあそこ座ろ」


 俺と遥花が座った席は、この酒場の一番隅にある二人用のテーブルだ。


 「ねえ、お兄ちゃんまずは何で女の子になってんの?」

 「さっき言った通りだ、キャラメイクの時は男だったのにログインしたら女になってた」

 「なってたって······じゃあステータス見せてよそれで何か分かるかもしれないから」

 「ああ良いぞ、ちょっと待ってろ······っとほら」


 そうして遥花に見せたステータスがこれだ。


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 

ミドリ  17歳  女  LEVEL:1

クラス:剣士

HP  :100

攻撃力:300

防御力:90

敏捷 :500

魔力 :200        

魔耐 :100

固有スキル:ゲイル グロウスLV1

     :疾風迅雷LV1

技能   :疾走

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 


 「お兄ちゃん······こう言うのなんて言うか知ってる?」

 「え······ステータス?」

 「ち·が·う、こう言うのをチートって呼ぶのっ!!」

 「しかもお兄ちゃん固有スキルが2つもあるよズルい!」


 遥花の言うとうり俺も初めてステータス見たので驚いたが、なんで固有スキルが二つもあるのだろうか?

 さっきから俺のアバターが女だったり固有スキルが二つもあるのはおかしすぎる。

 運営に問い合わせたほうが良いのだろうか?


 「お兄ちゃんズルい······私の見てみて」


 丁度いい、先程から遥花が俺のステータスがチートというので、遥花のステータスも気になっていた所だ。


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 

ハルカ  14歳  女  LEVEL1

魔導士

HP  :100

攻撃力:50

防御力:50

敏捷 :50

魔力 :300

魔耐 :150

固有スキル:フェアリー ブーストLV1

技能   :魔力消費削減‚小

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 


 「魔力と魔耐は私のほうが高いけど、他は全てお兄ちゃんが高い!」

 「いや······そう言うこと言われても······」


 遥花に理不尽極まりない事を言われるが、こればっかりは俺に言われてもどうしようもない。

 俺は心の中で呟いた。

 

 (······前途多難だな)



次回も宜しくお願いします。

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