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――Prolog――

――――身体が勝手に動いたのは初めてだった


 夕焼けが嫌になるくらい眩しく雲ひとつない日、長い長い陸橋を俺は、

取り留めもなく普段通り散歩をしていただけだった。


 自由に羽ばたく鳥達や仲睦まじそうに見えるカップル、坊主頭の部活帰りの少年たち

これがありきたりの社会の光景なんだろうなと白けた笑いがこぼれる。


 そんな景色の中に異様な光景が眼前に映った。


 陸橋の柵の上に凛とした顔立ちに麗しい艶が見えるほどの

綺麗な黒髪の少女が周りの視線を気にすること無く両手をパタパタさせてふらふらと

歩いている。


 一瞬、夕焼けに輝らされたその構図が綺麗に俺の瞼の裏に焼き付けられたのだ。


しかし、ふらりと体のバランスを崩した少女が落ちていくのを俺は感じた。


 ここから始まる恋があるのかなとか妄想するより前に身体が勝手に動いていた。


「あぶねえだろうが死ぬ気かっ!」


 バカみたいにありきたりな言葉を叫んでいた。


 危機一髪その腕をつかむことができていたのだ。


今にも飛び出してきそうなうるっとした瞳がこちらを見つめていた。


 しかし、でしゃばってみたものの俺の腕は華奢な体の女の子一人を支えるほどの筋肉もなかったのだと


「きゃあああああああああ」


彼女の悲鳴とともに夕焼けに染まる川に向かって2人落ちていく。

空中で名前も知らない彼女を抱き寄せて最低限の衝撃は抑えようと体を丸める体勢を取る。


――――ザバああああああっ


 体に大きな衝撃が走る。桜のまだ散らないこの季節一瞬だけ水の冷たさを感じる。


――ここで死んじまうのか――


「・・・・・て」


意識が遠のくなかで微かに聞こえてきた音だった。

それはとても深い音だった……





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