全国大会への想い
新幹線の中は、興奮モード。皆、目を輝かせている。
「珠姫先輩!楽しみですね!」
「そうだな。初めての県外での大会、しかも、全国大会、しかも…」
「東京!」
誰だ良い所取りやがった奴は!
「珠姫〜、たまには、副部長にも良い所くれよ。」
ああ、ヘタレ副部長か。
「ヘタレとはなんだこの野郎!」
颯が大声を出したが、鈴蘭の、
「颯先輩、ここ、新幹線ですよ。公共の場での一般常識もわからないんですか?中二にもなって?」
という言葉で、黙りこんでしまった。
「珠姫部長と、お泊り…。」
といってニヤついているこの変態を、今すぐぶっとばしてやりたいな、私は。
「さあ、お前ら、今晩はホテルのバイキングだぞ〜、うっわ、この、肉、美味そー!」
由宇島先生が、よだれをたらしている!?
「本番は明日かー、早いですね、先輩。」
鈴蘭は、少し緊張した様子で言った。
「大丈夫だ。」
私は、鈴蘭の頭を撫でる。
「私達は、ずっと一緒に頑張ってきたんだ。今回は、私達の出せるだけの力を、おもいっきり出せばいいんだ。」
そう、私も、鈴蘭も、颯も、海も、ずっと頑張ってきたんだ。明日のために。
珠算の大会は、基本、個人戦だ。団体戦もあるが、それは、点数の合計で競うものだ。どっちにしろ、一人で戦う。しかし…、
きっと、お互いの心は通じあってると思う。
珠算部部長 珠姫晴海