全国大会には学ぶべきものがあるのです。
ああっ、丸付け疲れた!
今回は、大会も近いから、かなり真面目にやらないとな。いや、毎回真面目だからな?
今回の大会というのは、なにを隠そう全国大会なのだ!
東京で行われる全国大会、長年の憧れ。なにせ、今年初出場だからな、私。去年も一昨年も、悔しい思いをしたものだ。
今回は、この珠算部のメンバー全員参加できるとあり、みんなのやる気が違う。
東京に行って、っていうか、県外で大会に参加というのが初めてだ。
「うぅー、あと1週間じゃねえか!うーわ、楽しみだなー!!」
颯は大はしゃぎだ。
「先輩、そんなにもはしゃいじゃって、子供ですかもぉー。」
そういう鈴蘭だって、
「東京か…。ふふふ♪」
と、楽しそうにしていたのだが、まったく、素直じゃないな。
「珠姫部長ー!!一緒の部屋になれると…」
「なれねえよ、馬鹿。」
変態は相変わらず変態だ。
「ええいっ!東京楽しみじゃないのか!?」
「楽しみに決まってんじゃないですか!?馬鹿ですか!?」
「うるせえ!後輩がガタガタ言うな!」
「権力振りかざさないでください!能ある鷹は爪を隠すって言葉知らないんですか!?」
「珠姫部長、お互い精一杯頑張りましょう、大会も、恋も…。」
ああ!うるさいうるさい!と思った瞬間…。
「うるさいぞお前ら!!大会前だろ、気を引き締めろ!!」
ガラッと扉をあけて、顧問の由宇島琴梨先生が入ってきた。
若く、美人な英語教師で、珠算、暗算十段の実績を持つエリートだ。
まあ、迫力あるね。
「さあ、どんどんやるぞ!全国にはすごい子がたくさんいる!その子達から沢山学べ!!」
「「「「はいっ!」」」」
「よーし。じゃあ、やろうか。皆、暗算用意してー。」
そう、全国には沢山の人がいる。そんな人たちから、何かを学びに、そして、近づけるように、私達は全国大会に行くのだ。
大会まで1週間。どこまでやれるのだろうか。
珠算部部長 珠姫清海