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昼休みにシャッスです!

今回は解説とヒロインへの弄り回です

R指定は大丈夫……だと思います!

多分、大丈夫だと思います。

大事な事なので二回言っておきます

「粒子供給を応用した粒子融合……ウソでしょ?」

 凪が有り得ないという顔で浩明を見た。

「まぁ、そう言ってくると思ってたよ」

 浩明には予想通りのリアクションだったようで、背もたれによしかかり、肩をすくめた。

 発見されてほんの40年、研究の途中にある魔力粒子は未だに解明されていない部分が数多くある。

 魔力粒子は体内でしか生成出来ず、保粒子量は個人で大きな差がある。更に大規模な魔法ほど、構築時に変換する粒子の消費量は多くなっていき、出力いかんによっては魔力粒子保有量の少ない魔術師には即粒子切れを起こしてしまう。

 その問題の解決のために行われている研究こそが放出された魔力粒子の再利用と、粒子自体の供給である。 術式変換された後の魔力粒子は発動後に魔力粒子となって大気中に放出されているとされている。その魔力粒子を再び体内に取り込む事が出来れば魔術師の粒子切れを防ぐ事が可能だ。

しかし、粒子自体の視認が未だに確認出来ず、未だに理論の確立すら出来ない状態である。

 それを「やっただけ」と軽く説明したのだから凪は驚かないわけがない。

「どうやってやったのよ?」

 身を乗り出して凪が迫ってくる。

 魔術師の未来を切り開く難問と呼ばれた課題を一介の高校生があっさりと解決したのだから、是が非でも知りたいのだろう。

「どう……って

最初に切られた時に放出された魔力粒子を両手に集め、粒子硬化をしただけさ。あの馬鹿の粒子だから竹刀に覆われていた魔力粒子と同化させやすかったからね」

 呆気に取られている凪を前にして、流浩は明暢に説明を続けた。

「振り下ろした太刀を受け止める瞬間に粒子を同化させ、こちらからの術式キャンセルで相手の術式に干渉させて、押さえたところをピンポイントに解除させたわけだ」

「世の研究者が聞いたら卒倒しそうな話ね」

 ジェスチャーをまじえた説明に、どう答えるべきか悩むように感想を漏らした。しかし一転して

「で、それって理論が分かれば私にも……」

「教えると思うか?」

「え~~、いいじゃない」

「これ以上の詮索は勘弁してくれ。もしバレたら人体実験直行だ」

 もちろんそうなった場合には、実験施設には広大なクレーターを作ってあげる予定だ。

「じゃあ、どうしてみんなの前でそんな魔法を使ったのよ?」

 別の切り口から切り出した。

 ここまで秘密主義を貫く浩明にしては行動が軽率過ぎる。

「あれはインパクトを与える為だよ」

「インパクト?」

「落ちこぼれの編入生が実は魔術師で、それも自分達が知らない術式を使った魔法を使う。それでもって自分達の行動いかんで何をしでかすか分からない。

つまり、こちらから何もしなくても相手は勝手に怯えてくれるって訳だよ」

「実力にかこつけてハッタリかまして脅すなんてえげつないわねぇ……」

 浩明のやり方にふてくされた声で答えた。

「さて、説明も終わった事だからさっさと退散しますか」

「え~~まだ他にも聞きたい事が山ほどあるのに」

 鞄を持って椅子から立つと凪がごねだした。

「聞きたかったのはさっきの真剣白刃取りのやり方だろ?」

「やり方は分かったけど、そんな方法をどうやって修得したのよ」

「師匠に教えてもらった」

「師匠って英二おじさん?」

「いや、別の人だ」

「誰?」

「ノーコメントだ」

「教えてよ~」

 好奇心という欲が出てきたようで、代金代わりの本を選んでくる浩明に、根掘り葉掘りと聞いてくるのを曖昧にはぐらかすように答える。

「これでいいか……と、こんな時間か。そろそろ出るぞ」

 時間を確認してから定価の3倍程の値段が書かれた歴史の専門書を手に取って、凪に促した。

「え~、もう少しいいじゃん」

「何言ってんだ。『他にもここに探しに来る人がいるからはやくして』って言ってただろ」

「そんな人いないって」

 単なる世間話の類のやり取りでしょ、と手を振って浩明の言葉を否定する。

「あのねぇ、私は君の名誉の為にも早く出たほうがいいって言ってるんだよ」

「私の名誉……、なんでよ?」

「なんだ、気付いてなかったのか」

 浩明の苦笑まじりに出てきた予想外の言葉に聞き返すと、ため息をひとつ吐いた。

「この倉庫、密談以外にも使われてるようだよ」

「密談以外って、読書とか?」

 具体例を上げて聞いてくる。

「最初に店員さんにここに案内してくれって言ったら『若いなぁ』って漏らしただろ?」

「別に若い人でも本が好きな人っているじゃん」

 目の前にいる浩明がその証拠だ。

「あの店員の姉ちゃんの笑い方が気になったから、確認のつもりで『私達みたいな若いのもいるのか』って聞いたけど、『カップルでね』って答えた時点で君は気付かなかったようだね」

「どういう意味?」

「ニブいねぇ、若い男女が密室でやるものなんて想像つくと思うんだけどね」

「何って……ま、まさかアレ?」

 浩明のぼかした言い回しに言いたい事を察した途端、凪の顔が一気に紅くなった。

「そ、あの姉ちゃん、私達がここで保健体育の実技をするって思ってるみたいだよ」

「!?」

 仕草から理解したのを確認してから、今度は直球で説明すると、顔を真っ赤にしたままの凪が、浩明から距離を取るように椅子ごと勢いよくあとずさった。

「あ、ああぁあんた、な、ななななんてとこ連れてくんのよ!?」

「お前、動揺し過ぎだぞ」

 パニック状態の凪をなだめる。

「悪い事してないんだから堂々と構えてろよ」

「あんたこそなんでそんなに堂々としてるのよ!?」

「私はちゃんと言っておいたからね。『彼女が満足したらすぐにでも出ます』ってね」

「ちょっ、それじゃ私から誘ったみたいじゃない!!」

 勢いよく立ち上がって迫ってくる。

「心配しなさんな、これを見せれば大丈夫だ。行くぞ」

 選んだ本を見せれて安心させるように言ってからドアを開けると、鞄を掴んで慌てて凪は浩明に続いた。



「あら、もう済んだの?」

「えぇ、思ったよりはやく済みましたから」

 本をレジに持っていくと、以外そうな顔で二人を見てきた。時間にして20分程度だがそれがはやいのか疑問だ。

「そう……ん?」

 出された本の値段を見たら、店員は浩明を見た後に、顔を真っ赤にしている凪を交互に見てからため息まじりに笑みを漏らした。

「残念、予想が外れたわ」

「一応、道徳は弁えてますから」

 支払いながら答える。

「あなた達、若いんだからたまには羽目を外しなさい」

「考えときますよ」

 なんて事をすすめてんだ、声に出さないようにお釣りと本を受け取って店を出た。


「ねぇ」

 店を出て数分、角を曲がって、人気のない通りに入ってから凪は声をかけてきた。

「あの人は、なんで私達が何もしていなかったって分かったの?」

「あぁ、それか。種明かしはこれだ」

 紙袋に入れられていた本を取り出して見せた。

「値段が安いだろ?」

「ま、まぁ、想像よりはね」

 最初に見せた本の値段より格段に安い値札の本を見せた。

「やましい覚えがある人間なら後ろめたい考えもあって高い物を選ぶもの、だから安い値段の本を見て察したんだよ」

「それだけで分かるものなの?」

「確かにそれだけじゃ憶測の範囲内だろうね。

だけど、顔を真っ赤にしてあの店員さんからの視線を逸らすようにしていた君の反応を見たら、憶測が確信に変わったんだろうよ」

 説明を終えて一息つけてから「つまり」と続けた。

「君は私とあの姉ちゃんにからかわれてたって事だ」

「うわぁ……」

 自分がとんだ醜態を晒してしまっていた事にしゃがみこんで頭を抱えた。

「あの店員さんもとんだ道楽だな。趣味が悪すぎるぜ」

「あんたもでしょうが!」

 殴りかねない勢いで、立ち上がって顔を近付け迫る凪に苦笑を漏らした。

「そうカリカリしなさんな。今度なんか奢ってやるからよ」

「本当?」

 ―こいつは扱うには食べ物だな

 コロリと態度が変わった凪に浩明はそう確信したが、後日、

「超一流パティシエが作ると評判の最高級ベルギー産チョコレートと果物をふんだんに盛り付けられた最高級チョコレートパフェ(税込み10000円)」という雑誌の切り抜きを片手に「コレが食べたいなぁ……」と凪に迫られる事になるのは別の話である。

 

主人公……これセクハラかしら?

感想、お待ちしております

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