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オリオンと金平糖

掲載日:2026/01/18

あるところにルルとララいう双子のお姫様がいました。

ルルとララは明日、国王である祖父と共にお忍びでA国へ行くことになっているのです。

あまり城から出ることのないルルとララはそれをとても楽しみにしていました。

「明日行くA国はどのようなところなのかしら?おじいさまはよくそこに出掛けてらっしゃるけれど」とルルがいいました、するとララも

「きっと美しい建物や珍しいものが売っているお店があるんじゃないかしら」

とわくわくしました。


そして翌日の早朝、ルルとララはおじいさまと平民の服装をして馬車に乗り込みました。


馬車からみえる、普段はみることのない景色にルルもララも興味津々で、楽しくおしゃべりをしながら道中を過ごしました。


「ルル、ララそろそろ街に着くぞ」


おじいさまの言葉に、馬車に揺られすっかり眠りに落ちていたルルとララが目を覚まして外を見ると


「…ここがA国なの」


壊れた建物ばかりで汚れた服を着て道端に座り込んでいる人もチラホラ見えます。


馬車からおりて、おじいさまと護衛と街中を歩いていくと、突然角からパンを抱えた子供が飛び出して来ました。


「どろぼうだ!パンを盗んでいった!誰かそいつを捕まえてくれ!」


そして男が叫びながらその子供を追いかけていきました。


ルルとララはビックリしてただ呆然とその様子をみることしかできませんでした。


「今の子、私達と同い年くらいだったわね」

とルルが言いました。


「捕まったらひどい目に合わされないかしら。そんな恐ろしい思いをしてもパンを盗っていってしまうくらいお腹が空いていたのかしら」

とララも心配そうに言いました。


「ルル、ララ。この国は少し前まで戦争をしていたんだよ。そして、今この国はそれから立ち直る為に復興中なんだよ」

とおじいさまが言いました。


帰り道、馬車の中でルルもララもショックを受けて黙り込んでいました。住む家もなく食べるに困るような暮らしをしている同じ年頃の子供がいるなんてお城の中で大切に育てられているルルとララには思いもよらない出来事でした。


「…まだおまえ達のひいお爺様が国王だった頃、我が国でも戦争があった。そして国境の間際の戦いにわしも参加したのだ。そして敵地に迷い込み、敵の攻撃を受けて、部隊が散り散りになりわしも仲間とはぐれた。」


おじいさまはゆっくりと話しはじめました。


「敵に見つからないように森の中を一人きりで逃げ惑ったよ。ひどく恐ろしくて絶望的な状況だった。しかしついに歩けなくなり物陰に身を潜め座り込んだ。そしてふと空を見上げると、無数の星がきらきらと輝いていた。こんな状況なのにそれをとても美しいと思ったんだ。

空腹でもう立つ気力も起こらない。しかし、いつまでもここにいたら敵に見つかってしまうかもしれない。そんなことを考えながら目に入った星があった。三つ並んだ星を真ん中にりぼんのようにかたどられている星座であるオリオン座だった」


それは母であるお妃様に教わったオリオン座の見つけ方。


「はぐれてしまった仲間たちは無事に逃げられただろうか。

もう二度と会うことはないのだろうか。

色んな思いを胸に目を閉じたとき、

お妃様から聞いた物語を思い出した」


魔女が長い柄の網を持ってほうきに乗り、流れ星の金平糖を捕まえる話。


「それを思い出して、あの星達が金平糖になって落ちてこないかと思ったよ」


おじいさまは馬車の窓から空を見つめながら言いました。


「そのまま少し眠ってしまったようだったが、不思議な夢を見た。目の前に、長い柄の網を持ってほうきにまたがった魔女がいた。その魔女にが自分にこんなことを言った。」

『××に頼まれたから金平糖とってきてあげる』

そういうと魔女が流れ星の金平糖を集めてくれた。

そして、

『はい。あげるわ』

両手一杯のきらきら光る金平糖を差し出しにっこり魔女が微笑んだ。

「何か顔に当たった気がして目を開けると信じられないことが起こった。なんと自分の周りに星のようにきらきらと光る金平糖がたくさん落ちていたのだ。

恐る恐る、きらきら光る金平糖に手を伸ばし、金平糖に触れてみた。夢なら覚めないで欲しいと思いながら。そしてそれを無我夢中で拾って食べた。優しい甘さで食べていると涙が出てきた。と同時に元気も出てきた。そして何としてでも生きて帰ろうという力が湧いてきて、またオリオン座を探した。それを目印にして国境を目指してひたすら歩き、国に帰ることができた」


ルルとララはじっと話を聞いていました。


「あの時の金平糖が夢だったのか現実だったのかはわからない。けれど、あの時の夢の中で魔女は『誰かに頼まれた』と言った。

お妃様や城に残っていた人々は毎晩空に向かって戦いに行ったみんなの無事を祈っていたそうだ。だからそれは皆の願いがおこしてくれた奇跡なんだと思った」


「きっとそうだわ、おじいさま。」

ルルとララも頷きました。


「我が国と戦っていた国の人達も大切な人がいたはずだ。この戦争を経験してわしは誰かの大切な人を傷つけたくないと強く思った。

おまえたちを今回連れてきたのは、今日みたことによって何を思ったのか。考えてみてほしいと思ったからだよ。

もしも、家がないのが自分だったら。飢えているが愛する人だったら…。

考えることを止めずにいればこの世の中は少しは変わるはずなんだよ」


その夜、ルルとララはたくさん考えました。


この世界にはまだ戦争があります。それだけでなく差別、貧困、犯罪。


ルルとララは星空に祈りました。

今日見た子のように飢えている人にたくさん金平糖が降りますように。

道に迷った人に道しるべがありますように。


それから20年経ちルルとララは国王になりました。そして、自分達の子供達に引き継いでいくのです。おじいさまから聞いた、オリオン座と金平糖の話を。








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