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どん底大穴放浪記  作者: 牧亜弓
さよなら!鉄機(魔法装甲兵)!!
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復活のトボルク

三日後。

レミィ、ミナ、グリマルドの三人は、《くたばる狐亭》を後にし、ふたたび大穴の町へ向かっていた。


「静かすぎる……」

先頭を行くレミィがぼそりと呟いた。


道中にいたはずの野盗も、行商人も姿を見せない。

大穴を取り巻く風景は、ひどく「抑圧された」ように沈黙していた。


「前は魔獣が跳梁していたのに、今は――何もいない。妙に整然としてる」

グリマルドの言葉は、かすかに震えていた。


そして、大穴の外縁に辿り着いた瞬間。


「レミィ!? 来るぞッ!」


ミナの声と同時に、崖の上から飛び降りる黒い巨影――!


「フゥゥ……バットで、私に勝ったつもりか?」


その声音、忘れるはずもない。


「トボルクッ!!」


オウガメイジ・トボルクは、再び姿を現した。

だが、その姿は以前とは違っていた。


全身を覆う重装の魔鎧。肩からは煙のように紫電を吐き出し、眼窩には魔石がはめ込まれていた。


「貴様らの叛意は見逃した。だが、甘かったな」

「なぜ……なぜ、今ここに!?」

ミナの問いに、トボルクは冷笑した。


「愚か者め。補給路を狙う動き、見えておるわ。私の“目”は、すでに大穴を覆っているのだ」


バリィッ!


空気が裂け、トボルクの周囲に〈重力結界〉が生まれる。

膝が沈み、三人はその場に踏みとどまるだけで精一杯だった。


「くっ……こいつ、前より遥かに強くなってる」

レミィが歯を食いしばった。


「魔力の質が違う。あれは……補給された“外部魔力”だ」

グリマルドの顔が青ざめる。


「もう始まってるんだ……あいつの“補給戦術”が!」


**


トボルクの掌が開かれ、巨大な魔術陣が空中に展開される。

その紋章は、禁呪級――。


「では、まず貴様らを完全に消し飛ばし、再び“鉄の民”を燃やしてくれよう!」


「こっちも――準備できてる!」

レミィが叫ぶと同時に、背負っていた鞘を外し、あのバットを振りかざす。


「木製バット奥義……釘打ち・三連突き!!」


空気を裂いて、鉄のような音が響く。


そして、ミナも構える。


「スパナ投げの、精度、見せてやるッ!!」


風を切るスパナが、魔術陣の中枢へ一直線に飛んでいく――!


**


大穴の戦火は、再び灯された。

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