表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どん底大穴放浪記  作者: 牧亜弓
さよなら!鉄機(魔法装甲兵)!!
14/180

トボルク、殴打モード

「――バカな……なぜ鉄なしで生き延びた……?」


大穴の上空、濁った霧の裂け目に浮かぶ漆黒の浮遊台座。その上に立つのは、禍々しき魔力をまとった巨躯の男、オウガメイジ・トボルクである。


彼は密かに一部始終を見ていた。

レミィの世界樹バットによる三首魔獣の討伐を。

鉄機という文明の象徴を失いながら、それでもなお戦う意志を燃やす者たちの姿を――。


「……面白い。ならばその希望、ここで打ち砕いてやろう」


**


一方、地上。戦いを終えたレミィとグリマルドは、小川のほとりでミナの容態を確認していた。


「目を覚ましそうだ……!」


グリマルドが癒しの符を額にかざすと、ミナの睫毛が震えた。


「ん……なに、この……匂い……油臭くない……?」


「そりゃ鉄機が壊れたからな。いまはバットで殴って生きてる」


「……へっ?」


レミィが苦笑する。

「説明は後回しだ。今はとにかく生きてる、それが大事だろ?」


「……うん」


そのとき、空が呻いた。


ズオオォォォ……ン


まるで天地を引き裂くかのような轟音とともに、浮遊台座が空から落ちてきた。否――それはゆっくりと地上に向かって降下してくる、“敵の玉座”だった。


「出たな……!」


「こっちも準備はできてる。バットな!」

レミィが笑い、バットを構える。


しかし、その瞬間――空気が震えた。


トボルクが魔力を凝縮し、一条の“紅蓮”を撃ち込んできたのだ!


「ミナ、伏せろッ!」


グリマルドの魔法防御が間に合う。だが衝撃波で吹き飛ばされ、レミィは地面に転がった。


立ち上がったトボルクは、不敵に笑っていた。

「鉄を捨て、木で抗うか……ならば私も応じよう。“魔法を捨て、拳で殴ってやろう”」


「な……!?」


巨大な魔力をまとうはずのトボルクが、己の体から呪力を解き、両腕をぶんぶん回し始めた。

オーガメイジ、武闘モード。


「来い、小僧ども。殴り合おうじゃないか」


いま、真の“殴打の章”が幕を開けた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ