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2_思い出した前世と魔法?









目覚めると暖かい布団に包まれていた。



 (――柔らかい・・また眠れそう。。)


 チェリーナはまた意識を手放そうとした寸前ではっとする。



 (あれ??・・・・生きてる?)


 ガバっと身を起こし辺りを見渡すと、美しく調度品が飾られシンプルではあるが高価な家具が目に入る。


 「―――すごい!!天国のように素晴らしい場所だわ!!」


 チェリーナは天を仰ぎ喜んだ。


 そして胸に宿る炎を自身はすでに感じ取っていた。


 「私・・・私なのよね・・」


 自問してゆっくりと鏡の前まで歩みを進め、自身を見つめた。



 「私・・・か。・・・これが私なんだわっ!!公爵令嬢??!私が?一回も金持ちになんかなれたこともなかったし、そんな友人だっていなかったわよ!そんな私が公爵の娘って!!しかも大勢いるうちの子供の一人なんて・・最高すぎるじゃないっ!!」


 チェリーナは歓喜した。


 頭がおかしくなったように振舞うチェリーナは決して頭がおかしくなったわけではない。


 ただ思い出しただけなのだ。




 【前世の自分】を。




 「それにしても・・自分の記憶を思い出したら炎が収まるなんて・・・どうゆうこと?」


 チェリーナは、腕を組んで部屋の中をうろうろと歩き回りながらソファに腰掛け、熱にうなされていた時のことを思い出していた。


 


 もう死ぬんだろうなってあの時は覚悟してた。


 でも・・そう。タンポポを思い出したのよ!


 黄色い花。この世界には咲かない前世日本に住んでいた自分の家の庭に嫌という程生えた雑草である。


 何度も草むしりの度に困らされたものだが、それでもチェリーナは好きだった。


 懸命に根を張り堂々と空に向かってぐんと伸びて咲く花が格好良く思えた。


 前世の自分は貧しいわけではなかったが、一般家庭で育った私はごく普通に育ち、ごく普通に学校に通い、普通の中小企業に就職し、そこそこ普通に紹介された気の合う男性と結婚し、子供も1男1女授かって、パートしながら家を守って、そこそこ不自由なく人生を終えた。


 それでも苦労は沢山した。学生の時はいじめにもあった。仕事では理不尽なパワハラを何度となく受けて2回転職だってした。恋人は結婚相手が見つかるまでお金をかってに持っていくクズ男、浮気を繰り返すクズ男・・恋人をシェアしようとするクズ男・・等々。良い人にめぐりあうまで散々な思いもしたことがあった。結婚した後だって、色々あった。詐欺にあって借金をした時もあったし、夫が病気になって路頭に迷うかと思う事さえあった。子どもの熱が下らないことも毎日医者に通ったことだってあったし、子供たちが学校でトラブルに巻き込まれ呼び出されたことも一度や二度じゃなかった。


 それでもチェリーナは自分が【ごく普通】だと信じていた。


 しかし、周りはそうは思っていなかった。周揶揄されても心が折れない強い意思があった。そしてできない事をできるように考え行動し、実現する行動力があった。人を憎めず自分の周りの人間を大切にしたいと願う優しい心を持っていた。


 彼女の身近な人々は彼女が大好きだった。――その事を本人は気づいてはいなかったのだが、自分の強い意思と想像力、行動力が前世の自分にはあったことを懐かしく思い出した。



 (・・私が自分を思い出したことは何か意味があるのかしら・・こんな中世のような世界に生まれた私に、前世の私の記憶が必要・・・あるわけないよね・・)



 もしかして何かゲームとか本とかで異世界転生した!とかってやつ?


 それともこれ自体が実は夢とか?


 それとも誰かに催眠術でもかけられた??


 それとも・・・



 逡巡しても答えは出ない。


 ――ただ一つ気になることはあった。




 胸に灯る【暖かい炎のような温もり】だ。



 わからないが、何となく思うのだ。今までと違うと。


 これまでは体中を暴れるような爆弾のような熱がいつ発熱してもおかしくないような日々を過ごしていたはずだ。


 それなのに、今はむしろ守られているようにすら思う。


 チェリーナは抗えない好奇心と確かめたい心の強さで、右手の掌を上に向け【炎を見てみたい】と思った。





 すると本当に揺らめくオレンジ色の炎が右手の掌の上に現れた。






 「―――ぇええ?!!」






 驚きすぎて思わずひっくり返りそうになるが、確かに炎は揺れている。








 (え?どうなってるの?これなに?ま・・・・ままままままさか・・・魔法???あの・・ふぁ・・ファンタジーの世界でしか見られないような魔法なの?!!)











 流石に声に出すわけにはいかないと、チェリーナは無意識に心の中で叫んでいた。




挿絵(By みてみん)

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