別に好き好んで生まれてきたわけじゃない。ただここにいるだけの話。
壁にぶつかった。もう一歩も進めないという絶望感に打ちひしがれている。
このままここで項垂れてだけいたい。動きたくない。立ち上がっても自分の限界を思い知らされるだけだ。
こんな思いをするくらいならなぜ生まれてきた?他の人間ならもっとうまくやれたはずだと何度も後悔するだけの日々。
昔は良かった。
突っ走ってだけいればいずれ自分が何者かになれたと夢想していた。
ハングリー精神を持って臨めばどんなハードルだって超えられると思い上がっていた。
訓練に訓練を重ねればいつか理想の自分に慣れると信じていた。
だから肉を削り、骨を削り、最後には魂さえも削って生きてきた。
だが残ったものは何だ?憐れな遺骸だけじゃないか。誰も見向きもしない愚者の成れの果て。
バカが馬鹿をやって死体以下の生ごみが出来上がっただけだ。
受難と努力の先に何かがあると信じていたのに結局裏切られてしまった。嘆く他ない。
俺は惨めだ。惨めな敗北者だ。費やした時間の全てが徒労でしかない。
心は跡形もなく朽ち果てようとしているのに終わりの見えない仕事だけが残っている。
こんなはずじゃなかった。もっとうまくやれていた。
叫びたい。
声を大にして喉が避けるまでこの世に対する恨みつらみを訴えたい。
神聖不可侵唯一無二の俺をこのくだらない出来レースに参加させたクソ野郎に唾を吐きかけたい。
ああ、わかっている。こんのは何の解決にもならない。
さあ。立ち上がれ。旅立ちの時だ。
涙を拭いて、立ち上がって顔でも洗えばすぐに忘れてしまうだろう。
この程度の傷は怪我のうちに入らない。
俺を誰だと思っている?
そう言って虚勢を張りながら俺は今日も生きる。こ
の荒野の果てに幸ある台地が広がっている事を信じて。
…桃太郎電鉄を一人で22時間プレイした男の末路。