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ある日突然 ある親子の1週間  作者: 春原 恵志
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四日目 祖母 みゆき

四日目

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民宿で目覚めたみゆきは思ったより、身体が楽になったと思った。洗面所まで歩いて行っても筋肉痛も少しだけどなくなってきたがした。やはり点滴の効果と布団でぐっすり寝たのが良かったのかもしれない。これなら、自転車にも乗れそうだった。

「淵さん。貧血も治ったし、身体が楽になった。筋肉痛も少しだけど、なくなってきた」

民宿の食堂で朝ごはんの卵かけご飯を食べながら、みゆきが嬉しそうに話す。

「そうかい。やっぱり若さだね。だんだん、身体も慣れてくるからね。いまから頑張れば、自転車レースにも出られるよ」

「えー、それは無理」

「無理なことなんかないよ。本当にみゆきが望めば何でもできるようになる。14歳なんてそんなもんだよ。未来は360度広がってるんだ」

「なんなの、その360度って」

「未来の広がり方だよ。360度どの方向にも行けるし、何にでもなれるのが14歳さ。私で120度ぐらいの未来かな」

「へー、そんなものかな。淵さんもお嫁さんになれるかな」

「それは、無理!」

ハハハ、二人の笑い声が食堂に広がる。この非常時に能天気な二人かもしれない。

でも、ベアさんが言うと、ほんとに何でもできそうな気がしてくる。

「淵さん、今日はどこまで走るの?」

「あんまり無理しないほうがいいけど、行けるとこまでかな。方向としては名古屋を走って、琵琶湖から京都を抜けていく感じだな」

「名古屋かあ、私、行ったことないな」

「いいところだぞ。名古屋は食べ物もうまいし。ところで、今日は無理って言わないの?」

「何キロあるの?」

「100kmぐらいかな」

「うん、無理」その答えでベアさんはにっこり笑う。

「そうそう、それでこそ、みゆきだ。名古屋でひつまぶし、手羽先、味噌煮込みうどんを食べるのが目標かな」

この人はやっぱり食い意地がはっている。地球最後の日でも食事をしていそうだ。

出掛ける前に民宿の電話を借りて、静岡のおばあちゃんに電話した。久々だから、なんだかどきどきする。

「あっ、おばあちゃん。みゆき」

『みゆき・・・』

「おばあちゃん、大丈夫だった」

『ああ、大丈夫だよ。ここはそんなに被害はなかったから、そんなことよりみゆきは大丈夫なのかい?』

「うん、大丈夫だよ。今ね、大阪のお父さんのところに行こうとしている」

『ああ、そうなのか、気を付けるんだよ。』

「うん、あの、おばあちゃん、色々、心配かけてごめんなさい」

『・・・』

「みゆきはがんばるよ。おばあちゃんの自慢の孫になれるようにする」

電話の向こうのおばあちゃんは言葉がない。少したって、

『うんうん、そうだね。みゆき、がんばるんだよ。おばあちゃんはみゆきを応援するよ。』

「うん、じゃあね」

『ああ、みゆき、また静岡にも遊びに来なさいね。』

「わかった。じゃあね。バイバイ」

電話を切る。ベアさんが見守っている。

「気持ちが伝わったかな」

ベアさんはグーマークをしてくれた。やっぱり、気持ちって言葉にしないとだめなんだな。電話してよかった、ベアさんの言う通りだった。

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