岐阜多治見 みゆき
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みゆきとベアさんは岐阜県多治見のコンビニにいた。そこで公衆電話を見つけて、みゆきはようやく父親に電話したところだった。
離れて見ていたベアさんがみゆきの近くに寄って話す。
「ちゃんと連絡できたのかい」
「多分、大丈夫だよ。こっちの話は伝えたから」
「とーちゃん、心配してただろう。これからも頻繁に連絡しないとだめだな」
「うん、なるべくそうする」
「みゆき、今日はこの辺で宿にするか?」
「え、いいの?」
「自転車旅行二日目だし、あんまり、一気に体に負荷をかけるのも問題だからな。民宿でも泊るか」
「わあ、今日は布団で寝れる」
「まあ、そんなところだな。じゃあ観光案内へ行って宿を探そう」
「はーーい」
コンビニの店員に駅までの道を聞いて観光案内所に行く。ちょうど駅の2階にあった。こじんまりとした案内所でした。
自転車を駅前に置いてから案内所までの階段を上っていく。ところがみゆきはなんか変な感じだった。妙に目の前がチラチラする。なんだろう、ちょっとふわふわ、クラクラする感じだ。
よくわからないまま案内所に着いて、ベアさんは係の人と話をしながら宿の物色をしていた。みゆきは後ろでボーっとみていた。また、ベアさんは安いところを探してるんだな。あれ?なんかまただ、なんか変だ。みゆきは周りの焦点があわなくなって、目の前がチラチラし出した。そしてついに真っ白になった。あれ、どうしたのかな・・・意識がなくなった。
ああ、おかあさんの背中だ。おんぶされている。いつ以来だろう、お母さんの背中は、確か遊園地に家族で行った時に疲れておぶってもらった。あれ以来か・・・あの時は楽しかったな。家族3人でおとうさんが久々に休みが取れて、遊園地に行ったんだ。おかあさんも元気で、みゆきは小学校3年生だったかな。一日、遊園地で遊んで走り回って、みゆきが駄々をこねておかあさんにおぶってもらったんだ。ほんとに楽しかったな。
お母さんの匂い。あれ?お母さんって、そこでようやく目が覚めてきた。
みゆきはベアさんに背負われていた。
「ああ、私、どうしたの?」
「みゆき、目が覚めたか、案内所で倒れたんだよ。近くに病院があるみたいだから、そこに行こう」
「ああ、そうなんだ。私、大丈夫だよ。歩くよ」
「いいよ。無理すんな」
「うん、ごめん」
病院はそれから5分ぐらいで着いた。ベアさんの背中はあったかかった。みゆきは子供に戻った。子供はいいな。
内科と小児科が一緒になった病院で、外観は白い木で出来た年季の入った平屋の建物でした。夕方のせいか、やぶ医者のせいかはわからないけど、待合所はけっこう空いていました。受付で症状を言ってから、保険証を求められたけど。当然、みゆきの保険証はない。、とりあえず、現金で払って後から請求してくれとのことでした。
待ち時間もなく、すぐ呼ばれて、ベアさんとみゆきで診察室に入る。先生はじいちゃん先生で、白髪頭で髭もはやしていました。
「どうしました?」
ベアさんが代わりに話す。
「この娘なんですけど、さっき、急に倒れてしまってちょっと熱もあるみたいです」
どれどれとじいちゃんは聴診器を使ったり、体温計や血圧計を使って診察していました。
「貧血だな。なんか疲れることしましたか?」
「ああ、自転車に乗りすぎたかな」
「急に運動でもしたのかな。まあ、休めば大丈夫でしょう。一応、点滴を打っときましょう」
じいちゃん先生に言われて、病室の脇のベッドに横になって点滴を打ってもらった。みゆきは初めて点滴なんか打つ。薬液の入ったビニール袋が金具に吊るされていて、プラスチックの弁みたいなものからポタポタと液が垂れている。これが体に入るのか。
ベアさんは隣に座っている。
「みゆき、大丈夫かい?」
「うん、ずいぶんよくなった。情けないな」
「まあ、色々あったからな。急に負荷をかけすぎたかな。ごめんな」
「淵さんのせいじゃないよ。みゆきが運動不足過ぎたんだよ」
点滴をしたのは初めてだったけど、ちょっとずつ液体が体に入っていくんだ。面白いな。
これで身体が浄化されるような気がした。疲れもあったのか、みゆきはそのまま寝入ってしまった。




