自転車 みゆき
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みゆきはマウンテンバイクを必死でこぎながら、不満を垂れる。なんで、日本の道は坂ばっかりなんだ、トンネルも多いし、暗いし、バイクは自転車を邪険にするし、もうやだ。
まだ、1時間も走ってないけど、みゆきとしては一日中走った気がする。ベアさんは筋肉バカそのもので、相変わらずどんどん走っていく。気が付くと峠の上の方で待っている。
そして叫ぶ。
「みゆきー、がんばれ!」
ベアさんは汗もかいてないのに、みゆきは汗だくだ。まったく一人で走ってるみたいだ。
「淵さん、ちょっと休憩・・・」話をするのも疲れる。
「いいよ。でも、この調子だと今日の当初の予定は無理っぽいな」
「今日の予定って?」
「ちょうど、この先に温泉付きのキャンプ場があるんだ」
「ええ、温泉入りたいよ。あと、どのくらい?」
「うーーん、ざっと、20㎞ぐらい」
「むりーーーー、何で20㎞なの、もっと近場に温泉ないの?」
「温泉はないけど、シャワー付きのキャンプ場があったかも」
「そこでいいです」
「よーし、あと、10kmぐらいだぞ」
「えーーー、何で、そんなに遠いの、もう、やだ」
「あっ、そうだ。みゆきは下着の替えは持ってないだろう?」
「うん、持ってない、どうしよう?」
「コンビニで買うしかないな。今度、コンビニがあったらそこで買おう」
「わかった」
次のコンビニで休憩しながら、飲み物、今晩のおかずとみゆきの下着を買った。荷物は少なくしたいので、下着は毎回洗っておいて交換しながら使うそうだ。ベア理論だとたった2枚で済むらしい。早く大阪につかないと本当に大変なことになりそうだ。無理だけど・・・
実際、どこに行っても道路はひどい渋滞で、車はほとんど動いていなかった。それに比べると自転車はみゆきの運転でもまだ早い。これで渋滞の度合いがわかるだろう。
東京の被害は甚大で、噂では東京に地震が再度来るといったデマがでているらしい。そのため車で避難する人が多く、渋滞に輪がかかっていた。
みゆきは思う。本当にもう地震はこないのかな。みんなが心配になるのも分かる気がする。あそこまでの地震や暴風は初めてだし、東京が全滅するなんてこと、考えたこともなかった。そんなことがあっさり起きるんだから、さらに大きな地震が来るって思うのは当たり前の気がする。みゆきも東京から離れているっていう安心感を感じる。
それにしても、おとうさんが言ってたお母さんの話ってなんなんだろう。お母さんは元々、元気がなかったけど、みゆきのいじめが始まって余計に元気がなくなってきた。最初はみゆきの悩みを聞いてくれてたけど、そのうちにみゆきを見るのも辛そうになって、何か呆然自失といった状態で、話も聞いてるのかどうかもわからなくなってきていた。
それでも母さんは学校にも行ってくれて、先生とも相談していた。ただ学校側はあんまり動いてくれなかった。いじめの事実がないとか言っていたし、逆にみゆきがお荷物みたいに思ってたみたいだ。
段々、お母さんに相談するのも辛くなって、おとうさんは残業ばっかりでどうしようもなかったな。やっぱりみゆきのせいでお母さんが死んだのかもしれない。でもお母さんの話は気になる。どうして死んだのか、みゆきのせいなのか、何が原因だったんだのか知りたい。




