『青い月の光で動く二体の自動人形』
空に存在する青い月。現れる場所は限定されていない。
ただ、その時の世界で、ある感情が果物の様に熟し、収穫、もしくは破裂、最悪は腐敗となる地点に現れる。
『世界の狭間』には二体の自動人形が存在している。
自動人形は武器として作られた。時を一時的に止め、尚且つその世界で一番熟した感情を吸い上げ、青い月の光が落ちる場所で、自分と瓜二つの自動人形と戦う。
その戦いは決して武器を使って戦うことではない。
お互いがどれだけ感情を含む雪を降らせるかで勝敗が決まる。
白い雪と黒い雪。
美しい金髪の少女は純白の甲冑を着てゆっくりと歩いている。時折、身体の一部が分解し、余剰分の魔力が蒸気の様に噴き上がる。外気と触れることで更に青さを増し、そのまま拡散されていく。
視線の先には同じ顔をした少女が歩いて来る。
美しい金髪の少女は漆黒の甲冑を着てゆっくりと歩いている。時折、身体の一部が分解し、余剰分の魔力が蒸気の様に噴き上がる。外気と触れることで更に青さを増し、そのまま拡散されていく。
今回は大都市。多くの人が行き交う交差点の真ん中だった。
時間停止の世界で、二体の自動人形が語るのは、人間が到底理解出来ない内容だった。
それはリカイが必要ではなかった。人間が知ることが出来ないのだから。
そして、二つの感情が熟していた。
白と黒の雪の積雪量は同じ。
『破壊』と『愛』
正反対の感情が熟し、互いの雪が夜空に舞い上がり、一点に集まっていく。それは次第に歪んだ果物の形を取り、時が動き出すと同時にそれは破裂した。
数分後、暴動が起きた。その中で助け合いながら逃げる人達。全ての数が同じになる結末。
『青い月の光で動く二体の自動人形』は、上空からその光景を見ていた。
勝敗が決まらなかったことを喜ぶ様に互いの顔を見て、一瞬微笑むと、二体は消えた。




