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『ざくろ』

 どうしても――


 それが欲しい。どんな手段を使っても――

 ワタシの願いが歪んでいるのは分かっている。でも―― 目、皮膚、髪、外界と接する部分から浸食される。


 不可視の果実。

 受け入れれば可視化する甘く、血の香りを放つ実。


 木を持たず、思いが重なり合うことで生まれる実。

 口にすれば、胃液と心が美しい変化を生み出し、食道を斬り裂きながら吐き出される美麗な刃。

 血に濡れたナイフ。

 愛を語らう少年と少女の柄を持つ、虹色の刃を持つ刃物。


 衆人環視の中、私から離れようとする彼を見つめながら吐き出した。


 叶う―――

 この凍えた愛が再び熱を帯びる。

 乖離。乖離、乖離。

 意識が斬れ、私は美しくなる。

 頬を伝う一筋の涙が冷え、驚きの表情を浮かべる彼の背に突き刺さるナイフ。

 噴き上がる血が暖かい。

 意識を失う瞬間に見えたのは、私の様に苦しむ少女。

 視界がズームされ、手首の傷が見える。

 不可視の果実を受け入れたのだろう――

 傷に飲み込まれる彼氏の姿。

 苦しむ彼の顔を慈しむ様に見る少女の顔は可愛かった。


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