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『真実ノ鎚』

 女騎士、偽りと矛盾の出来事を魔力で物質化し、『漆黒の鎧の魔女』と呼ばれていた。過去、魔法使いであった事からの異名。



 どの様な世界でも偽りと矛盾が存在する。その世界で少しだけの真実を与える存在でありたかったが、不思議なことに女の周囲には、その行為すら疑問に感じない存在が多く訪れた。住処にしていた森に結界を張っても、難無く私の元へやってくる。少年、青年、中年、老人と様々だった。

 会話した。長寿の私にとってそれは本当に暇潰し程度の行為。しかし、次第に私の周囲に黒い感情が残る様になる。魔法使いの私にしか見えない存在の様で、来る相手に聞いてもみても何も無いと答える。

 これは一体――? 観察する日々から月、そして年となった。


 私の元に誰も来なくなり、数年経ったある日。黒い塊が鎧となっていた。その状況を見て 私は何が起きたのかとしばらく思案した。結論は魔法で吹き飛ばそうになった。

 こんな物が庭に在ると不愉快でしかない。簡単な爆裂魔法で消し去ろうとした時、私の手は青く輝く大きな鎚を握っていた。豪華絢爛な城を鎚に変化させた様な煌びやかな装飾。しかし、一つの光しか放たない武器は、魔法使いの私にも不気味に感じる物だった。そして、武器からの意思は『真実ノ鎚』だった。そこからは簡単だった。私は世界になった――と。

 あの日からどれだけ時が経ったのかは分からないが、私は成りたい存在になれた。


 数百年後、世界には必ず伝わる話が一つあった。

『漆黒騎士様物語』

 どんな戦でも騎士様がいれば勝てる。でも、矛盾と偽りが無い戦には絶対に現れない。戦が終わる時、青い光が戦場を照らし、大きな地震が起きる。

 御伽噺ではなく実際にあった話であり、今では戦は起きていない。嘘と偽りなく話し合いをし、平和的に物事を解決する世界になった。

 青い光はこの世界で不吉な光となった。


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