第9話「それは、違和感」
ネオンとフラジャイルは、シリアルと呼んでいた鳥の獣人の元を後にし、ある程度離れた場所で口を開いた。
「……ねぇネオン、シリアルの事どう思う?あの様子さ…ちょっと変じゃない?」
先程の会話で出た罪剣アロンダイトではなく、シリアルという者について話を切り出すフラジャイル。
「ああ、アレは…明らかに不自然だ。あの者は本来、私達の事を呼び捨てにはしない。……普通であれば。彼は誰が相手であろうと常に穏和で礼儀正しく、それは先程も変わりはないのだが…」
「でも、ボクらの名前を呼び捨てにする事は無いよね。あの鳥スタン…じゃなくて、トリスタンが呼び捨てにするのはさ、大体いつも腹黒モードの時な筈ぢゃん?アレってもしかして混ざってる?」
「いや、それはどうだろうな…あの者の二面性は性格もそうだが、別の要因も関わってくる。混ざるという事は無いとは思うが…」
少し何かを考えるネオン。そしてすぐに口を開く。
「いや、シリアルの事は一旦置いておこう。あの様子では今はまだ特に問題は出てはいないようではあるからな。それよりも、フラジャイル…別の世界線における、お前の罪剣アロンダイトが今見据えるべき課題だろう。」
「そうなんだよねぇ〜…でもさ、何をどうするの?ifの粛正をするって言っても、ボクらまだ魔力に目覚めたばかりだし、流石に2人だけで転移するとか流石に危なくない?それにマーリンにも手伝って貰わないと転移って出来ないし…」
「そうだな…十中八九、戦闘は避けられんだろう。ただ、課題とは言ったが大元がフラジャイルであれば、急を要するという事にはならぬと思うが、フラジャイル自身はどう思っている?」
「う〜ん、そうだなぁ…多分アロンダイト持ってる方のボクだったら、色々と喰らおうとするとは思うけど…時と場合によるかも?あっでもでも!確かに戦闘にはなるかもだけど、準備っていうか特訓?そういうのでパワーアップしてから行くのは全然アリだと思うよ〜?それでも間に合うと思うし。」
フラジャイルは、自身を含む戦力の底上げを提案する。そしてそれはネオンも同意見であった。
「ならば、まずは朽ちた円卓の騎士を集める事を優先すべきか。現在、皆それぞれ単独行動をしている。私とフラジャイルとシリアル、この3名のみでは流石に手駒が少ない上に、いざ戦闘が発生した場合に戦闘面でのバランスが悪い。というよりかは、もう少し前衛や火力枠が欲しくなるだろうな。」
「そうだね〜…ボクは搦手が得意だし、シリアルは確か支援向きだし、ネオンはバランスに寄せたがるタイプだしさ。あっでも、前衛火力枠ってなるとガウェイン…ロアー誘いたくなるけど、ちょっとアレな人なんだよなぁ…ぶっちゃけロアー居たら大体解決しちゃうレベルでさいつよなんだけど…」
「いや、火力に関しては前衛タンク枠が居れば必ずしも前衛が火力を出す必要は無いのだが。」
ネオンとフラジャイルは、優先順位を考えてゆく。
最低限見据えたものは、罪剣アロンダイトに関する調査、及び戦闘が発生した際を考慮した陣形と、それに必要な戦力であった。
お世辞にも万全とは言い難い現状。ネオンもフラジャイルも魔力に目覚めたばかりであり、主戦力と言えるかどうかは怪しいものだ。訓練するにせよ戦力を整えるにせよ、人手が足りない。
「……シリアルは、まだ少し不確定要素がある。ここは、そうだな…エアリスを探すか…」
その名がネオンの口から出ると、フラジャイルはとても嫌そうに顔をしかめる。
「うげぇ!?エアリス探すの!?あいつ今ドコに居るのかいっちゃん分からないよ!?難易度SSSだよ!?捜索難易度レベルがダンチだよ!?」
「そうは言ってもだな、結局は集めなければならぬ仲間だ。それにな、彼奴を探しつつ、他の者に出会える可能性もある。どうせ探すなら早い方が良いだろう。ここで戦力だのバランスだの机上の卓論をしていようと、誰も見つけられぬままでは取り越し苦労であるからな。」
「んまぁ〜そりゃとっとと誰か捕まえてった方が話し合いの相手も増えるし良いとは思うけど、でもエアリスかぁ〜〜〜…はぁぁぁぁぁ…」
最後にどデカいため息をついて、フラジャイルは渋々OKした。まあ、どちらにせよネオンが決めた事にはついていくのだが。
「では、当面の目的は罪剣アロンダイトの確保のための人員確保、特にエアリスを優先して探す方面で行くとしよう。良いな?フラジャイル。」
「はいは〜い、それでOKで〜す。でもエアリスって魔力はもう目覚めてたっけ…?」
何かしらの不安が襲うフラジャイル。そんな心配事をヨソに、ネオンはエアリス探しの旅のルートを考えるのだった…




