14 優勝
『第一回ハグ名人決定戦』は、審判の都合により中止となりました。
要するに、私が途中で昇天しちゃったのですよ。
あんなの最後まで耐えられる人はいないっての。
「大丈夫? モノカ」
ありがとう、カミス。
こっちの世界ってやっぱり西洋風なんで、ハグ文化が無い私たちにはちょっと刺激が強すぎるよね。
「モノカがうらやましいな。 僕はあんまりハグしてもらえないし」
それじゃ、
ぎゅっ
「……」
「……」
『みんなが見てるよ』
いや?
『嫌じゃないけど……』
私は、すごく落ち着く感じ。
『そうだね。 どきどきも、嬉し恥ずかしもあるけど、なんだかすごく落ち着くね』
これからも、時々しちゃっていいかな?
『時々は、嫌だな』
?
『しょっちゅう、したい』
うん……
「『第一回ハグ名人決定戦』優勝はカミス君、ですね。 ロイさん」
「まあ、審判がモノカさんだった時点で優勝者は決定していたんじゃないかな、アラン君」
「今回の集まりは、落成記念っていうより、モノカさんとカミス君の婚約記念のつもりでしたから」
「『異世界とっても良いところ』だね」
「もっと良いところになるように僕らが頑張らないと、ですね」
「次のパーティーはおめでたのお祝い、かな」
「あの感じだとモノカさんたちの方が先になっちゃうかも、ですね」
「俺にとっては、孫が出来ちゃうみたいな感じかな」
「何をおっしゃいますやら。 さっきから奥さまがロイさんを見つめてますよ」
「アラン君にもハルミスタさんからの視線、すごいけど」
「……」
「……」
「「頑張りましょう」」




