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11 準決勝第二試合


 準決勝第二試合。


 対戦は私モノカとリリシアさん、


 のはずですが、


「……」


 えーと、闘技場で私と向かい合っている仮面の騎士さんはどなた?



『えー、先ほど準決勝出場選手のリリシアさんより代理出場のお願いの話がありまして、協議の結果選手交代となりましたっ』


 アリなの? っていうか誰なの?



『ご本人の希望により匿名での出場となりましたので、『仮面の騎士団長』さんと呼ばせていただきますっ』


 騎士団長? そういえばあの立派な鎧、どこかでしょっちゅう見ているような……



『それでは、準決勝第二試合、始めっ』



 仮面の騎士団長さんの構えは、


 片手剣を正眼。


 ふむ、かなりの使い手とお見受けしました。



「……」


『ゼファー』に気を込めてじわりと間合いを詰めても、微動だにせず、気配は微塵も変わらず。


 これは、只者では無い。



 そして槍の間合いまで近付きましたが、動きは無し。


 どうやらカウンター狙いの様子。


 ならばっ。



「ふんっ」


 まずは気を込めた中段へのひと突き、


 騎士様は、下がらずに、いなしました。



 足を使わず、位置取りを変えず、姿勢は崩さず、極力カウンター狙い。


 守る闘い方が身に染み付いている方ですね。



 ちょっと楽しくなってきちゃいました。


 私の全身全霊の突きが、この鉄壁騎士様に通用するのか、


 ぜひ、知りたい。



 殺気ではなく、闘気を極限まで高める。


 充分に練った気を穂先に集中。



 行くよ、『ゼファー』



 私の突きが、


 騎士様に、


 届いて……



『勝者、モノカ』



 槍をいなそうと剣で払った騎士様、


 穂先が接触した瞬間、


 騎士様の片手剣が砕け散りました。


 同時に、がっくりと膝をついた騎士様。



「この異様な闘気、たまらんっ」


 息を整えた騎士様が、立ち上がって握手を求めてきました。


 籠手を外した騎士様と握手。


 会場、大きな拍手です。


 良かった。 前の闘いがアレだったんで、少しは見直してもらえたかな。



「特使勇者殿の実力、感服しました」


 仮面を外した騎士様は、



「ベルネシアさん!」


 仮面の騎士団長様はツァイシャ女王様の近衛騎士、


『七人の戦乙女』のリーダーとして有名なベルネシア騎士団長さんでした。



「すまん、モノカさん。 ベルネシア先輩からどうしても出場枠をとお願いされて、な」


 リリシアさん、平謝りです。



「いや、リリシアは悪く無いのだ。 私が、どうしても、その、優勝商品が欲しくて、だな」


 優勝商品ですか?



「ツァイシャ女王様から事あるごとにあの逸品の素晴らしさを伺っていて、どうしても我慢出来なくなり、このような愚行に及んでしまったのだ」


 えーと、ネルコがツァイシャ女王様に献上したランジェリー、間近で見ていた近衛騎士の乙女たち七人全員が欲しがっているけれど、なにせオーダーメイドの一点物、なかなか機会が巡って来ず。


 後輩のリリシアさんからトーナメントの事を聞いて、いても立っても居られずに飛び入り参戦を決意、と。



「ネルコに、皆さん全員の分を出来るだけ急ぐよう、お願いしますので」


「かたじけないっ」


 ベルネシアさん、深々と礼。



 何と言いますか、とても感慨深いのです。


 あの真面目なベルネシアさんたちをも虜にしてしまうというネルコの魔性のランジェリー。


 実は試着した事があるのですよ。


 私とネルコは、その、寸法が一緒。


 で、ちょいとネルコのを借りた事があるのです。


 確かに良いものでしたが、正直バトルをしてまで欲しいかというと……


 つまり、ツァイシャ女王様やハルミスタさんのようなフェミニンボディの女性ほど魅惑効果が高いけど、私のような体型では有り難みは感じられない、と。



 なぜでしょう、決勝戦に向けて、闘志が湧いてきましたよっ。



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