表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

01 同居

『リヴァイス 26 特使勇者と若旦那の密会』の続きで、


 チームモノカのお話しです。


 お楽しみいただければ幸いです。



 秘崎萌乃果です。


 最近、異世界暮らしが充実しております。


 特使勇者として各国を股にかけた問題を解決したり、


 仲間の個人的なお悩みを解決したり、


 その、たまにデートしたり。



 かように充実してはいるのですが、


 それなりに問題もあったりするわけで。



 拠点となる我が家を手に入れた風来坊のチームモノカ、


 おかげで、今までギルドや司法官経由だった依頼が、直接我が家に来るようになりました。


 我が家に担当者が居て応対出来れば良いのですが、うちの娘たちは何と言いますか自由人なのです。


 みんなそれぞれの事情で忙しいので、お客さん対応を優先してもらうわけにもいかないわけで。



 そんなわけで、誰か信頼できる人を雇おうかなどと相談していたところ、渡りに船的人材が。


 同居している王城務めメイドのササエさんの大先輩メイドにして、現在悠々自適のフリー生活を営んでいる素敵なお姉さん、


 フナエさんが、マネージャー兼メイドとして私たちと同居してくれることになったのです。



 今まで、なにかとゆるかったのですよ。


 なんと言いますか、寮母さん不在の女子寮的なゆるさ。


 来客無しなら居間を下着姿でうろうろしちゃいます、みたいな。


 フナエさんが来てから、我が家の空気が一変しました。


 いわゆる常在戦場、なのです。



「また、私物を厨房に放置しましたね、クロイさん」


「……」


 またクロが、フナエさんからお説教されております。


 フナエさんは、クロやササエさんとは古くからのお知り合い、


 と言いますか、クロが頭が上がらない人物のひとりなのです。


 フナエさんを怒らせちゃいけない事を一番分かっているはずのクロ。


 それなのに、なぜかお説教される機会が多いわけで。



『クロはフナエさんと一緒に暮らせることになったのが嬉しくて、とことん甘えたいのですよ』


 ササエさんが、耳打ちしてくれました。


 まったく。


 普段はシニカルでインテリちっくなクロも、甘えられる人がそばにいるとあんなになっちゃうんですね。


『モノカさんも一緒ですよ』


 ササエさんに、耳打ちされちゃいました。


 失敬な。


 私は武人モノカ、いついかなる時も闘いに備えております。


 その緊張感っぷりは、さながら保護されたばかりのノラ猫のごとし。



「モノカさん、こちらへ」


 うへっ、フナエさんが呼んでおります。


 私、何かやらかしましたっけ。



「このようなものが居間にありましたが」


 それは私の私物、


『世界の可愛いにゃんこ20選』


 こちらの世界のにゃんこ事情を知るための大切な資料。


 愛らしい異世界にゃんこの絵姿と解説がたんまりと収められた逸品。


 誰が私の部屋から持ち出したのであろうか。



「このようなハレンチな書物を居間に放置するなど、マクラさんのお母さんとしてはいかがなものかと」


 ハレンチ?


 確かに一糸まとわぬあられもないにゃんこの絵姿だらけではあるが、そこまでの問題なのでしょうか。



「中をごらんなさい」


 ぴらり


 コレはっ!


『オゲレツ大魔王のワンダフルテクニック』だとっ。


 あの成りすましおっさんが裏で荒稼ぎしてたという15禁本!


 なぜここにっ、っていうかにゃんこ表紙にしたヤツは誰だっ。



「モノカさんが置いたものではない、と」


 信じてください、フナエさん。


 そもそも私のものだったら、わざわざ表紙をかけ変えてまで持ち歩いたりしませんって。



「それでは、どなたがこのようなハレンチ行為を」


 えーと、誰とは言いませんが心当たりが。



「あら、どなたかしら」


 むぅ、確かに濡れ衣は嫌だが名前も言いたくないというこの気持ち。


 どうしたものか。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ